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【2015 International CES】大河原克行が見たCESの新潮流
(2015/1/14 00:00)
1月9日、米ラスベガスで開催された2015 International CESが閉幕した。全世界から約3,500社が出展、15万人以上の来場者数を誇る世界最大の家電見本市は、電機業界と自動車産業との強い結びつきが見られたこと、スマートホームの進展などIoT(Internet of Things)の浸透にあわせた展示が増加した。
それに加え、主要電機メーカーからは、ソリューション展示の傾向が強まるなど、電機業界の変化を垣間見ることができる内容となった。
2015年CESの特徴は自動車産業との結びつき
2015 International CESは、前評判通り、例年以上に、ウェアラブル端末に注目が集まったほか、8Kテレビや4Kテレビによる新たなテレビの技術および製品展示が相次いだ。
量子ドットの採用や、HDRといった最新技術もテレビの進化を示す材料となった。また、3Dプリンターを取り巻くベンチャー企業の活発な動きにも注目が集まった。
だが、そうしたなかでも、2015 International CESでは、いくつかの新たな潮流が見られ始めたといっていい。
そのひとつの特徴が、自動車産業との結びつきが、より強固なものになったという点だ。
今年のCESには、トヨタやフォード、GMなど10社の自動車メーカーが出展。さらに、電機メーカーのブースでも、車載関連製品を積極的に展示し、2つの業界の関係が一気に近づいていることを裏付けたともいえる。
パナソニックでは、テスラ・モーターズが発売前の「モデルX」をブース内に展示。パナソニックのリチウムイオン電池を採用していることを示したほか、フォードに納入する最新インフォテインメントシステム「SYNC3」を実演してみせた。
シャープでも、CEATECで展示した車載向けの360度フリービューシステムのほか、円形などの形状に自由にデザインができるフリーフォームディプレイを自動車のインパネなどに応用する用途提案を行なってみせた。
IoT対応の家電でスマートホームが進展
2つめは、IoTを切り口にして、スマートホームの提案が進展した点だ。
開催前日に行なわれたサムスン電子のCEOであるBoo-Keun Yoon氏の基調講演で、同氏は、「サムスンは2017年までに同社製品の90%をIoTに対応させる」と宣言。ブース展示においても、目玉のひとつとして「IoT」を掲げ、家電製品がインターネットにつながることで、新たな生活空間を構築できることを示した。
また、LG電子も、時計型ウェアラブルデバイス「G Watch R」を通じて、音声で家電製品をコントロールするなどのサービスを「Smart Home」というサービスの枠組みとして提案してみせた。
こうした動きとともに、テレビメーカー各社がオープンOSを搭載したテレビを相次いで展示したのも興味深い。ソニー、シャープがAndroid OSをテレビの主力製品に搭載することを発表する一方で、パソナニックはFirefox OS、サムスンはTaizen、LG電子はWeb OSをそれぞれ採用。
スマートテレビ時代の新たなOS競争が始まったことを感じさせるとともに、これからの取り組みが今後の家電との連携や、スマートホームの実現にどう影響するのかが注目されることになるだろう。
“家電と結びついて何ができるか”各メーカーによるソリューション展示
3つめは、1つめの自動車産業との連携強化や、2つめのIoTの広がりとも連携するのだが、ソリューションを軸とした展示が増加している点が見逃せない。
かつては、新技術を採用したテレビやスマートフォン、タブレットといった展示によって、各社が差別化を強調していたブース構成。
しかし今年は、日本勢や韓国勢を中心に、それぞれの家電製品が結びついて何ができるのかといった提案や、自動車や医療分野などの特定の産業への提案を意識したBtoB型の展示が増加していたのが特徴だ。
セイコーエプソンでは、ウェアラブルデバイスのPULSENCEを、年内にも医療機器としての認可を受け、販路を拡大する計画を、同社・碓井実社長が明らかにしたのも、そうした動きのひとつである。
世界的に勢力を伸ばしつつある中国勢が、個別の製品展示に終始していたのとは対照的であり、日本勢、韓国勢が新たな土俵を模索していることが感じられた。これは、今後のCESの方向性を占う動きになるといえるかもしれない。
こうしたいくつかのポイントを捉えながら、2015 International CESの様子を写真で追ってみた。
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