家電製品ミニレビュー
光のアクセントが心地よい、シャープのオシャレな加湿器「S-Style」
by 藤原 大蔵(2015/12/7 07:00)
空気が40%以下に乾燥した状態は、目や肌の乾燥だけでなく、風邪のウイルスやカビ菌が活性化し、健康にも影響をもたらすと言われている。さらに、ホコリも舞いやすくなり、イヤな静電気も起きやすい。
健康に快適に暮らすためにも、暖房を使い始めたら加湿器を活用し、室内の湿度を適度に保ちたい。そこで今回は、シャープの「加湿器 HV-EX30」を紹介しよう。デザイン性を重視したという”S-Style”シリーズのモデルで、高濃度プラズマクラスターも搭載している。
メーカー名 | シャープ |
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製品名 | S-style加湿器 HV-EX30 |
加湿方式 | 気化式 |
適用床面積 | 木造和室5畳、プレハブ洋室8畳 |
加湿量 | 300mL/h |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 24,580円 |
HV-EX30の特徴は、温度と湿度のWセンサーで感知し、おまかせの自動運転ができる点。独自のイオン「高濃度プラズマクラスター7000」を搭載しているので、加湿しながら浮遊ウイルスの作用を抑え、浮遊カビ菌、ニオイも除去してくれる。
部屋の湿度状態に応じて、LEDのイルミネーションカラーが点灯し、湿度の状態がわかりやすくビジュアル化してくれるのもポイント。意匠的な光のアクセントとしても楽しめる。
加湿方式は「気化式」を採用している。気化式は、器具内部のフィルターに水を含ませ、そこに風をあてて湿気を含ませた風を放出するタイプだ。蒸気や水煙が見えないタイプなので、一気に加湿する方式ではないぶん、結露に繋がる加湿のし過ぎが起きにくく、消費電力が断然低いのが特徴だ。
本体は、奥行き300mm弱の棚の上にも難なく置けるほどの大きさ。加湿量は300mL/hで、シャープの加湿器ラインナップの中では、パーソナルタイプと位置づけられている。
タンクの容量は2.4L。強運転での連続なら約8時間分、弱運転なら約16時間分とたっぷり入る。タンクの給水口は、内部を手で洗えるほど広く、タンクキャップは力を込めやすい。
運転モードは「自動/弱/強」の3段階で選べるが、「自動」を選んでおけばセンサーが働いて、温度・湿度の変化に応じて風量を切り換え、湿度コントロールを任せっきりにできる。
水面に揺れる光、ゆったりと点滅する水滴を模したLEDが湿度状況を静かに教えてくれる
スイッチを入れて最初に目に入ってくるのが、やはり湿度状況を光で知らせてくれるLEDのイルミネーションだ。イルミネーションは色付きのLEDが単純にペカペカ光るものではなく、本体の2箇所から同じ色で、表情豊かに優しく輝く。
1つは本体左側の「給水タンクモニター」側から。本体内部の底の方にLEDが組み込まれ、水タンク全体を照らした光が、奥行きのある立体的な間接光となって透明な窓から覗く。
もう1つは本体中央の水滴を模した「現在湿度表示モニター」が、加湿運転中に点滅する。その様子は時をゆったりと刻むような、穏やかな光の点滅だ。これら2つの光が、透明なドーム型カバーを介して、滲み出るように放たれる。
もちろん、この2つの光は単なる装飾ではなく、部屋の湿度を5色の光でビジュアル化して知らせてくれる。乾燥していれば(約35%未満)橙色に点灯。湿度が10%上がるごとに、黄色、黄緑、水色と変化し、70%を超えると紫色に点灯する。
イルミネーションの明るさも調節できる。操作部にある「モニター明/暗/切」ボタンを押すだけで、2段階の明るさが選べ、消すこともできる。
タンクの水が無くなると、警告音が鳴って、タンク側は赤色で点滅して知らせてくれる。器具の操作部を覗きこまなくてもいいのでわかりやすい。運転は自動的に停止し、水滴マークは消える。
さらに、イルミネーションはアクセントライトとして、湿度表示とは別に意匠的にも活用もできる。明るさを2段階で調整できるほか、消灯も可能。切り換えは、「モニター明/暗/切」ボタンを3秒以上長押しするだけだ。
イルミネーションは約30秒かけて、橙色から紫色へとゆっくりと色が変化する。湿度モニター時と違い、この時は水滴マークが点滅しないので区別しやすい。明るさも同様に調節できる。
弱運転時はとても静か
運転音はとても静かだ。ホットカーペットを使用していた気温20度の8畳の部屋で使ってみた。「自動」で運転をスタートすると、初めは「強」で運転が始まった。やはり乾燥していたのだろう。強はハッキリとファンが回る音が聞こえる。だが、器具から数メートル離れれば、テレビ視聴の妨げにはならない程度の音だった。その時の湿度は、黄色いイルミネーションで表されていた。
運転を始めてから1時間もしないうちに、イルミネーションは黄緑色から水色に変わり、運転は「弱」運転へと自動的に切り替わった。弱運転になると、ファンが回る音はほとんど聞こえないほど静か。これならば、仕事場はもちろん、就寝時でもほとんど気にならない。
実際に就寝中に使ったが、ファンの音は眠りをまったく妨げる事なく静かなままだった。湿度が十分足りた時、ファンは自動的に停止し、時折弱運転に切り替わる。人の出入りがなくなって閉めきった状態が続くと、強運転にはならかった。目覚めた時に手持ちの湿度計を見ると、部屋の湿度は53%。丁度いい湿度具合で、朝まで快適に眠れた。
プラズマクラスターは加湿しながら作動している。ただし、プラズマクラスターの効果を最大限に引き出すには「強」運転にしなければならないが、弱運転中もプラズマクラスターが作動しているので、どこか安心感がある。浮遊ウイルスやカビ菌がどのぐらい作用するのか、具体的に実感はできないが、少なくとも篭ったようなニオイは減ったように感じた。
プラズマクラスターの単独運転も、運転モードボタンを押すだけで切り換えられるので、 目的に応じて使い分けるといいだろう。単独運転中はタンク側のLEDは消える。運転モードボタンの長押し操作で、プラズマクラスター機能を止める事もできる。
運転中の消費電力は低い。ワットチェッカーで計測してみると、弱運転時は2W、強運転で8W、プラズマクラスター単独で7Wだった。
1日1回の給水として1カ月の電気代を試算してみると、弱運転なら(満水で16時間)たった25円、強運転(満水で8時間)でも49円に過ぎない。電気代をほとんど心配せずに、毎日気軽に使えるだろう。プラズマクラスターを単独で1日中(24時間)運転し続けた場合でも、1カ月で129円だ。
お手入れは必要だが、そのタイミングを知らせてくれる
加湿器で避けられないのはお手入れだが、本製品はお手入れのタイミングを知らせてくれる。加湿時間が240時間に達すると警告音が鳴り、操作パネルの「お手入れ」ランプが点灯する。手入れのタイミングがわかりやすいのは便利だ。
お手入れランプが点灯したら、タンクをはずし、トレーを引き出して各パーツを説明書に則って洗う。取り外しが簡単な青い加湿フィルターは、抗菌・防カビ加工されており、8シーズン(約48カ月)使用できるもの。ニオイや水垢が付かない限り、普段はキレイな水で洗うだけでOK。気化式は加湿器の中でもお手入れは比較的カンタンな方なので、こまめに手入れしたい。
エアコン暖房なら加湿器は必需品!
もしも暖房にエアコンをお使いならば、加湿器は必需品だ。石油やガスの燃焼系の暖房と違い、エアコン暖房はまったく水分を放出しない。エアコン暖房で気温を上げると、湿度が極端に低くなりやすい場合が多いからだ。湿度が40%以下になるのは、冒頭でも述べている通り健康に良くない。
価格は気化式の中では高価な部類になるが、その中では加湿量は多め。強運転でも余裕で一晩中使えるほど、水タンクの容量も大きい。加えて、イルミネーションも含めた意匠的な美しさと、プラズマクラスターが備わるのは、他には無い魅力的なポイントだ。
HV-EX30は、静かに、穏やかに適度な湿度を与え、視覚的にも心地良い空間を演出してくれる。暖房を本格的に使うこれからの季節に、おおいにオススメしたい加湿器だ。