藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

チクチクが気持ちいい! からだ洗いに亀の子たわし愛用中

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
亀の子束子西尾商店 健康たわし「サトオさん(ひも付)」

愛用していてレビューするのを失念してしまっている品を、ときどき「ハッ」と思い出す。亀の子束子西尾商店 健康たわし「サトオさん(ひも付)」もそのひとつである。

もうだいぶん大人になってしまった娘たちと、ごくたまに一緒にお風呂に入る。そのたび、やや、気になることがあった。

彼女らは身体を洗うときに、どうも道具を使わない。石鹸を手のひらで泡立て、その手でくるくる洗う。単純にボディタオルの類を使う(洗う)のが面倒くさいのかなと思っていたのだがちゃんと聞いてみると違った。肌はゴシゴシ擦るべからずというのが彼女ら世代の常識なのらしい。美容系インフルエンサーの教えなのらしい。

一方筆者は身体洗いに「魚網」を愛用して7年半ほどになるくらいなので、およそ美容系インフルエンサーの敵である。その上、昨年から手を出し愛用しているのがまさかの“たわし”だ。商品名を「サトオさん」という。

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商品名は「サトオさん」

前後は端折るが、暮れに谷根千散歩を楽しんでいる道すがら「カメロンパン」という奇妙な文字に惹きつけられ入ったのがカフェ(亀の形のメロンパンも売られていた)も併設している亀の子束子西尾商店直営の路面店(亀の子束子 谷中店)。そこにこのたわしが売られており、手の甲で感触を初体験してみたらイチコロとなったのだった。

ナニコレ、めっちゃ気持ちいい……。たわしすごい。

驚いた。たわしという道具特有の数多のちくちく。あのちくちくの集積が肌の上を移動するときの表現し得ない刺激は約50年生きてきての未体験ゾーンにあった。助言を受け、ひも付きを買い求めたので、背中までもこの“ちくちく”を一人で至らしめることができ、とても便利である。

筆者はそれでもだいぶヘタレなので、毎度石鹸をしっかり擦り付けて泡立ててからの使用であるが、足の裏から襟首までしっかりとこのたわしで擦ると血行促進されつつ垢も落ちるため、言うことがない。わざわざあかすりに出かける気が起こらなくなった程度に満足感がある。

血行を促進しつつ垢も落とす

そしてたわしで自分の身体を洗っていると、他のモノや物品を、たわしやブラシで洗う際の、モノや汚れへの解像度が高くなり、掃除に対しての認識が深まってくる。気がしている。

人はなぜものを洗うのか。何を汚れと認識しどれくらい落とそうとしているのか。そのエンドはどこに想定しているのか。どの程度の洗い残しは許容できるのか。どういう状態を維持しようとしているのか。Terra Incognita。

掃除、洗浄の4要素(CHAT理論:chemical、heat、agitation、time)に基づいて言えば、たわしの役割は「agitation」ではあるが、健康たわしにおいては洗浄のみが目的とはならないのも面白みのある点だ。

明確に皮膚刺激に対する快感があるし、血行に及ぼす影響もある。たわしで洗われるモノ自体は快感も血行もないだろうが、いやどうだろう。果たしてそう言い切れるものだろうか。

人である我が身体を以ってモノの体感も得られるたわし。機会があったらぜひ経験してみて欲しい。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。