藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

汚れないわけないお風呂の配管に「完璧を求めない」掃除の手段

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
スクラビングバブル「ジャバ 1つ穴用 粉末タイプ 160g」

「これ見て」と高校生の子から先日、子育て系のショート動画を見させられた。筆者自身はそういう動画をあまり自分から見たいとも思わず、よってサジェストもされないので全然知らなかったのだが、「いかに自分の家の子供が泣き止まないか」とか「子育てに疲れ果てて辛い自分」などを映したショート動画というのが、巷に溢れていることに、ビックリした。

育児日記やブログなどで、文章で心情が語られるのではない、「そのまま」の切り取り。

子供の顔も自身の顔も加工もされずそのままだったりして、中高生の語彙で言えばネットリテラシーが「ガバい」。「でもそんなの気にもできないくらい追い詰められてるんだと思う」と神妙な顔で子が言う。実際そうなんだろうなぁと思う。

母乳に血液を持っていかれるとか、2時間おきに目覚めなければいけない睡眠不足だったりとか、肉体的物理的負荷。

加えて、なんというか一種の、世界のコペルニクス的転回だったのは、か弱過ぎる赤ん坊という生き物を取り巻く、この不潔な世界からどうやってこの自分が子を護ればいいのか、途方に暮れる感覚……というか、人生に新たに訪れた種類の「恐怖」の総量のあまりのデカさだったよなあ……と、筆者も遠い記憶を辿る。

そう。お風呂ひとつとっても、筆者は、安全清潔なベビーバスから普通のお風呂に移行するのが恐ろしかった。普通のお風呂がすごく汚く感じられて……まさに衛生的に「ガバい」感じがして。

今や当たり前の設備である、自動湯張り・追い焚きのできるガス給湯器というのは、大変便利な代物なのだが、構造が謎めいたブラックボックスだ。

我が家の場合で言えば、マンション住戸の中央部あたりに風呂場は位置しているのだが、いわゆる給湯器は玄関ドアの隣あたりに共用廊下に面し配置されていて、風呂場からはとても遠い。

つまり「追い焚き」をするにあたっては、風呂場の浴槽から管を通して風呂の湯ははるばる玄関脇まで移動し、ガス火であっためられてまた管を通ってお風呂場まで行き浴槽に流れ込む。いわゆる入浴剤入りのあの緑色のお湯がこの長い旅をしてくるわけで、そんな管が汚れないわけがないのだ!

そう考えるだけでも恐ろしいのだが、まあ仕方がないことでもあり、そもそも私たちは無菌環境で生きていくわけでもない。

具体的にできる方策は、こうだ。

時々浴槽に「1つ穴」より5cm程度上まで湯を貯めて、風呂釜洗浄剤「ジャバ 1つ穴用」を入れ、10分程度「追い焚き」を行ない、さらに10分程度放置する。

一度排水し、再度1つ穴の上まで湯を貯めて5分「追い焚き」を行ない、その後、排水する。以上。

ジャバを入れ、10分間追い炊きして放置する

ブラックボックスだけに、個人の行なう「排水管掃除」としてコミットできるのはこのくらいであり、致し方なく汚れる管に対していささか場当たり的な営為であることは否めないが、これでもやらないよりはマシになる。風呂場の「大掃除」になる。それも上出来な方の……。

子育てというのを始めて筆者は22年目になるのだが、全世界に向けて窮鼠のように怯え殺気立っていた時代を思い返し、しみじみ「100%」とか「完璧」とかを望んだり求めた瞬間に地獄に突き落とされるようなところが子育て生活にはあるんだよなあ、と思うのだ。

少しはマシ、やらないよりマシ、微かにでもよくなれば上出来。それも、なるべくラクにできれば世は全て事もなし。スーパーざっくり。そんな不真面目さは世の中的には許し難いものなんだろうか。

ちなみにジャバは管掃除に注力せず、風呂場の小物などまとめて、浴槽に数時間漬け置きして洗うのに使用する方法もある。子供が少し育って長い時間を家事の味方にできる時期になったら、試してみても良いだろう。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。