藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

カビの温床こと浴室で、カラッと乾く魚網ボディタオル

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 仕事柄、よそのお家の浴室を見せていただく機会がおそらく他の方より多い。いろいろ拝見する中で、良し悪しではなく「お風呂場あるある」な事象がいくつかあることに気づいた。そのひとつに「風景化したカビの温床の存在」というものがある。

 具体例を挙げれば、それは忘却されたヘチマである。あるいは昔、流行ったおしゃれな木の柄のボディブラシ。年配のご家庭では、娘さんがかつて愛用していたと思しきヘアパックのチューブ(おそらく5年以上経過)。お子さんのいるお宅では壁に貼る掛け算九九シートや英語シート(の裏)。それから誰も使わないまま幾年か過ぎてしまった、多分こすっても気持ちよくないボディタオル。……などなど。

 各々、不自然な黒いテンテン模様、シミのようなものが、貼りつき浮き上がっているのに誰も気にしない。にも関わらず、「タイルのカビがこすってもこすっても出てくる」「掃除しても掃除してもカビが生えてしまう」と真剣に悩んでいる。

 そこで「それはですね、このカビヘチマから億単位のカビ胞子が日々、浴室内に供給されているからですよ……」などと厳かに進言させていただくのだけれど、けっこうキョトンとされてしまうのだった。

 この、鼻先にぶら下がっているのだけれど、それとは認識されていないカビの温床というもの。ある家の浴室内にかかっていたボディタオルは、白地に絣のような模様が編みこまれていると見せかけて黒色はカビなのだった。

 実際ここまであからさまなカビの供給元が無いにしても、浴室という場所は年間通して日々程よい気温、潤沢な水分や湿気に恵まれ、垢やら皮脂やら石鹸カスという栄養豊富なカビ、細菌にとっての楽園である。

 浴室まわりの具体的な「カビ退治法」については回を改めて触れるとして、そんな場所にやはり日常的に置かれ(ぶら下げられ)ている、日常使いのボディタオルの類の衛生状態にも、思いを馳せておく必要があるだろう。

 というところで、今回ご紹介したいのは、滅多やたらと水きれのいいボディタオル、「御身あらい」という風変わりな商品である。

 一見して「網だな」とわかる、そのまま「魚網」からできているボディタオルだ。網なのですぐ水気がきれてしまうため、毎日の使用後、お湯でざっと濯いで浴室にぶら下げておくだけでも一切臭くならならずヌメりもしない。もちろんカビも生えない。きわめて衛生的で優秀なのだ。

ボディタオル「御身あらい」
メーカー名小川漁網商店
製品名御身あらい
価格(編集部調べ)1,080円

 まあなにせ網なんだから、道理といえば道理であり不思議もないのだけれど、歴代のボディタオルたちの始末を思うと、この乾燥速度にうっすらとした感動を覚えてしまう。

 魚網というテクスチャーの、いかにも「固そう、痛そう」という先入観は意外に使用してみれば覆される。石鹸の泡立ち素晴らしく、心地よい皮膚マッサージ感、程よい垢すり効果で網を伸ばしてゴシゴシしているうちに私の背中ニキビも消えてしまった。丸めればスポンジ同様、身体の各所を自在に洗い擦れて使い勝手がすこぶるよい。で、衛生的……もう、これなしのお風呂生活には戻れない……。

 誰が考えたのかこの魚網の転用というアイディアは……天才なんじゃないかな? と独りごち、感じ入りながら、今日もお風呂でゴシゴシする秋の夜長なのである。

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