老師オグチの家電カンフー

見た目の怪しさマックス! 「花粉ブロッカー2」が日常の風景になる日は来るのか?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 花粉、少しずつ来ていますね。様々な対策グッズが売られていますが、最終手段的なアイテムがサンコー「花粉ブロッカー2」。化学防護服とセットで使われるマスクのような、顔をすっぽり覆う構造で、換気用のファンとフィルターによりきれいな空気を中に送り込む機構も備えています。

視界は割と良好です。本も読めます
モバイルバッテリーで駆動できる換気ファンとフィルターを備えています。息による曇りも消えます

 顔周辺に密室状態をつくり出すので、効果は抜群でしょう。そして気になるのが、この見た目がどうなのか。自ら装着して近所を歩いてきました。当然ですが、まぁガン見されます。

狭い歩道橋で、こんなのがやってきたら怖い。職質必至
しかし、花粉がシャットアウトされているので快適です。核戦争やバイオテロの後に生き残った人類のような気分です

 恥の多い人生なので、それは構わないのですが、必然的に避けた方がいい場所も出てきます。

コンビニ

 強盗対策でフルフェイスのヘルメットでの入店を禁じている店が多いので、注意もしくは通報されそう。

金融機関

 コンビニと同じ理由で注意されそう。ATMの列で後ろに並ばれたら警戒心マックスになります。

地下鉄

 電車が止まると思います……。

バス停にて。認知が広まるまでは乗車拒否などに遭うかもしれません
頭部の側面と下部は布なので電話もできます。公衆電話だと緊急通報感がありますね

 反対に、使って良さげな場所は、登山や釣り、畑仕事といったアウトドア。これからの季節だと、お花見なら同席するのは仲間内なのでかぶっていても問題ないでしょう。飲食はしにくいですけどね。

 日常的にもっとも使えそうなシーンは、自転車での移動中です。風よけになるので、顔も寒くありません。装着しての走行が危険かどうかは、警察・司法の判断だと思いますが、シールドが広くてクリアなので、視界はかなり良いです。ママチャリに乗ってるおばさんが着けている紫外線よけのサンバイザーよりはマシでしょう。

もっとも人の目が気にならないのは自転車。風よけにもなってイイ感じ

 あのサンバイザーも、人通りの多い街中では見かけることが少なく、自転車かせいぜい犬の散歩をしている人ぐらいしか見ません。理由はきっと恥ずかしさ。自転車だと通り過ぎる速度が速いので、さほど恥ずかしくありません。

 うちの近所に、ほぼ毎日大声で歌いながら自転車で走っているおっさんがいるんですが、あれも同じ理屈ですかね。「旅の恥はかき捨て」ならぬ、「チャリの恥はかき捨て」を、「花粉ブロッカー2」を着けて理解できました。

 サンコーさんはママチャリのおばさんに売り込むといいと思います。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>