第13回:もしもの時に頼りになるLED懐中電灯を自作してみよう!

~半田付け不要のカンタンモデルから、乾電池サイズの超小型ライトまで

 この夏は懐中電灯の世話になる機会が多くなりそうだ。例年のようにキャンプの明かりとして持っていくのはもちろんだが、雷や豪雨などで、停電する際の備えとしても用意しておきたい。春には落雷で、筆者の住んでいる横浜の一部地域が停電したばかりだ。

 懐中電灯といえば、以前は光源が豆電球で、電源が単一乾電池の大きなものがよく見られたが、最近では小さな単三形でも長寿命でかつ明るい“LED懐中電灯”が売り場に多く並んでいる。だが、電池を入れれば明かりがつくのは一緒でも、豆電球を点灯するのとLEDを光らせるのは、構造的に少し違いがある。

 そこで今回の家電ラボでは、LED懐中電灯の自作に挑戦! 豆電球の懐中電灯をLEDに変えたり、オリジナルのライトを作りながら、LEDが点灯するしくみを紹介しよう。

青白い光が特徴的なLED式の懐中電灯。市販の豆電球タイプを改造して、市販品よりスゴイものや面白いモノを作ってみよう!

 今回は、難易度別に次のような4つのメニューを用意した。光源を交換するだけの半田づけ不要のカンタンモデルから、超小型の明るいLEDライトまで、初級~上級者向けを用意した。さすがに全てを作る人はいないだろうが(笑)、作る過程で「LEDの懐中電灯はこういう仕組みで点灯している」ということをわかっていただければ幸いだ。

(1)初級編:懐中電灯用の豆電球をLED化
 半田付け不要で、必要な工具は身の回りにあるカッターやペンチとホットボンドぐらいでできてしまう。ビギナー向け

(2)中級編:100円ショップの豆電球式ランタンをLED化
 ランタンはLED化することで電池の寿命が格段に延びるため、LED化するメリットが大きく、ケースは市販のものを利用するので簡単だ。また半田付けをしなくても電線を確実に結線できる、絶縁ねじ込みコネクターという便利グッズもご紹介しよう。計算なども必要になるため、中級編としておく。

(3)上級編:LED電球に使われるパワーLEDで強力懐中電灯を作る
 砲弾型LEDに比べると眩しく光るパワーLEDと呼ばれるものを使い、単一電池四本を使う強力懐中電灯をLED化してみる。かなりテクが要求されるので、上級者向けだ。

(4)最上級編:乾電池のスペーサーで作る超小型LED懐中電灯
 最後は単三電池1本で光る懐中電灯に挑戦。数百円で手に入るDC/DCコンバータと呼ばれる部品を使い、半田付けが必須となる。また電池のスペーサーの穴あけ加工などが必要なので、工作の腕に自信があるヒト向けだ。

 分からんことは自分で調べる!やってみる! それが家電ラボのポリシー。今回はまさに、コレ!

 Do it oneself!

 自分でやってみよう! なのだ。

■■注意■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害は筆者および、家電Watch編集部、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・内部構造などに関する記述は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。


初級編:半田付けの必要なし! 懐中電灯用の豆電球をLEDで作る!

 最初は初級編ということで、豆電球タイプの懐中電灯の光源だけを、そのままLED化してみよう。最近の懐中電灯の光源は、昔あったネジ式のものではなく、着脱しやすい差し込みタイプのクリプトン球になっているので、交換はそんなに難しくない。

 

市販の懐中電灯の光源をLEDに変えるだけのカンタンな工作だ(写真は工作前の懐中電灯)豆電球(クリプトン球:右)を、LED豆電球(左)に取り替えるクリプトン球をLED豆電球に取り替えた懐中電灯

 

【材料】
部品名数量単価購入店
8mm高輝度白色LED150円千石電商
LEDの根元にツバのついているタイプがベスト
M8ネジ用スプリング
ワッシャー
1100円ホームセンター
1袋10個入り程度100円ぐらい。外径15mm
UNIのボールペン
「ゲルインクボールペン リフィル」(替え芯)のケース
1100円文具店
使うのはケースの端っこ15mm程度。替え芯は不要
乾電池2本式の懐中電灯(クリプトン球)1800円電気店
ここで使ったのはパナソニック「水中ライト BF-154」
ホットボンド(グルーガン)11000円100円ショップなど
本体とスティックが必要。ホームセンターでも販売
※【工具】カッター、ハサミ、キリ、ペンチ

 まずはDIYショップなどで、クリプトン電球に変わるLED光源を選ぶことからはじまる。LED選びのポイントは、明るさを示す「mcd」(ミリカンデラ)という値と、光の広がりを示す「指向角」という値だ。

 mcdは値が大きいほど明るいが、そのぶん値段も高くなる。だが、1個100~200円程度のものでも、懐中電灯にちょうど良い明るさのものが手に入る。

 もう1つの指向角は、光が広がる角度を示している。豆電球の替わりに使うので、できるだけ広い角度を照らせるものがいい。逆に10度を割るような“超指向性”のLEDにすると、遠くをスポット的に照らすことに特化した懐中電灯になる。

 なお、ここではあくまで初級編ということで、少ない作業で点灯することを主眼に置いているため、敢えて回路に抵抗を採用していない。そのため、LEDによっては点灯しない、もしくはLEDが切れてしまう場合もある。抵抗を組み込んだ回路的に正しいLED懐中電灯は後述しているので、そちらもぜひご一読いただきたい。

 作り方の手順は、次の通りだ。

(1)懐中電灯のクリプトン球のどちらが+(プラス)か-(マイナス)かを調べる

クリプトン球のツバのある端子(指差している部分)ががプラスになる

 LEDには極性がある。LEDから伸びている電線の長い方に電池のプラスを、短い足にマイナスをつながないと点灯しない。クリプトン球は±の区別がないので、使う懐中電灯のプラス極とマイナス極をチェックしよう。

(2)LEDの足を180度曲げてマイナス(またはプラス)の端子を作る

 たいていは、マイナス側がクリプトン球のツバにつながっているので、足の短いほう(マイナス)を折り曲げる。足の長短を間違えると点灯しないので注意したい。

 また、今回は砲弾型のLEDを光源に選んだが、足の付け根にツバがついているものを選ぶと作りやすい。LEDによってはツバがないタイプもある。

LEDの足は長いものと短いものがあり、短い方を電池のマイナスに、長い方を電池のプラスにつなげると点灯する。足の短いほうは写真のように折り曲げるLEDには根元にツバがついているタイプ(下)と、ツバがないタイプ(上)がある。工作しやすいツバ付きがお勧め

(3)曲げた足をスプリングワッシャの穴に通し、LEDのツバまで押し込む

 部品の要となるのが、スプリングワッシャ(ばね座金)だ。本来はネジの緩みを抑えるための部品だが、これをLEDの外周に付けることで、LEDが懐中電灯にフィットしやすくなり、マイナス極の端子になる。

 ワッシャの内側の穴はM8(直径8mm)ネジ用がちょうど良いが、外側の円は直径14~15mmのものを選んだ。これ以上大きいものは懐中電灯に収まらないからだ。またスプリングワッシャは、名前の通りスプリング状になっているので、あらかじめ平らにしておく。

直径8mmのツバ付きLEDと、それに合うM8ネジ用のスプリングワッシャ。懐中電灯に収めることを考慮し、外径が14~15mmのものがベストだ。またワッシャはあらかじめペンチなどでひねって、スプリングを平らにしてしまうスプリングワッシャをこのように通して、クリプトン球のツバに当たる部分を作る

(4)ワッシャをホットボンドで固定する

 ワッシャとLEDをホットボンドで固定する。折り曲げた足はワッシャ側に曲げてペンチなどで切断しておく。

曲げた足が確実にワッシャに触れるようにして、余った足を切断する足の絶縁も兼ねて、ホットボンドで曲げた足をワッシャに固定する

(5)電球の出っ張り部分を作る

 クリプトン球のお尻と同じ形になるように加工する。これで懐中電灯にセットしやすくし、マイナス端子となるのだ。

 今回はUNIのボールペン「ゲルインクボールペン」のリフィル(替え芯)のケースを流用してみた。クリプトン球の口金と同じ長さになるよう、ケースの端をカッターで切断する。ケースを何mmに切るかは、LEDのツバの厚みで変わってくるが、ワッシャからケースの端までが15mmになるようにする。

 またケースにはフタがされているので、キリなどでLEDの足を通す穴を開けよう。

電球部分の出っ張りには、UNIの「ゲルインクボールペン」のリフィル(替え芯)のケースを使ってみた12mm程度に切って、クリプトン球と同じ大きさになるように長さを詰めていく電池のプラス側につなぐ、長い足を切断したケースに通す

(6)LEDユニットから出たLEDの足をU字に曲げ接点を作る

クリプトン球と見比べながらお尻の端子を作る。あとは替え芯のケースとワッシャ、LEDをホットボンドで接着

 これでLEDユニットとしての形はできたが、最後にユニットから出ている足を、ペンチなどを使ってU字に曲げ、クリプトン球の端子と同じような形になるように加工する。最後は替え芯のケースをホットボンドでワッシャとLEDに接着する。これで“LED豆電球”は完成だ。

 それでは、懐中電灯にセットされているクリプトン球をLED豆電球に替えてみよう。ここで使っている懐中電灯はパナソニックのBF-154Pというもの。ほかのものでもかまわないが、クリプトン球を使っていることち、電池が2本であることに注意して欲しい。電池を3本以上使う懐中電灯にLED豆電球をつけると、電流が流れすぎてLEDがこわれてしまう恐れが高くなる。

 懐中電灯のスクリューキャップ(レンズ)を外し、クリプトン球からLED豆電球に取り替える。次に電池をセットしてキャップを元通りにセットする。

元々入っていたクリプトン球を外す替わりにLED豆電球をセットスプリングワッシャの直径が15mm以下なら、すんなりセットできるはず
ネジ止めしてLED豆電球をレンズに固定これで光源の交換が完了

 あとはスイッチを入れればLEDが点灯するはずだ。高輝度白色LEDにもさまざまなモノがあるが、7割くらいは点灯するはずだ(中には点灯しないものもある。詳しくは次の項で)。明るさや光の広がりは、前回の当連載で取り上げた常備灯と比較してもらうといいだろう。

光源を交換した懐中電灯。最初からLED式だっかのように見える1m先の壁を照らしたところ。中央の一番明るい部分で37lx

初級編は“たまたま”光っただけ、本当は抵抗が必要

 写真ではうまく点灯しているが、とはいえこれは、言ってみれば「たまたま点灯している」ような状態。もっと確実に点灯させるには、回路に抵抗を入れて、電流を調整することが必要になってくるのだ。次の工作に移る前に、LED懐中電灯を点灯させるための回路の話をしたい。

 豆電球を光らせる上で重要なのは、電圧だ。替えの電球を買う場合、1.5Vや3V、電池2本式や電池4本式など、電圧に応じた豆電球を用意する必要がある。電圧を間違えると、スイッチを入れた瞬間に玉切れしてしまったり、暗くぼんやりとしか光らなくなる。でもLEDは電圧に関しては大雑把で、電池3本(4.5V)でも眩しく光るし、12Vでも玉切れすることなく光る。

 LEDを光らせるうえで重要なのは電流だ。たいていのLEDは約20mA(ミリアンペア)の電流を流すと明るく光るようになっている。

 では流れる電流を20mAに調整するにはどうしたらいいだろう? それは中学校で習った「E(電圧)=R(抵抗)×I(電流)」という「オームの法則」を活用する。この式に電池の電圧とLEDに流す電流を入れると、抵抗の大きさ(Ω;オーム)を計算できるが、その抵抗こそLEDに流れる電流を調整するものだ。

 仮に電池を4本使う場合を考えてみると、電圧は1.5V×4で6V。電流は20mAなのでA(アンペア)に直すと0.02Aとなる。これらの値をオームの法則の式に入れると、次のような式になる。

 6(V)=R(Ω)×0.02(A)
 R(Ω)=6(V)÷0.02(A)

 この式からRの値を求めるには、6(V)÷0.02(A)となり、抵抗の大きさは300Ωとなる。もし自動車のシガーソケットのような12Vから電源を取る場合は、12(V)÷0.02(A)で600Ωの抵抗を使えばいいというワケだ。もしLEDの詳細スペックが分からない場合は、この計算式ではじき出した数値と同じ抵抗を、電池とLEDの間に挟み込めばOKだ。

 なお抵抗には数多くの種類があるが、筆者の場合は一般的で安価な「カーボン抵抗」の「1/2W」もしくは「1/4W」を使う。だいたい1本10円程度だが、100本セットだと100円と超格安。しかも袋に抵抗の数値が「*Ω」などと書かれている。抵抗の値は、独特の「カラーバー」という色で表示されるが、これが読めなくても安心だ。

LEDのスペックや電池の本数(電圧)に合わせて、挟み込む抵抗を変えるカラーバーが読めないと、どれが何Ωだか分からなくなってしまう100本単位で買うと、ビニール袋に何Ωと書かれているので安心。価格も1本1円程度と安い

 もしLEDの詳細なスペックが分かる場合は、次の公式に値を入れて計算すると、もう少し明るく光らせることができる。

 抵抗(Ω)=(電源電圧(V)-LEDの順方向電圧(V))÷LEDの順方向電流(A)

 出てくる単語は難しいが、恐れることはない。店頭やWeb通販でLEDを買うと、必ず価格と一緒に「VF3.6V IF20mA(typ) 30mA(Max)」などという表記がされている(Maxは書かれていない場合も多い)。このVFの値が、先の式の「LEDの順方向電圧(V)」で、IFの値が「LEDの順方向電流(A)」だ。IFでも「Max」と書かれている値は、そのLEDに流せる最大電流だが、typ(平均的)の電流と明るさはそれほど変わらない。

アキバで有名な電子部品店「秋月電子」で買ったLEDには、「VF:3.4V(標準)(@20mA)」とあった。前者が順方向電圧、後者が順方向電流だ同じく有名な電子部品店「千石電商」で買ったLEDには「順電圧:3.0~3.4 順電流:20mA」とある。幅がある場合は中間の値を採ったり、キリのいい抵抗値が出る値を使えばいい

 さて例のようにVF3.6V IF20mAのLEDで最大のパフォーマンスを引き出すには、それぞれの値を式に当てはめればいい。

 このとき電源電圧は、VF3.6Vより必ず大きい値にすること。、VF3.6Vなら電池3本の4.5Vでも光らせられるが、電池が消耗すると電圧が下がってしまうので、余裕を持たせた電池4本を使い6Vの電源として計算してみよう。

 抵抗(Ω)=(6V-3.6V)÷0.02A

 これを計算すると120Ωとなる。つまりLEDと電池の間に120Ωの抵抗を挟むと、LEDのベストパフォーマンスが得られるというワケ。この計算の答えはキリがよく、どんなパーツ屋でも入手できる120Ωの抵抗という結果になったが、4.5Vの電源にすると45Ωとなり、入手できない抵抗になってしまうことも。そんなときはより計算結果に近い抵抗を選べばいい。ちなみに45Ωに近い抵抗には43Ωと47Ωがあるが、この場合はどちらも2Ω差なのでどちらかを選べばいいということだ。



【突然始まるコラム:抵抗のカラーバーの読み方】
抵抗にはカラフルな帯が4本書かれているが、これは何Ωの抵抗かを示している。読めるとカッコイイ。あまり女の子にモテる特技じゃないのが残念だが……

 もし抵抗を1本単位で買って、家に帰ってからどれが何Ωだか分からなくなった場合は、次のように抵抗に書かれたカラーバーを読めば良い。

 抵抗には必ず4本の線が書かれていて、金もしくは銀(ほとんどが金)の線がある。その金の線を右側にして左から抵抗値を読んでいこう。


示す値示す値
05
16
27
オレンジ3灰色8
黄色49

 末尾の金や銀は抵抗の誤差を表す値ので、注目すべきは左の3色。先の写真の場合は「茶赤茶」なので数値に直すと「121」が重要な数値となる。

 次に、左から2桁の「12」と、最後の1桁の「1」に分けて考える。最後の1桁は、左から2桁のあとにゼロが何個付くかを示している。つまり抵抗値は「12」に「0」を1つ加えた120Ωというわけだ。察しのいいヒトは気づいたかもしれないが、抵抗は上位2桁しかなく、あとはゼロが何個付くかだけなのだ。だから121~129Ωの抵抗はない。

先の例にならえば、もうこれらの抵抗も何Ωかが分かるだろう

 「黄紫黒」の場合は「470」なので、「47」のあとには0が0個付く(つまりゼロはつけない)。なのでこの抵抗は47Ωということだ。逆に値の大きい抵抗は「茶黒黄」のように「104」となり、「10」のあとに「0」が4つついて「100,000」となる。つまりこれは100kΩ(キロオーム)ということだ。




中級編:100円ショップの豆電球式ランタンもLED化してみよう!

100円ショップのダイソーで買ってきた200円のランタン。これをLED化して、長時間使えるランタンに改造しよう

 LEDに最適な抵抗が分かったところで、次のステップに移ろう。100円ショップで買ってきた豆電球式のランタンを、抵抗付きの回路でLED化してみよう。豆電球をLED化する最大のメリットは、同じ電池でもより長く灯りをとれることだ。そのためキャンプなどで夜通し使うランタンは、LED化のメリットが大きい。

 ちなみにこのランタンは単三電池4本式で、ネジ式の豆電球を使っている。比較的大きく工作も楽にできる。改造に必要な部品は以下の通りだ。





【材料】

部品名数量単価購入店
10mm超高輝度白色LED160円千石電商
できるだけ広範囲を照らせるものがベスト
カーボン抵抗120Ω(1/4W)110円千石電商
順電圧3.6V、順電流20mA LEDの場合
アルミホイル(10cm角程度)1---家にあるヤツで
接着用の両面テープも別途必要
熱収縮チューブ(一番細いもの)1100円千石電商やホームセンター
直径2mm程度のもの。太すぎると密着しない
絶縁ネジ込みコネクタ 小1100円ホームセンター
半田を使わない場合は、これを用意する
※【工具】ホットボンド、半田ごて、半田、ニッパー、ハサミ

 無理をすれば部品の足同士をネジってつなぎ半田ごてなしでも作れるが、接触不良の原因になるのでできれば用意したい。ホームセンターなどで20~30Wの半田ごてと電子部品用の半田を購入しても、1,500円程度で手に入るはずだ。

 あると便利なものとしては、電線とLEDが固定しやすいパーツ「ねじ込みコネクタ」と、ビニールテープ代わりになる「熱収縮チューブ」。熱収縮チューブは、半田付けした部分や電線が露出する部分にチューブを差し込み、ドライヤーなどで熱を加えると収縮して電線に密着して絶縁できるすぐれものだ。大型のホームセンターの電気コーナーに行けばあるハズ。

ELPAの「絶縁ねじ込みコネクター(小)」。ホームセンターで10個入りで150円ほどで買える電線と部品の足をコネクタの中に差し込んで時計方向に回す
電線が部品に絡まって固定できるのだ。ちょっと素敵! アメリカ人は好んで使うようで工作記事でもちょくちょく見かけるが、日本ではマイナーなようだ電線と部品の足をコネクタの中に差し込んで時計方向に回す

(1)ランタンを分解して、プラス極とマイナス極の電線を探る

 まずはランタンを分解して、豆電球ソケットにつながっている電線のプラスとマイナスを探る。構造は単純なので、テスターなどで調べなくても、見てすぐに分かるはずだ。

(2)LEDの長い足に抵抗を半田付けする

 LEDの長い足は、電池のプラス側に接続する。抵抗は±のどちら側に付けてもかまわない。写真ではLEDと抵抗の足をかなり詰めて半田付けしているが、1cm程度足を残したほうが、熱で部品が壊れなくなる。

(1)ランタンを分解して、豆電球ソケットにつながっている電線のプラスとマイナスを探る(2)LEDの長い足は、電池のプラス側に接続する

(3)LEDの短い足にマイナス側の電線を半田付け

 電池のマイナス側につながっている電線を、LEDの短い足に半田付けする。写真のようにあらかじめ熱収縮チューブを電線に通してから行なう。終わったら熱収縮チューブを電線が露出している部分に移動して、ドライヤーなどで熱を加えると絶縁できる。もちろんビニールテープを使って絶縁してもいい。

(4)LEDの抵抗のついている足にプラス側の電線を半田付け

 最後に、電池のプラス側につながってる電線を、LEDに取り付けた抵抗に半田付けする。さらに熱収縮チューブで、抵抗を含めた足の露出部をすべて絶縁する。

(3)電池のマイナス側につながっている電線を、LEDの短い足に半田付け(4)LEDの長い足は、電池のプラス側に接続する

(5)電池を入れLEDが点灯するかをチェックしてLEDを固定

 LEDの±を間違えなければ、スイッチを入れると眩しく輝く。もし点灯しなかった場合は、±の確認をしよう。それでも光らなかったら、抵抗の計算が合っているか、抵抗のカラーバーが正しいことなどをチェックする。

(5)±を間違えていなければ、LEDが点灯するきちんと点灯することを確認したら、LEDを本体にホットボンドなどで固定する

(6)ランタン上部に反射板を作る

 もともと光が全方向に広がる豆電球用のランタンなので、光が直線的なLEDはランタンの周りが暗くなる。これはほとんどの光がランタン上部から抜けてしまっているためだ。

 今回はランタン上部のカサ部分に、アルミホイルをクシャクシャにしたものを貼り、ランタン周囲に光を乱反射させてみた。

(6)ランタン上部のカサ部分にアルミホイルを貼り、光を反射させてみた
今回作ったランタンではないが、筆者がいつもキャンプで使っている自作のLEDランタンは、単三電池4本で1日8時間連続点灯させても5日以上テント内の常夜灯として使える

 完成すると上の写真のような感じになる。豆電球だと一晩で電池がなくなってしまうランタンだが、LED化すると2~3日ほど使えるようになる。筆者は、いつもキャンプで自作のLEDランタン(今回作ったものとは別)を使っているが、単三電池4本で1日8時間連続点灯させても、5日以上テント内の常夜灯として使える。


上級編:パワーLED仕様の強力懐中電灯。レンズ交換で広角から遠くの照射にも対応

強力懐中電灯をLED電球などで使われているパワーLEDに交換すると、直視できないほど眩しいライトになる。懐中電灯の周りにあるのは、工作に使うおもな材料

 さて今度は、LED電球などで使われている強力なLED「パワーLED」で、既存の大型懐中電灯をLED化してみよう。


【材料】

部品名数量単価購入店
放熱基板付き 3W白色パワーLED
OSW4XME3C1S 200ルーメン
1250円秋月電子
必ず放熱器版付きのものを利用する
パワーLED用レンズ・ホルダーセット1150円秋月電子
付属レンズは45度
パワーLED用レンズ(15度、30度)1100円秋月電子
必要に応じて購入(45度はホルダーに付属)
セメント抵抗(1Ω、5W)160円千石電商
電源6Vの場合は10W、4.5Vの場合は5Wを選ぶ
強力懐中電灯(単1電池4本式)1400円ホームセンター
コーナンのオリジナル商品
単三→単1電池スペーサ(パナソニック)1500円電気店・ホームセンター
2個で1セット(パナソニック製がオススメ)
電線(30cmほど、模型用でOK)

VFF 0.3~0.5mm2
1200円電気店・ホームセンター
1mが何本かセットになっているものでOK
※【工具】ホットボンド、半田ごて、半田、ニッパー、ペンチ、カッター、金やすり(半丸タイプ)

 元となった強力懐中電灯は、ホームセンター「コーナン」のプライベートブランド商品。ものによっては、電球につながる±の線や、構造などが異なり上手く工作できない場合もあるかもしれないが、ライトの電池とレンズの間に豆電球をセットする台座があるものがLED化しやすい。これは筆者の経験からだが、単1電池2本ずつ2列に入れるタイプは、たいてい台座を持っている。4本を1列で入れるタイプは候補から外した。

秋月電子で手に入るパワーLEDは、VF3.8V IF700mA流すタイプ。出典:秋月電子のホームページ

 今回光源に選んだパワーLEDは、700mAもの大電流を流す。砲弾型に比べると桁が違うので、抵抗は大電流にも対応したセメント抵抗(5W以上)を利用したい。一般的なカーボン抵抗を使うと、発熱してライトの樹脂を溶かしてしまう。

 またパワーLEDは、「順電圧」という数値が3V~5V程度のものが良い。LED電球用のパワーLEDは、順電圧が数十Vも必要なので、乾電池で光らせるにはちょっとムリがある。


(1)強力ライトの穴を豆電球サイズからLEDサイズに大きくする

 パワーLEDのホルダーのサイズは大きいので、懐中電灯の反射板後ろの穴を大きく拡張する。

 ただしこの反射板は、割れ易いプラスチックを使っていることが多いので、ノコやドリルで加工するとすぐに割れてしまう。今回は半田ごてで樹脂を溶かして穴を広げてみた。また溶かして穴を広げると、バリ(解けたプラスチックが山状に盛り上がる部分)ができてしまうので、金やすりやカッターなどできれいに削り取る。

パワーLEDのホルダーは大きいので、懐中電灯の反射板の穴を拡張する必要がある。このあたりは工作に慣れていない人だと難しいかもしれない

(2)豆電球のソケットをパワーLEDが置けるように穴を拡張する

 豆電球ソケットの穴は小さく、パワーLEDがうまく固定できないので、ソケットの一部を削ったり、ニッパーで切断するなどして、パワーLEDを安定して置けるように加工する。

 この加工は懐中電灯によって変わるので、各自でアレコレ工夫して欲しい。ポイントは反射板に開けた穴とLEDを固定する位置がピッタリ合うようにすること。またLEDが反射板よりレンズ側に少しはみ出るぐらいの高さに調節する。

 豆電球ソケットの穴は小さいため、そのままではパワーLEDは上手く固定できない。ソケットの一部を削るなり、ニッパーで切断するなどで、安定して置けるよう加工するLEDを固定したところ。この加工は懐中電灯によって変わるので、各自でアレコレ工夫して欲しい

(3)パワーLEDに電線を半田付けする

基板をよく見るとプラスとマイナスの刻印がある。これに合わせて半田付けをする

 基板をよく見るとプラスとマイナスの刻印があるので、これに合わせて電線を半田付けする。このときホルダーを取り付けて電線を通す穴も確認しておくこと。またパワーLEDはLED電球と同様に熱を出すので、半田付けする基板がアルミの放熱器を兼ねている。そのため基板の半田付けする部分を温めてから、電線を半田付けしないと、上手く付かない。このあたりは非常に難しい。

(4)懐中電灯のスイッチにつながるプラスの端子に電線を挟み込む

 懐中電灯の金属板は、サビ防止のためステンレスになっている場合が多い。しかしステンレスは半田付けが効かないので、電線を樹脂と金属端子の間に挟みこむなどしてつなげる。これも強力ライトによりけりなので、いろいろ工夫が必要となる。ただし瞬間接着剤などで電線を端子に接続するのだけは避けたい。接着剤が電気を通さないのでLEDに電気が流れなくなる。

懐中電灯の金属板はステンレスになっている場合が多いが、ステンレスは半田付けが効かない。電線を樹脂と金属端子の間に挟みこむなどしてつなげる

(5)LEDホルダをホットボンドなどで固定する

 仮組みをしながら、LEDの取り付け位置を調整し、ホットボンドなどでLEDのホルダを固定する。なおLEDとLEDホルダーはめ込むだけで固定できるようになっている。このとき、ホルダーにはめるレンズ(後述)は、まだ付けずにおく。

ホットボンドなどでLEDのホルダを固定する

(6)抵抗を乾電池スペーサーの中に埋め込む

 ここでは電池を4本使うタイプの懐中電灯を使っているが、うち3本を乾電池にして、もう1本に乾電池スペーサーを入れる。このスペーサーの中に抵抗を入れることで、4.5Vで光らせている。

 乾電池スペーサーの加工方法は、まずマイナス側にセメント抵抗を半田付けする。次にセメント抵抗の反対側の足をスペーサーのプラス端子の穴に通して、マイナス側のフタを閉じる。最後にスペーサーのプラス端子とセメント抵抗の足を半田付けする。

電池を4本使うタイプの懐中電灯をベースとしているが、そのうち1本に、抵抗入りの乾電池スペーサーを使っている
セメント抵抗の足をスペーサーに半田付けする

(7)電池と抵抗の入ったスペーサーをセット。これで一旦完成

 乾電池3本を強力ライトにセットし、最後に抵抗入りのスペーサーを入れる。その上にLEDをつけたユニットを乗せ、最後にレンズキャップをして密閉する。スイッチをONにして、LEDが輝けば完成だ。パワーLEDのレンズは付けていないので、広範囲を照らせる強力ライトになったはずだ。

セメント抵抗の足をスペーサーに半田付けする。基本的にはこれで完成だ

(8)パワーLEDのレンズを交換できるようにする

 ここで使っているパワーLEDは、ホルダーに付けるレンズが取り替えられ、照射角度が45度に絞り込めるようになっている。しかしいったんホルダーにレンズをはめてしまうと、なかなか取り外しができなくなる。そこで、少しホルダーを加工してみた。

 ホルダーの端を2カ所、金やすりなどで削り、レンズを取り替える際にドライバなどを滑り込ませる隙間を作った。これで、レンズの着脱ができるようになり、レンズを交換することで光が絞り込める。

ホルダーのフチを2カ所だけ、金やすりで削って取り外しできるようにする用途に合わせて光を絞り込んだり、拡散させたりと、市販の懐中電灯では真似できない機能が実装できる!レンズなし。光は集約されず広範囲を照らし出し、その範囲は2m以上あった。中央部の明るさは80lx
15度のレンズは、およそ60cmほどに光が収束される。約1m離れた壁中央部の明るさは400lxと、仕事や勉強もできる明るさ30度のレンズは、中央の明るい部分は60cmだが、その周りまで光が広がっている。中央の明るさは374lxと15度とそれほど変わらない45度のレンズは、およそ90cm程度まで明るい部分が広がり、中央部の明るさはリビングなみの212lx

(9)抵抗をLEDのユニット上に載せて、6Vで駆動してみる

 手順では電池3本で点灯しスペーサーに抵抗を入れたが、もしライトにスペースが十分ある場合は、電池4本で点灯させLEDユニットに抵抗を配置することもできる。その場合に使う抵抗は3Ω(3.14Ω)となる。

これは以前、筆者がキャンプ用に作った懐中電灯(パナソニック「BF-BS10」がベース)。電池4本式でLEDユニットに抵抗を持たせている長時間点灯させる場合もあるかと思いパワーLEDに放熱板を付けたが、それほど熱くならなかった

最上級編:乾電池1本で点灯する超小型LED懐中電灯を作る

 さて、これまでは今ある懐中電灯をLED化したが、最後はまったく違ったもので、単一乾電池サイズの超ミニLED電球を作ってみよう。使用するのは、先程も登場した、単一乾電池サイズのスペーサーだ。

 LEDを光らせるのに必要な電圧はおよそ3.5Vで、実は乾電池2本では電圧不足で点灯しない(ことが多い)。でもDC/DCコンバータという部品を使えば、電池1本の1.5Vを5Vまで引き上げられるため、点灯できる。コンバーターは価格も500円ほどとリーズナブルで、しかも1cm角という小ささ。さらに1.5Vの電池を使うと出力できる電流は25mAまでと、砲弾型LEDを光らせるには十分だ。

余った乾電池スペーサーを使って、単三電池1本で点灯する超小型LEDライトを作ってみよう工作に使う材料。一番手前の細長いガラス管は、右の四角磁石を近づけるとスイッチが入る「リードスイッチ」と呼ばれるものだが、使いにくかったので押しボタンスイッチに変更した

【材料】

部品名数量単価購入店
昇圧型DC/DCコンバータ 5V 0.2A出力
StepUP・DIP-Ver.2
1500円秋月電子
電源1.5Vだと25mA、3Vだと150mAまで出力可能
超高輝度白色LED 5mm
OSPW5111A-YZ
1100円秋月電子
VF:3.4V IF:20mA
定電流ダイオード(18mA)150円秋月電子
IF20mAのLEDなので、わずかに暗くなるが誤差程度
5mmLED用リフレクタ・レンズ1100円千石電商
現在レンズの取り扱いなし。通販サイトなどを検索
押しボタンスイッチ(オルタネート:基板用)1120円千石電商
とにかく小さいオルタネートタイプを選ぶ
単三→単1電池スペーサ(パナソニック)1500円電気店・ホームセンター
2個で1セット(パナソニック製がオススメ)
電線(30cmほど、模型用でOK)
VFF 0.3~0.5mm2
1200円電気店・ホームセンター
1mが何本かセットになっているものでOK
※【工具】ホットボンド、半田ごて、半田、ニッパー、ペンチ、金やすり(四角)、ドリルまたはキリ

 この工作のポイントは、LEDに流れる電流を制御するのに、抵抗ではなく「定電流ダイオード」と呼ばれるものを使っている点だ。これは読んで字のごとく、電池とLEDの間に挟み込むことで、一定の電流が流れるという部品。およそ5V以上の電源が必要になるため、コンバーターを使う場合にはちょうど良いが、乾電池3本だと抵抗を用意する必要がある。なお定電流ダイオードには、流れる電流により種類がいくつかある。今回使ったのは18mAで、LEDの標準的な電流の20mAより若干少なめとなっている。

とにかく小さく作らなければならないので、5mm角の押しボタンスイッチを使った。一度押すとON状態でロック、もう一度押すとOFFになるオルターネートタイプを選ぶのがポイント

 また、電源のON/OFFを切り替える押しボタンスイッチも用意した。押しボタンスイッチで重要なのは、必ず「オルタネート」と呼ばれるものを選ぶこと。普通の押しボタンスイッチは、押している間しか電気が通じないが、オルタネートタイプはノック式のボールペンと同じで、一度押すとスイッチが入った状態を保持し、もう一度押すとスイッチが切れた状態になる。

 また、ケースとして使用する電池のスペーサーは、フタが閉まるパナソニック製がオススメだ。

(1)LEDの長い足の方に定電流ダイオードを半田付け

 定電流ダイオードには、電池のプラスに接続する足とマイナスに接続する足に分かれている。小さくて非常に見づらいが、ダイオードに帯が書かれている側が電池のマイナス側とつながるように配線する。

定電流ダイオードのプラスとマイナスの足に配線する電源スイッチはDC/DCコンバータに接続する電源をスイッチでON/OFFできるようにする。DC/DCコンバータの出力側にスイッチをつけてしまうと、常に電池が消費されてしまう

 また今回は、光を広げるために、砲弾型LEDの反射板(リフレクター)とレンズを使っている。白い樹脂製のものが反射板の台座になるので、必ずLEDをはめ込んでからダイオードを半田付けをする。

(2)定電流ダイオードとLEDに、電線を半田付け

 定電流ダイオードの帯が書かれていない側の足には、電源のプラスにつなげる電線を、LEDの足にはマイナスにつなげる電線を半田付けする。

(3)電池スペーサーの加工

 電池をセットするスペーサー部分には、DC/DCコンバータを取り付ける穴とスイッチをつける穴、そして電線を通す穴を開ける。ドリルで大まか穴を開け金やすりで削るのが一番早いが、ドリルがない場合はキリで穴を開けてヤスリで拡張するか、半田ごてで樹脂を溶かして穴を開ける。

定電流ダイオードに電線を半田付けする電池をセットするスペーサー本体には、DC/DCコンバータを取り付ける穴とスイッチをつける穴、そして電線を通す穴を開ける

(4)DC/DCコンバータの電圧出力端子に、LEDからの電線を半田付け

 DC/DCコンバータには8本の足が出ているが、実際に使うのは出力のプラス端子とマイナス端子(Gという表記がある)、電池のマイナスとプラスをつなぐ端子の計4本だけだ。その他の足はカットしてもかまわない。筆者は秋月電子で買ったが、どの足に何を接続するかの説明書が付いてくるため、それにしたがって半田付けするだけでラクだった。

DC/DCコンバータには8本の足が出ているが、実際に使うのはうち4本だけDC/DCコンバータは秋月電子で買ったが、説明書が付いてくるのでラクだった(秋月電子のマニュアルより一部抜粋)
スペーサーの側面に穴を開け、内部に電線を引き込む

(4)電池のプラス側の配線をする

 スペーサーのプラス端子に電線を半田付けして、側面に穴を開ける。そこから内部に電線を引きこむ。左の写真では試作のリードスイッチがついているが、実際には押しボタンスイッチを取り付けた。

(5)押しボタンスイッチとDC/DCコンバータの半田付け

 押しボタンスイッチから伸ばした電線は、DC/DCコンバータの入力のプラス端子に半田付けする。また入力のマイナス端子(G)は、スペーサーのマイナス端子に半田付けする。

スイッチから伸ばした電線を、コンバータの入力のプラス端子に半田付けする。入力のマイナス端子は、スペーサーのマイナス端子に半田付けする

(6)LEDにリフレクターとレンズを取り付け、電池を入れて完成

 リフレクターの台座は瞬間接着剤などで固定する。さらに、DC/DCコンバータや押しボタンスイッチなども接着剤で固定。あとはLEDにリフレクターとレンズをはめ込み、電池を入れてふたをすれば完成だ。

リフレクターの台座は瞬間接着剤などで固定LEDにリフレクターとレンズをはめ込めば完成元々が単三→単一のスペーサーなので、電源は単三型だ
1m先に向けると、およそ25cm程度の範囲が照らせる。明るさは15lxだが、暗闇で階段を照らすなどにはじゅうぶん使える

 というわけで、手のひらにスッポリ収まる超小型LEDライトが完成した。スペーサーにはプラス側に凸部分があるため、中央にLEDを取り付けられなかったが、乾電池1本でもLEDは眩しく輝く。実際に停電のときに使ったが、真っ暗な階段も十分に照らすことができた。本体が小さくても明るく照らせる、それがLED懐中電灯の力だ。

LED懐中電灯を自作するポイント

 LED懐中電灯の自作については以上だが、作るに当たって、ポイントをまとめておこう。

・LEDを電池に直接つなぐと玉切れする。砲弾型のLEDの電流は20mA程度で、抵抗を入れて電流を制御しないと、電流が流れすぎてしまう。

・LEDにはプラスとマイナスがあり、これを間違えるとLEDは点灯しない

・必要な抵抗は小学校の算数程度でわかる

 個人的に嬉しかったのが、この懐中電灯を応用して、ウン万円のビデオ用のライトが数千円で作れてしまったこと。もちろん現役で活躍中だ。

筆者がHDカム用に作ったビデオライト。もちろん現役で活躍中! 確か1万円もかかってない、いや5千円以下で作ったように記憶している。ディフューザ(拡散させるフィルタ)を使うと影も薄くなる

 なお、自作したLED懐中電灯には、暗い場所でも分かるよう、蓄光塗料を塗った。前回常備灯を取り上げた際に、暗い場所で光っていた方が便利なことが分かったからだ。


値段が高めのスプレー式油性蓄光塗料(2,000円)ではなくて、お手軽な水性塗料を買ってきた。それでも1本800円塗料はプラスチックに対して食いつきが悪い(塗料がくっ付かない)ので、紙のシールなどに5度塗りぐらいして、蓄光テープを作ってみた。厚く塗るほどよく光るみたいだ
保護用にセロテープなどを貼ってできあがり真っ暗闇でもかなり光って目立つLED懐中電灯になった

 工作に自信がある方なら、ぜひ一度チャレンジしていただきたい。また実際に自作しなくても、LED懐中電灯がどのような仕組みで点灯しているのかがわかっていただけただろう。





2012年6月22日 00:00