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食材がその場で買えるスマート冷蔵庫など、白物家電は韓国製が注力~CES 2016
(2016/1/12 13:55)
2016年1月6日~9日に、米ネバダ州ラスベガスで、家電見本市「CES 2016」が開催された。全世界から3,800社以上が出展。米国以外からの来場者5万人を含む、17万人以上が期間中に訪れ、世界最大の家電見本市としての記録を更新する盛り上がりをみせた。
CESの主催者の名称がCEA(全米家電協会)から、CTA(全米民生技術協会)へと変更。イベントの呼称も、コンシューマ・エレクトロニクス・ショーから「CES」と呼ぶようになるなど、コンシューマ製品を中心とした展示に加えて、コンシューマ向け技術を活用したBtoB提案の場にも変化した。
2013年に、津賀社長がCESの基調講演で、同社の経営方針をBtoB事業へとシフトすることを鮮明に打ち出すとともに、展示ブースでもBtoBの展示を中心として以降、こうした動きが全体的に加速。今年のCESでは、日米欧の自動車メーカー9社が出展するなど、自動車産業との関わりも強く感じられた展示会であったといえよう。
韓国勢が家電製品に注力。LGはデザイン性を重視した高級家電
そうしたなか、家電製品に力を注いでいたのが韓国勢だ。
LG電子では、デザイン性を重視した新たなシリーズ「LG SIGNATURE」を発表。「SENSIBLE」、「PREMIUM」、「EXPERIENCED」という切り口で高級家電市場に、冷蔵庫、洗濯機、有機ELテレビといった製品をラインアップしてみせた。
冷蔵庫では、「Knock-on Door in Door(ノックオン・ドアインドア)」を採用。ガラス部をノックすると、透明になり、中身の様子をみることができる。また、下部のセンサーが人の足を認識して、扉が自動的に開くオートドアオープンも採用しており、両手がふさがっている場合でも扉を開けることができる。さらに新開発のコンプレッサーの採用で、冷蔵庫本来の性能を高めているという。
洗濯機では、17度の傾斜角を採用したエルゴノミクスデザインのドラム洗濯機を投入。投入口を14.6インチと大きくして、使い勝手を高めている。独自のCentum Systemや2層の洗濯槽を持ったTwin Washを採用。スマホからの操作ができるようにしている。
空気清浄機では、10年間保証のフィルターも用意。PM1.0にも対応できるとしている。
また、同社は、1966年に韓国市場に第1号テレビを投入して以来、今年で50年目を迎えており、LG SIGNATUREシリーズとして、薄さ2.57mmを実現したUltra HD Premium規格に準拠した有機ELテレビを投入し、記念の年に花を添えることになる。
サムスン、冷蔵庫をタッチするだけで食材が買えるスマート冷蔵庫など
サムスンは、IoTを前面に打ち出した展示が印象的だった。
会見では、Smart Thingsに参加しているデベロッパーが2万社に達していること、200種類の対応デバイスが出荷されていることなどを通じて、オープンなIoTプラットフォームになっていることを強調。会場でもブース中央にはSmart Thingsを展示してみせた。
家電の新製品としては、黒のステンレススチールを使用することで高級感を持った、洗濯機の新製品を今年春に投入することを発表。中央コントロール型で、手軽な操作を可能にするActive Wash機能を搭載し、様々な機能を利用しやすくした。
冷蔵庫においては、21.5型のフルHD対応タッチパネルディスプレイを搭載した新製品「Family Hub」を投入。スマホと連動して、食品を管理する新たなサービスを提供することも発表した。冷蔵庫に入っている食材の状況をスマホに表示。スーパーなどに出向いた際に、スマホを見ると冷蔵庫のなかの様子を映像で表示する。
卵が消費期限に近づいており、追加購入が必要であるなど、購入し忘れないように指示する。また、冷蔵庫のディスプレイをタッチするだけで、必要な商品を購入することができるサービスも提供する。同サービスでは、マスターカードと提携。同社と共同開発したGROCERIESを利用することになる。
テレビについては、Ultra HD Ultraに対応したテレビや、8Kテレビ、そして、ディスプレイの形が変化するTransformable TVを発表する一方、Taizenを搭載したテレビが2,000万台に達したこと、600社のプレミアムパートナーがいることなどを示した。
パナソニック、美容家電や調理家電など北米市場の主力製品を展示
東芝、シャープが出展を取りやめた日本勢は、ソニーとパナソニックの2社が大規模展示をしたが、家電製品ではパナソニックがいくつかの製品を展示していた。
同社ブースでは、今年秋に北米市場に投入する予定の泡洗顔機をはじめ、ナノイー技術を活用した理美容製品、メンズシェーバー、ハイパワーブレンダー、マルチクッカー、ブレッドベーカリー、ロボット掃除機などを展示。北米市場に向けては、調理家電と理美容製品を展開していく同社の主力製品をデモストレーションした。
また、スマートホームエリアでは、キッチンとリビングにおける少し先の暮らしを表現。IFAでも展示したフリーゾーンIHや、コードレス調理家電、キッチンスクリーンとクラウドサービスを組み合わせたデモストレーションを行なった。
このほか、透明液晶ディスプレイを活用することで、家具に統合したファニチャーディスプレイをデモ。カーペットの四隅にスピーカーを埋め込んで臨場感のある音が体験できるラグスピーカーも参考展示した。
そのほか、2016年から、北米市場でサービスを開始するホームモニタリングシステム「ORA」のコーナーも用意。ORAでは、スマホを利用して、外出先から家の施錠をしたり、照明や室温、音楽再生などの遠隔操作できるほか、監視カメラとの連動により、外出先から、家の外や中を確認することも可能になる。
そのほか、Ultra HD Premiumテレビ「DX900」や、欧州市場で販売を開始している有機ELテレビ「CZ950」、パナソニックがバッテリーを供給しているテスラのモデルSを展示。高速プロジェクションマッピングも初公開した。
ソニー、「LED電球スピーカー」の米国展開を発表
そのほか、ソニーでは、Life Space UXの新製品として、電子ソケットに差し込むだけで家のどこでも、音楽を楽しめる「LED電球スピーカー」を、日本に続き、2016年には米国向けに発売することを明らかにした。
また、グラスサウンドプレーヤーを、日本では今年春、米国では2016年上期に発売することも明らかにした。グラスサウンドスピーカーは、円筒形の有機ガラスのなかにインテリアに調和する暖かみのある明かりとともに、360度に音を広げることができるスピーカーで、昨年秋のIFAで発表していた。