藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

何でも吸い取り、全てを拭き取る「ワイプオール」使い捨てだけどすごい

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
日本製紙クレシア「ワイプオールX70 クロスライク 335×343mm 50枚」

自分の中にひとつの軸、信念のようなものを持っている人は素直に「すごいな」と思う。筆者は比較的「人生両論併記」みたいなところがあり、「なるほどいろんな意見があるものだ」と感心しながらいろんなことを選んだり決めたりする性質だ。

家事分野のものごとは生に直結したものである。それゆえ、ものの選び方、使い方には生き方が滲み出るように思う。特定のことへのこだわりの強さ。あるいは無さ。

SDGsな世の中だ。「使い捨て」というアクションには、特にこだわりを持つ人は眉をひそめる向きとそうでない向きがあるように思う。

軸・信念として「使い捨てる」を忌避する人には、だからこの商品は好まれそうにない。しかし筆者は素直に「すごいな」と感じる商品だった。紙のような布のような「ワイプオール」。未来的な、紙だ。パルプとポリプロピレンの混合したハイドロニット素材の不織布。50枚入りが乾いた状態でパッケージされている。約1,000円。

紙の厚さが異なる4タイプをラインナップ

広げると1枚は縦横30cm強のサイズ、出した時点では少し硬い紙のようである。和紙に近い。しかし濡らすと直ちにたおやかな、ほとんど布と化す。

濡らさず、乾いた状態で、まず水分吸収に役立つ。接着剤を使用していない、食品に使えるクオリティなので、魚や肉のドリップを吸収するのに使える。そして人の体にも使える。濡れた肌をタオルのように拭いてもいいし、濡らして体を清拭してもいい。

アルコールも弾かず吸い込むので、消毒用アルコール拭きにも使える。水はもちろん、洗剤、ワックス、油、何でも吸い取る。吸い取って汚れたら水や洗剤で洗ってすすいで再利用することもできる。その際にも破けない。全然紙っぽくない。でも紙。「使い捨て」が前提なのだ。

使い捨て前提の紙だが、丈夫で何でも拭き取れる

最近、掃除関係の知人に教えてもらってこの商品を試用。床、家具、人、いろんなものを拭いてみた。拭くといえば世の中にはティッシュもキッチンペーパーもあるし、数多のペーパータオル、ウェットシート関係、タオルそのもの、綿の布とポリエステルの布、高吸収をうたうもの、とにかく安いもの、ボロ布、木綿の晒しなどなど、いろんな選択肢がある。

いろんなものから、拭くものを選べる。私たちは、選べてしまう。選べるからこそ、そのキリのない選択肢の数の中から、唯一解、揺るぎなき「正解」を得ようとしてしまう。正解! でもそんなの無理だ。

いや、自分の中にひとつの軸、信念のようなものがあれば、自分の正解を定めるのはそう難しくないのかも知れない。「ワイプオールX70 クロスライク」を使うなら、その軸は圧倒的な合理性だ。とにかくこれだけで「全て」を拭き取るという命名。ワイプオール。考えてみれば、すごい強気だ。

他にも拭けるものはたくさん知っているけれど、しばらくこの全てを拭き取れる未来的な、布のような紙と共生してみたい。何か新しい感慨が浮かんでくるかも知れないし、当たり前になって特に何も感じなくなるかも知れない。未来の自分の感想はわからない。でもだからこそ、使い続けてみたいのだ。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。