夫婦間で押しつけ合いになる家事No.1は「食器洗い」、パナソニック調べ

パナソニックが2月10日に発売した少人数向けの食器洗い乾燥機「NP-TCR1」

 パナソニックは、20~30代の共働き夫婦400名(男女各200名)を対象に家事・食卓に関する調査を行なった。それによると、夫婦の間で押しつけ合いになる家事の第1位は「食器洗い」で、夫婦喧嘩の原因になる家事の第1位は「掃除」となった。また、夫婦間の家事分担についてはルールを決めていない夫婦が多いことが明らかになった。

 夫婦間で押しつけ合いになる家事については、「食器洗い」(12%)、「掃除」(11.1%)、「ゴミ出し」(9.8%)などが上位に挙がった。また、夫婦喧嘩の原因になる家事は「掃除」(24.3%)、「食器洗い」(18%)、「料理」(14.6%)と続いた。

夫婦間で押しつけ合いになる家事については、「食器洗い」(12%)、「掃除」(11.1%)、「ゴミ出し」(9.8%)が上位に、婦喧嘩の原因になる家事は「掃除」(24.3%)、「食器洗い」(18%)、「料理」(14.6%)と続いた
永井暁子さん

 この結果について、家族社会学の専門の日本女子大学 人間社会学社会福祉学科 准教授 現代女性キャリア研究所研究員の永井暁子さんは、「食器洗いと掃除の2つの家事は、妻が夫にお願いする、もしくは、夫が“できる”家事の代表。食事の時間を夫にとっては“団欒”ですが、妻にとってはゆっくりできる時間でないことが多く、食後に早く食器を片づけて“団欒”に移行したいという意識があります。そこに男女の意識の差があり、食器洗いが押しつけ合いや喧嘩のもとになるのでは」と分析する。

 また、「自宅で食事をする際にやってしまうこと」については「取り皿を省略する」(69.8%)、「パックの惣菜をそのまま食卓に出す」(57.3%)、「醤油小皿は使わない」(53.8%)など、使用する食器の数を少なくすることで、食器洗いの負担を減らしている傾向が明らかになった。

 一方、家庭内での家事分担については「ルールはないが、なんとなくできあがった役割分担がある」という人が67.6%を占め、夫婦間で家事分担についてルールがない人が多かった。しかし、実際の家事分担については平均で「妻:夫=8:2」という結果で、共働きであっても妻の方がかなり多くの家事を負担しているという。

 家事分担についての満足度についての設問では、「満足している」と答えた夫が69%に対し、妻は54%という結果になった。

 これについて永井さんは、「夫婦の家事負担が妻に偏る傾向は、共働きの家庭でもまだ見られます。妻の満足度が50%を超えているのは、本当に満足しているのではなく、諦めていたり、『他の男性と比べればまだマシ』という意識からではないかと思います」とコメントした。

 調査では、食器洗い乾燥機(以下、食洗機)を持っている妻と持っていない妻の、夫婦関係の満足度や家事分担の満足度についても言及している。「夫婦関係の満足度」についての設問では、食洗機を持っている妻の82%が満足と回答している一方、食洗機を持っていない妻は69%にとどまったという。また、「家事分担の満足度」についても、食洗機を持っている妻の60%が満足しているのに対し、非保有者は48%となり、結果に差が生じた。

食洗機を持っている妻の方が夫婦関係の満足度や、家事分担の満足度が高かった

 さらに、食洗機を持っている夫婦に購入後の変化について尋ねたところ、「自分の家事分担が減った」(妻83%、夫59%)、「時間に余裕が生まれた」(妻81%、夫76%)、「自分の時間が増えた」(妻78%、夫56%)など、家事負担の軽減や精神的なゆとりが増えた充実感を答える人が多かったという。パナソニックでは食洗機が夫婦関係を良好にする“幸せ家電”だとしている。

 永井さんは、今回のアンケート調査の結果について「家事分担に不満がある場合の解決策として、『外部化』(クリーニングなど)、『合理化』(家電の購入など)、『省略化』(頑張らないなど)という方法がありますが、食器洗いは外部化しづらく、皿を使わないという以外に省略もできないので、食洗機の購入による合理化は有効な解決策になり得ます」と語った。






(阿部 夏子)

2012年2月17日 14:48