老師オグチの家電カンフー

まいにちまいにち、は使わない「たい焼きメーカー」でパンを焼いてみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 家電ライターの田中真紀子さんが、「たい焼きメーカーを使わなくなった」と言っていたので、0円で譲り受けました。同業者版ジモティ!

 別に、たい焼きが作りたかったわけじゃありません。一見汎用性の低い家電を別の用途で使ったら面白いかもと思ったんです。たこ焼き器でアヒージョ作ったりするじゃないですか。最初に考えたのは、焼きおにぎり。焼きおにぎりが魚の形だったら楽しいし、しっぽの部分がカリカリになって美味しそうだなと。具は鯛のフレークは欠かせませんかね。全国で大ブームになり大儲けできるビジョンまで見えました。

丸隆「たい焼きメーカー DMK-811」。上下のプレートで加熱する普通のタイプです

 結論から言うと、たい焼き型の焼きおにぎりは無理でした。たい焼きメーカーのプレートに当たる部分に米粒がくっつき、プレートを開いたときにおにぎりが崩壊してしまうのです。原因はプレート間の厚みと、かかる圧にあります。焼きおにぎりメーカーに比べると、ごはんの厚みが薄く、強い圧がかかるために一体化できないのです。

 しかし、これは失敗ではない。「できないことがわかったのだ」と、次の食材を考えました。ごはんがダメならパンでしょ(安易)。

 まずは、家にあったフランスパンを焼いてみました。普通に香ばしく焼き上がりましたが、外の茶色い部分しかプレートの形が反映されません。

フランスパンを焼いてみた。しっぽの部分しか跡が付かず絵としては弱い

 そこで、サンドイッチ用のパンを買ってきました。プレート状に1枚敷いて、ケチャップと溶けるチーズを載せ、さらにもう1枚パンを載せて焼くこと2分。たい焼き型のピザトーストができました。正確には、四角の中にたい焼きの形が浮き出たフォルムです。外周はパンが押し固められパリッとなっています。トーストの味わい的には、耳を切った普通の食パンを使った方が良いかもしれません。

サンドイッチ用のパンにチーズとケチャップを載せて焼く
たい焼きの絵にはなった。最近はたい焼きも外側の四角い部分があるタイプが人気ですし

 調子に乗って、焼きそばパンも作ってみました。たい焼き型の焼きそばサンド、味も悪くないです。刻んだ紅ショウガを入れてもイイ感じだと思います。炭水化物大好きな女子高生にウケそうじゃないですか。次はカレーパンも作ってみよう。などと、この3連休はたい焼きメーカーの応用と夢を広げていたのですが、リアルの女子高生(娘)からは、「バカくさーい」の一言。

 よく考えたら、うちにはホットサンドメーカーがあって、鯛の形になる以外、意味はないのでした。たい焼きメーカー、欲しい方がいらっしゃればお譲りしますので、ぜひ変な用途を考えてみてください。レッツ・たい焼きメーカーチャレンジ!

たい焼き形焼きそばサンド。もう少し厚みのある食パンの方が美味しくなると思います

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>