藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
フローリングの水拭き問題、これにて解決
2019年9月18日 06:00
まじめ、であることは美徳である。
このテーゼに異を唱える人はそう多数派ではあるまい。しかし「まじめさ」というものには、ある種の頑迷さというか思考停止状態と切り離せない部分がある。
主たる業務ではないのだが、ときどき依頼されて「お掃除教室」などの講師をする。基本的に一期一会、もう二度と会うことのない受講生の方には目一杯成果をお持ち帰りいただきたいので、個別の質疑応答を厚くしている。せっかくお越しくださったんですから、遠慮なくなんでも聞いてください。
そういうと、結構な割合で「これは……」と天を仰ぎたくなるような質問をいただくものなのだが、それこそが「リアル」なのだった。
そんな質問の中で、興味深いことに、複数回、違う場所で、同じようなものが投げかけられている。
「フローリングって、水拭きしても、よかったんですか?」というものである。
従前の講義の中で、「住まいの床掃除」に触れているとき、頓に多い。「フローリングって、水拭きしちゃいけないって“引き渡しのときに”言われたんですけど」。
概ね戸建やマンションの新築物件を入手した際、販売業者などからそのように言い聞かせられるのだ。
そのため、その教えを数年から十数年にわたり「まじめに」守ってきた方たちが、いよいよ汚れに悩んで「お掃除教室」に足を向ける。
「床の黒ずみがなかなか取れない」「ベタついて気持ち悪い」。
「トイレに尿石が溜まるし、どうしても綺麗にならなくて不快」と悩んでこられた方は、「引き渡しのときに、便器のコーティングが剥がれちゃうから洗剤は使わないでください、と営業さんに言われた」という注意を守って8年以上「水とブラシだけで」掃除してきたけど「もう限界」なのだと言った。
まじめなのである。
しかしそのとき、筆者は問うた。
「便器のコーティングと、あなた自身の快適性と、どちらが大事なんですか?」
フローリングだって同じだ。汚れの全てがさらさらと乾いているはずもない。裸足で歩けば足裏脂も付く。調理すれば油煙が床にも付着する。煤煙、花粉など屋外由来の汚れでべたつく微粒子だって多い。
そんな汚れを掃除機とドライモップで全て取り去れる道理などないのになぜ「乾拭きだけでお願いします」などと言うのだろう。確かに合板のフローリング等は下手な水拭きを行なうと盛り上がったり剥げたりしかねない。しかしそのフローリング保全のために汚れが層をなしている状態の床上で暮らすことが、衛生的で快適なはずもないのだ。適切な注意喚起をした上で、正しい掃除法をお伝えするまでが大切なのではないだろうか。
とはいえ、物理的に、やりたくても思ったような「水拭き」が叶わない事情もある。床面積が広すぎる場合や、足腰に負担がかかる場合などだ。「昔の掃除」のイメージで、雑巾掛け。真っすぐな板廊下を「スタタタタ……」なんていうのは、ほぼフィクションに近い。
フローリングを傷めにくい、程よい濡れ具合の「フローリングワイパー用ウェットシート」も便利だが、広さや汚れ度合いによっては枚数を重ねすぎて経済でなさすぎる側面がある。
そんな思ったような水拭き掃除を望みながらも実行できない人々にうってつけと言えるだろうマシンが、「ケルヒャー フロアクリーナー FC 3d」なのである。
メーカー名 | ケルヒャー |
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製品名 | フロアクリーナー FC 3d |
実売価格 | 38,682円 |
先端のローラーには清潔で適度な水分が、専用のタンクから自動供給されつつ、床掃除によって汚れた汚水分は別の内蔵タンクに掻き取られ、溜まる。そのため綺麗なローラーで床を拭き続けることができる……という謎機構(でも単純といえば単純)。
使ってみるとわかるのだが、そこそこ本体はデカい。しかしこれでも本国ドイツでバカ売れしたプロトタイプに比べるとだいぶ小さいらしい。日本仕様なのである。
ローラー部分にはモーターが仕込まれているので、犬の散歩のようにマシンの方が先走るから、要は、大きさの割に使い勝手は重くない。掃除活動自体は軽快に行えるしくみなのである。
筆者の自宅は5人家族の割に小ぶりの60m2台で、床の拭き掃除にもさほどの労はないのだが、仕事場の床は平たく広いので床拭きするのは難儀だと感じていた。
しかしなんだかんだで入り込む微細なホコリや何やらはやはり拭きたい。拭けばニオイなどもだいぶ抑えられる。「拭き掃除」というのは、非常に快適性の高い掃除方法なのだ。
そんなニーズにがっちり合致。おかげさまで、愛用している。