大阪ガス、家庭の使用電力の8割を自家発電で賄うエネファーム

~発電効率は世界最高水準
エネファームtype S

 大阪ガス、京セラ、大阪ガスとアイシン精機、長府製作所、トヨタ自動車の5社は、家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステム(SOFCシステム)を開発したことを発表。大阪ガスが家庭用燃料電池「エネファームtype S」として4月27日より発売する。希望小売価格は2,751,000円。

 エネファームとは、都市ガスなどの燃料から水素を発生させ、空気中の酸素と化学反応を起こして発電、排熱を給湯に利用するシステム。新製品では、水素と酸素を反応させて電気を発生させる「セルスタック」の電解質にセラミックスを採用したことで、作動温度を700~750℃と高温にし、この熱を都市ガスから水素に改質する際のエネルギーとして利用できるようにした。さらに、燃料改質器とセルスタックを収納するモジュールの断熱性を向上させ、より多くの熱を活用できるようにした。

 これにより、46.5%という“世界最高水準の発電効率”となり、発電効率と排熱効率を合わせた総合効率は90.0%まで高まった。連続運転することで、家庭での使用電力の約8割を自家発電で賄えるという。

発電ユニットと排熱利用給湯暖房ユニットから成る

 給湯の機能としては、貯湯タンクのお湯を使いきった場合でも使えるバックアップボイラーを内蔵。バックアップボイラーには、燃焼ガスの熱を再利用する高効率の潜熱回収型給湯暖房機を採用している。

 また、貯湯タンクの容量は、90Lと小型化。ステンレスタンクを薄型化することで、排熱利用給湯暖房ユニットの奥行は310mmとコンパクトになった。これにより設置スペースは最小約1.6立方mで済むという。部品点数や排熱量が抑えられたことで、スペースに制約のある戸建て住宅への設置にも対応する。同社では今後、集合住宅への導入検討も進めていくという。

 従来システムと比較した場合、年間ではCO2排出量を約1.9トン削減し、年間の光熱費を約7.6万円抑えるという。

 なおセルスタックは京セラ、セルスタックを組み込んだ発電ユニットはアイシン精機、排熱利用給湯暖房ユニットは長府製作所がそれぞれ製造している。

 サイズは発電ユニットが600×335×935mm(幅×奥行き×高さ)、排熱利用給湯暖房ユニットが740×310×1,760mm(同)。重量はいずれも94kg。発電出力は700W。貯湯温度は約70℃。サポート期間は10年。






(小林 樹)

2012年3月13日 17:57