家電製品ミニレビュー

ツインバード「コンベクションオーブン TS-4118」

~オーブン料理がジューシーに仕上がる本格派オーブン
by 阿部 夏子
ツインバード「コンベクションオーブン TS-4118」

 スチーム調理機能や自動調理メニューが搭載された高機能オーブンが人気を集めているが、パンを焼くのはやっぱりオーブントースターが良いという人は意外に多いのではないだろうか。

 毎朝パンを焼くといういうパン食派の人はもちろん、オーブン料理は根強い人気がある。今回紹介するのはパンを焼くのはもちろん、小型のトースターでは作れない大物のオーブン料理まで対応するツインバードの「コンベクションオーブン TS-4118」だ。


メーカーツインバード
製品名コンベクションオーブン TS-4118B
希望小売価格15,750円
購入場所楽天市場
購入価格7,980円


 この製品の特徴は、なんといってもその庫内サイズ。製品情報のページによると、パンなら半斤そのまま焼けるという。そのシチュエーションが頻繁にあるかと問われれば考えてしまうが、家族が大きい人や、塊肉を一気にオーブンで焼き上げたいときなど庫内が広いのはやっぱり便利だ。

 また1万円以下で購入できるという価格も魅力の1つ。価格の割にデザインのクオリティは高く、まったく安さを感じさせない。昔ながらのオーブンのようなダイヤル式のツマミもまた良い味を出している。

本体側面土台部分は流れるようなデザインが施されている前面の扉はガラス製

 さて、実際の調理に移る前にまずは庫内の様子から見ていこう。上下に配置されたヒーターは上下に2本づつのヒーター、庫内奥には熱の効率を高めるV字型の構造を採用している。また、TS-4118では、庫内の風を循環させることにより、効率的に熱を食材に伝えるコンベクション式(熱対流式)加熱にも対応する。風を発生させるファンは庫内奥に設けられており、ファンの起動はスイッチで調節可能だ。

庫内の様子。右奥にファンが設置されている上下に2本づつヒータが設置されている

 庫内には2段の段が設けられているが、これは火加減の調節に用いるもので、2段一気に調理ができるわけではない。

 本体の操作は、本体前面の操作部で行なう。温度、ヒーターの切り換え、タイマーの操作は全て縦に3つ並んで設置されているツマミで行なう。温度は100℃から250℃まで10℃づつ調節可能。ヒーターは上ヒーターのみ、下ヒーターのみ、上下ヒーターのみの3段階で調節できる。本体の電源はタイマーで調節する。OFFから最大60分まで設定可能だ。
できる。

本体前面の操作部。基本的な操作は全てツマミで行なういちばん上のツマミは温度調節を行なう。100℃から250℃まで設定可能真ん中のツマミではヒーターの入・切を設定する
電源はタイマーツマミで調節する操作部の一番下にはファンの切換を行なうスイッチがある

 本体には焼き網として使用するワイヤーラック、天板、ピザプレートのほか、ヒーター上に設置して使用するくず受けが付属する。付属品を見ているだけでも、これはトースターだけに使っていたらもったいないなと思わせられる。というわけでさっそく実際の調理に移ろう。

パンを焼くときなどに使用するワイヤーラックオーブン料理やグリル調理に便利なグリル皿ピザを焼くとき専用のピザプレート
本体底部に設置して使用するくず受けグリル皿の出し入れに使用する取っ手も付属する

トースターは7分前後

山型のイングリッシュブレッド2枚を庫内にセットしたところ。まだスペースには余裕がある

 まずはオーソドックスな食パンから焼いていこう。冒頭で庫内の広さを挙げたが、TS-4118 では四角い食パンはもちろん、山型のイングリッシュブレッドにも対応する。

 この製品ではトースト、ピザ、グラタンなど普通のトースターでよく目にする個別のメニューなどは特に設けられていないため、温度や時間はその都度設定する必要がある。説明書にはトーストピザ、グラタンなど代表的なオーブントースター料理の加熱時間の目安、適温が表示されているが、本体には記載がない。時間や温度が設定されたメニューボタンに慣れきっていると最初はやや戸惑うかもしれない。

 まずは普通の食パン2枚を焼く、説明書によると加熱時間は約7分、温度は250℃の設定だ。TS-4118では、前開き型の扉の全面がガラス張りのため、調理中の様子がよくわかる。自動設定メニューが搭載されていない分、外側から焼き上がりのチェックができるので、好みの焼き上がりになったら取り出すというようなツウっぽい使い方ができる。

 私のトースターの好みは焦げる一歩手前のカリカリの状態。そのため7分に2分ほどプラスして、庫内から取り出した。うっすらと焦げ目のついた自分好みの焼き上がりになった。上下にヒーターが配置されているため、表面よりは焦げ目は薄いものの、裏側もしっかり焼けていた。

焼き上がり。自分の好みに合わせてちょっと長めにトーストした裏側。焼き網の後がしっかりついている。が、焼き色は表に比べるとかなり薄い

 気になったのは焼き上がりまでの時間が少々長いこと。庫内が広いため、加熱するまでの時間が掛かってしまうのだろう。忙しい朝に8分近く時間を取られるとなると、毎朝パンを食べるという人にとっては少々ネックになるかもしれない。

グラタン2皿が一度に入る!

庫内が広いため、グラタン皿2つも余裕でグリル皿に乗る

 次は、この製品の特徴でもある広い庫内を活かして、グラタンを作ってみよう。小型のオーブントースターでは1つしか入らないグラタン皿もTS-4118なら一度に2皿焼けてしまうのだ。

 温度は最高の250℃度設定して、あらかじめ10分程度予熱をしてから、25分程加熱した。今回は熱対流式加熱をするために、前面のファンスイッチをオンにしての加熱だ。TS-4118では、風を発生させるファンのスイッチが設けられているため、状況に応じて使い分けることが可能だ。

 たとえば、トーストなど短時間で仕上げたいときは庫内の温度も短時間で上げたいので、ファンは付けない方が良さそう。ただ、今回のように予熱をしっかりして、ある程度の時間をかけてしっかり仕上げたいときは熱をしっかり循環させるファンを使うと、食材の中まで火がとおり、ジューシーに仕上げることができるという。

 というワケで、今回はファンを起動させて焼き上げた。仕上がりはバッチリ。中はトロトロ、表面はチーズが溶けてカリッとした仕上がりになった。

扉がガラスのため、調理中の様子が外から見える焼き上がり表面のチーズはカリッと、中のソースはとろとろの理想的な仕上がりになった

 グラタンのようなオーブン料理だと、やはりTS-4118の良さが光る。

 ファンで熱を循環させるという焼き方もそうだが、庫内が広いため使うお皿を選ばないというところもやはり大きな利点。今回はグラタン皿以外にも、数人で取り分けて食べるような大きな耐熱皿でもグラタンを作ったが、いずれの場合も庫内にはまだ余裕があった。準備をしておいてあとは焼くだけというオーブン料理は、来客時などに便利な調理法だが、これだけ庫内が広いと、少しぐらい人数が多くても充分対応してくれそうだ。

普通のオーブントースターだとまず入らない大型の耐熱皿でグラタンを作るあさっりと庫内に入ってしまった量が多くてもしっかり中まで加熱できていた

中はジューシー、外側はパリッと! 鶏のグリル

 グラタンの仕上がりを見て、これなら絶対鶏のグリルが合う! と確信した。というわけでさっそく作ってみた。むね肉にあらかじめ下味を付けて、焼くだけという至って簡単な料理。

 温度は250℃に設定。この時も、あらかじめ予熱をして、焼き時間は約25分。仕上がりは写真で御確認いただきたいが、外側はパリッと、中はジューシーな仕上がりで、ちょっと感動すら覚えてしまったほど。豚やビーフに比べて、脂が少ない鶏のグリルは、焼き方によってはパサパサで、味気ない仕上がりになってしまうことがあるが、今回は旨みがしっかり残った。カットして、盛りつけをすれば4人分が一気にできて、かつ見栄えもするので、来客時に便利な一品だ。

下ごしらえして後は焼くだけでOKという簡単な鶏のグリル焼き上がり。表面が良い色に仕上がって、見るからにおいしそう中はジューシーで、外側はパリッとして味の方もばっちりだった。簡単で見栄えがいいので来客時におすすめの一品だ

専用のピザプレートを使って手作りピザを作る

 次に、本体に付属するピザプレートを使って、ピザを作ってみよう。ピザプレートはセラミック製で、この上でピザを焼くと、ピザ生地の余分な油や水分を吸収して、生地がパリッとした仕上がりになるという。説明書のレシピ通りに薄力粉、強力粉、ドライイーストなどを混ぜて、しばらく寝かせたあとに具材を載せていく。

 ピザプレートは、ほかのオーブン料理とは違いプレートそのものを予熱する必要がある。時間はほかの調理法より長めの約20分と指定されている。が、実はこのプレートの扱いに少々手間取った。まず、プレートは平面状で取っ手などがないため、取り出す時にはかなりの注意が必要。また、予熱が終わったあとのプレートは、かなり高熱になっているため、取り出した時の置く場所もあらかじめ決めておいた方がいいだろう。

手作りした生の生地だと、水分が多いためプレートに移すまでが大変だ

 次に戸惑ったのが、作っておいたピザをプレートに移すという作業。手作りの生の生地を使っているため、生地は柔らかくて移動するのに一苦労だ。実は、この作業が苦手で、我が家ではピザを作るときはいつも表面に生地がくっつかない加工がされているクッキングペーパーの上でトッピングをして、ペーパーごと焼いている。

 とはいえ、それではピザプレートの良さが際立たない。というわけであたふたとしていたら、今度はせっかく予熱をしたピザプレートが冷めてきてしまう――と苦戦続きになってしまった。

 最終的に焼き上がったピザは、裏側の生地がはがれてしまった……結局このあとは、挫折していつも通り、ペーパーの上でトッピングをして焼いた。これはどうにも納得がいかないというわけでメーカーの方に確認したところ、やはり予熱段階が大切だという。きちんと予熱をして、その上で素早くピザをプレートに上に移すこと。これが一番のポイントと言えそうだ。

焼き上がり。おいしそう! と思ったのだが……今度はプレートに生地の一部がくっついてしまうという事態に

 実はその後もチャレンジしたのだが、やはり庫内にピザを移すという工程につまずいてしまった。調べてみると、ピザの専門店などでは、ピザを庫内に移すための専門のピザビールという道具を使っているという。さすがに今回はピザビールの購入は断念したが、次回機会があったら、ぜひピザビールを購入してチャレンジしてみたい。

オーブン料理を楽しみたい人に

 予熱をしっかりすることや、ヒーターの上下の調節などができることから、基本に忠実なオーブンだと感じた。温度調節や、タイマーがつまみ式というのも、昔ながらのオーブンのようで雰囲気がある。コンベクション式の加熱や、広い庫内はオーブン料理が好きな人ならきっと満足出来る製品だろう。

 ただ、予熱に時間がかかる分だけ、パンを焼くだけ、ちょっとしたオーブン温めで使いたいだけ、という人には向かないかもしれない。

 来客が多い人や家族が多い人、ケーキやグリルチキンなどを作ろうとして、庫内の狭さに悩まされたことがある人におすすめの本格派オーブントースターだ。





2009年10月30日 00:00