老師オグチの家電カンフー

昭和世代の“ケチんぼ”も納得できる新「ブラーバジェット」

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 珍しく新製品の話をします。先日発売されたアイロボットの床拭きロボット「ブラーバ ジェット250」なんですけどね。前モデル(ブラーバ ジェット240)と何が違うのか。デザインが変わった? →否、サイズが変わった? →否、清掃性能が変わった? →否、駆動時間が変わった? →否、価格が変わった? →否。ハードウェアはまったく変わっていません。

左が「ブラーバ ジェット250」、右が「ブラーバ ジェット240」。見た目は何も変わらない!

 変わったのは付属品です。洗濯して繰り返し使える布のパッドと、専用の床用洗剤が追加されました。「それだけ?」と思われるかもしれませんが、これが大きい。なぜなら、ブラーバ ジェットのパッドが使い捨てだったことが導入のネックになっていた人も、少なからずいたと思われるからです。

 人間、追加でお金を取られることにストレスを感じがちです。自動車でも、走行距離がそう多くなくてもガソリン車よりも数十万円高いハイブリッド車が売れるし、今は多くはないでしょうが、以前は車検の度に新車に買い替える人も珍しくありませんでした。

 にもかかわらず、家電はずっと、買ったら電気代以外のお金はかからないことが常識になっていました(例外は掃除機の紙パックぐらいですかね)。なので、うちの実家に「ブラーバ ジェット240」をプレゼントしたとしても、パッドが有料だという理由で使われなくなるでしょう。

これが付属する布のクリーニングパッド。こちらを装着すると、同じ場所を3回念入りに拭く「ウェットモード」に自動で設定される。使い捨てパッドも3種類、各2枚付属

 もちろん、「クイックルワイパー」のような使い捨ての掃除道具が普及したので、こうした意識は前より低くなってはいます。でも、世代を問わず、なるべくならお金を使いたくないと思いますよね。そういう理由では、ウェットクロスが繰り返し使える「ブラーバ300シリーズ」も選択肢ですが、200シリーズの小ささは日本の家庭により向いています。

 というわけで、繰り返し使えるパッドが付属した新ブラーバ ジェットは、節約意識の強い人にもおすすめです。そう言えるのも、自分自身、前のモデルからオプションの布パッドを買って使っていたからです。

 個人的な見解ですが、髪の毛や砂の除去力は使い捨てパッドよりも高いと思います。デメリットとしてあるのは、洗濯する手間ですが、赤ちゃんの布オムツを手洗いすることに比べたらどうってことありません(布オムツ使ったことないけど)。

 一応、洗濯機に入れる前に、洗面台で髪の毛などを取り除いていますが、「今日もこんなに髪の毛やホコリが取れた」などの実感が得られていいもんですよ。

繰り返し使えるパッドは、指で触るとチクチクとした固い素材が含まれているのがわかる。これが床の汚れや髪の毛などを除去する効果を持つ。ただの雑巾じゃないのだ

 今回の新製品には、専用の床用洗剤が2回分付いてきます。こちら、16~17回分入ったボトルが2019年の夏発売の予定。「なんだ、結局追加でお金かかるじゃん」って反応も聞かれそうですが、普段は水だけでもけっこうキレイになりますし、洗剤は毎回使わなくても大丈夫なはずです。

 あと、ウェットパッドの選択可能回数は公式には50回とありますが、実際はもっと使えます。洗濯機を使わずに手洗いのみで済ませれば繊維の劣化が抑えられますし。以上、昭和世代からの節約情報でした。

床用洗剤を最初にタンクに入れてから注水する。洗剤は界面活性剤を含む弱アルカリ性

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>