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第11回:ニッケル水素電池はどれを買えば良い?【後編】

〜間欠利用や残存率まで徹底チェック! キング・オブ・ニッケル水素電池は?
実験するのは、国産の代表的なニッケル水素電池。左から東芝の「インパルス」、パナソニックの「充電式エボルタ」、三洋(現パナソニック)の「エネループ」、日立マクセルの「エコフル」、ソニーの「サイクルエナジー ゴールド」

 いまや、国内の様々なメーカーで販売しているニッケル水素電池。メーカーによって、電池の容量や繰り返し充電回数が違っているため、どの用途に何を使えばいいかわからないという人も多いだろう。

 そこで、今回の実践! 家電ラボでは、国内メーカー5社の乾電池型ニッケル水素電池を集めて、昨日掲載した前編からいろいろな実験を行ない、それぞれの特徴を徹底追求している。今回選んだのは、以下の5機種だ。できるだけ条件が揃うように、電池容量が1,900mAhもしくは2,000mAhのニッケル水素電池を選んでいる。[前編はこちら]

【1】三洋電機(パナソニック)「eneloop (エネループ)」

【2】パナソニック「充電式EVOLTA (エボルタ)」

【3】東芝「充電式IMPLUS (インパルス)」

【4】ソニー「CycleEnergy GOLD (サイクルエナジー ゴールド)」

【5】日立マクセル「ecoful (エコフル)」

 【前編】では、リモコンのような極小電力の機器を除き、300mA程度の小電力、800mA程度の消費電力、そして1,700mAの大消費電力の機器を想定して、日本のメーカーから発売されている代表的なニッケル水素電池で何時間利用できるかを調べた。

 その結果、乾電池により近い電圧を出力する電池や、電圧は低いが長持ちする電池など、各社それぞれに特徴があることが判明した。

 前編では電池がなくなるまでスイッチを入れっぱなしにした連続利用で実験を行なったが、デジカメやストロボなどの大電力の機器では、ONの状態とOFFの状態が繰り返されることが多い。そこで後編となる今回は、スイッチのONとOFFを一定時間で切り替え、電池を使っては休ませてを、繰り返したときの利用時間を調べることにしよう。

 またニッケル水素電池に限った話ではないが、豆電球がまったく点灯しなくなるほど電池をスッカラカンに使った場合、性能に大きなダメージを与えるという話を聞く。しかしWebを当たってみても、どのぐらいダメージを与えてしまうかを示す指標が見当たらない。

 となれば「分からんことは、自分で調べる!やってみる!」をモットーとしている家電ラボの出番だ! 読者の皆さんに代わって(まぁ、それを人柱というんだが…)、電池をスッカラカンにしたときのダメージを調べてみよう!

Do it oneself!

 個人じゃ“もったいなくて”上に“面倒くさい”実験を今日も敢行するぜ!

 前編でも触れたとおり、電池の性能は室温などにも左右される。室温が一定ではない筆者の事務所で実験を行なったので、メーカー公表値や自分で実験したときに、同じ結果にならないことに注意して欲しい。

デジカメやストロボのように、大電流で間欠利用した場合の性能は?

実験装置は前編と同じで、今回は機器のONとOFFを繰り返して何回利用できるかを調べてみる

 まずは、電源のONとOFFを繰り返した間欠利用の実験をしてみよう。基本的な条件は、前編で行なった大電力の実験と同じで、電気を消費する機器の替わりに「0.5Ωの抵抗」と呼ばれる部品を使っている。これでおよそ2,400mA(2.4A)の電流が流れ(内部抵抗を入れると0.7Ω1.7A)、デジカメやストロボとほぼ同様の消費電力となるだろう。

 スイッチのONとOFFの時間は、デジカメなど実際の機器より長めになっている。これはあまりに短時間だとグラフが細かすぎて見えなくなってしまうためだ。今回の実験では、ONの状態を1分、その後4分OFFにしたので、5分でワンセットになっている。

 このような条件で実験した結果が次のグラフだ。

1分ON、4分OFFを繰り返したグラフ。ソニーと日立マクセルが長く使えるのは判別できるが、線が入り組んでいるので2,000mAhクラスと、1,900mAhクラスに分けてみる

 一番長持ちしたのは、69回繰り返せたソニーの「サイクルエナジー ゴールド」で、第2位は66回使えた日立マクセルの「エコフル」となった。この2つの電池は、2,000mAhという容量で他の電池より100mAh多く、大電力の連続利用でも同順位だ。

 次のグラフは、電圧がどれぐらい出ているかを見やすくするために「サイクルエナジー ゴールド」と「エコフル」のみを切り出したもの。

先のグラフから2,000mAhの「サイクルエナジー ゴールド」と「エコフル」のみ表示したもの

 「エコフル」は、連続利用では「サイクルエナジー ゴールド」に比べるとかなり低い電圧で推移していたが、間欠利用では場合によって「サイクルエナジー ゴールド」以上まで電圧が回復しているのが印象的だ。反面、連続利用では電池がなくなる寸前まで踏ん張りを見せていたが、3時間半を過ぎたあたりから電圧が徐々に下がってしまう傾向にある。

 話の骨を折ってしまうが、ここで1つ注意して欲しいことがある。ソニーは69回、日立マクセルは66回という回数で性能を示しているが、この“回数=デジカメでの撮影枚数(ストロボの発光回数)”ではない点に注意して欲しい。実験ではONの状態を1分としているので、実際にデジカメがONになっている時間よりかなり長くなっているためだ。

 さて容量1,900mAhクラスを見てみると、次のようなグラフになる。

1,900Ahクラスのみを表示したもの。東芝のインパルスと充電式亜ボルタはともに64回

 このクラスで一番長持ちは、東芝の「インパルス」とパナソニックの「充電式エボルタ」が64回で同着。同じくパナソニックの「エネループ」はそれより2回少ない62回で最下位となった。これは筆者の推測だが、2,400mAhと大容量の「エネループプロ」がラインナップされている理由は、このあたりにあるのかもしれない。

電池を空っぽまで使った“深放電”にどれだけ強いか?

 ニッケル水素電池の利用できる時間や回数については分かったところで、電池をスッカラカンまで使ってしまったときの電池のダメージについて調べてみよう。ニッケル水素電池は乾電池の代わりとして使う場合がほとんどで、バッテリー残量計付きの機器なんてほとんどないからだ。しかもそのダメージは大きいという。

 規定では「ニッケル水素電池は1.0Vになったことを持って電池がなくなったとする」とある。この1.0Vをカッコよく言うと「終止電圧」で、それ以下の電圧まで電池を使ってしまうことを「深放電」と呼んでいる。

 でも、おもちゃや懐中電灯に入れてあるニッケル水素電池が終止電圧の1.0Vになったかどうかなんてのは、ほぼ判定不可能。なにせおもちゃはまだ動くし、懐中電灯だって、暗いけどまだ灯っている状態なのだ。

 おそらくほとんどのヒトは、1.0V以下の深放電の状態になってようやく「電池なくなったかな?」と感じるだろう。つまり電池残量計の付いている機器を除き、ほとんどのニッケル水素電池は深放電の状態まで使われているハズだ。

 いくら長持ちする電池を選んでも、深放電のダメージが大きいと、利用できる時間や繰り返し充電できる回数が減ってしまう。ニッケル水素電池にとって、深放電の耐久性は大きなポイントとなるだろう。

写真は3Ωの抵抗になっているが、実際の実験では1Ωの抵抗を使って72時間放置した

 さて深放電の耐久性の実験方法は、次のようにして行なっている。

1)満充電したニッケル水素電池を用意
2)満充電の電圧を計測
3)ここに1Ω(およそ1,200mAの電流)の抵抗をつないで3日(72時間)放置

 およそ2時間で各電池は1.0Vを下回るので、残り70時間は深放電の状態が続くことになる。とはいえ電圧が低くなっているので、電流は1,200mAも流れていない状態だ。

4)深放電になった電池を再び満充電
5)深放電後に満充電となった電池の電圧を計測
6)3Ω(測定器の内部抵抗を含めると3.6Ω)の抵抗を接続して電圧の変化を調べる
 前編で行なった深放電する前のグラフと比較して、利用時間がどれだけ短くなったかを調べる。

 まずは深放電になっていない電池のグラフと、深放電後のグラフを見比べてみよう。

深放電「前」のグラフ。機器は300mA程度の小電力を想定して実験
深放電「後」のグラフ。深放電に対する耐久性がないものの利用時間が短くなり5時間〜5時間10分に集約された

 深放電させる前は、5時間〜5時間20分まで利用時間に幅のあったグラフは、深放電後を見ると5時間〜5時間10分に集約されている。つまり深放電に対する耐久性の違いで集約されていると見ていいだろう。

 そこで今度は、各電池ごとに深放電前と深放電後のグラフを見ていこう。

・ソニー:サイクルエナジー ゴールド

ソニー「サイクルエナジー ゴールド」の深放電前後の電圧推移比較

 深放電前は5時間20分使えた電池が、深放電後は5時間13分となりマイナス7分となった。割合にすると利用時間はマイナス2.2%。筆者予測と大きく違ったのは、深放電した方が全体として見ると電圧が少し上がっているという点だ。理由は不明だが、興味深い結果となった。

・日立マクセル:エコフル

日立マクセル「エコフル」の深放電前後の電圧推移比較

 やはりエコフルも深放電後の前半の電圧が若干高め。利用時間は5時間23分から5時間12分に11分ダウン。割合にすると3.4%マイナスという結果に。

・パナソニック:エネループ

三洋「エネループ」の深放電前後の電圧推移比較

 利用時間は5時間8分から5時間4分へ4分マイナスとなり、割合だとマイナス1.3%。他の電池と違うのは、全体的に見ると深放電後の方がわずかに電圧が低くなっている点だ。

・パナソニック:充電式エボルタ

パナソニック「充電式エボルタ」の深放電前後の電圧推移比較

 中盤の電圧が他と比べるとかなり高くなっているのが特徴。それに伴うかのように後半の減り方が早くなり、5時間11分から5時間ジャストまで11分減。割合にすると、マイナス3.5%となった。

・東芝:インパルス

東芝「インパルス」の深放電前後の電圧推移比較

 電圧がやや低めだった「インパルス」は、深放電させたことで電圧が少し上がり、他のニッケル水素電池並みに電圧が出るように改善(?)されたようなグラフに……。しかし利用時間は短くなり、5時間16分→5時間11分となりマイナス5分で、マイナス1.6%となった。

 利用時間の減少度をグラフにすると、耐久性がよく分かる。

グラフはマイナスの度合いを示しているので、左に長いものが耐久性が低いもの。短いものほど耐久性があり、「エネループ」がトップ

 深放電によるダメージは、「エネループ」が一番少なく、続いてコレまで目立たなかった(失礼!)東芝の「インパルス」が続いている。日立マクセルの「エコフル」と「充電式エボルタ」は、深放電によるダメージが「エネループ」の2倍あるので、バッテリ残量計のある機器で使うのがベストのようだ。

 利用時間のダメージが分かったところで、深放電後の電圧の変化を見てみたい。まずは深放電前後に満充電して機器を接続しない状態で測った電圧から。

深放電前後の満充電したときの電圧(機器を接続していない状態)。反転表示されているグラフは、深放電後を示している

 筆者の予測では、ほとんどがダメージを受け、深放電後の電圧が低くなるものと思っていたが、結果は意外なものになった。利用時間のダメージが少なかった「エネループ」と東芝「インパルス」は、深放電した後で測った電圧の方が高くなっていた。しかし前後で電圧にほとんど差がない日立マクセル「エコフル」の利用時間が、他と比べ短くなったり、大きく電圧を下げているソニー「サイクルエナジー ゴールド」が、「エコフル」ほど利用時間が短くなっていない。

 どうやら深放電後の満充電の電圧は“変化があるものの、利用時間とは関連性が薄い”と言えそうだ。

 最後のグラフは、深放電前後の電圧の平均を集計したものだ。グラフでは、深放電をさせると電圧が若干上がるように見えたが、平均電圧を見てみると、「エネループ」を除き軒並み電圧が上がっていることが分かる。

深放電前後の平均電圧。300mA程度の小電力機器を想定した場合。「エネループ」以外は、のみなみ深放電させた後の電圧が高めになる傾向がある

2,000mAhタイプは長持ちだか繰り返し利用回数が少ない。経済性は?

 さてすべての実験が終わったところで、そろそろまとめに入ろう。まずは経済性から見ていきたい。

 機器の連続利用においては、電力をあまり消費しない機器と、電力を多く消費する機器で、容量2,000mAhのソニー「サイクルエナジー ゴールド」と日立マクセル「エコフル」が長持ちしたが、おもちゃや電子辞書などといった消費電力が「並み」のものでは、容量2,000mAhも1,900mAhも関係なく、利用時間はほぼ同じという下克上のような結果になった。

 そして今回行なった大電力機器の間欠・連続の両方においても、ソニー「サイクルエナジー ゴールド」と日立マクセル「エコフル」が、最も機器を長く利用できるという結論だ。

 しかし2,000mAhのソニー「サイクルエナジー ゴールド」と日立マクセル「エコフル」は、繰り返し利用回数が1,000回と少ないのが気がかりだ。そこで実売価格をベースにして、経済性について調べてみよう。

【メーカー公表の基本スペック】


メーカー 名称 型番 容量
(min:最低保証)
繰り返し
利用回数
1年後
残存率
4本セット
価格
三洋 eneloop HR-3UTGB 1,900 mAh 1800 回 90% ¥1,580
パナソニック 充電式EVOLTA HHR-3MWS 1,900 mAh 1800 回 85% ¥1,580
東芝 IMPULSE TNH-3M 1,900 mAh 1,500 回 85% ¥1,280
ソニー CycleEnergy GOLD NH-AA 2,000 mAh 1,000 回 記載なし ¥1,080
日立マクセル ecoful MHR-3SAY 2,000 mAh 1,000 回 記載なし ¥1,480

4本セットの価格を繰り返し利用回数で割った値。充電に必要な電気代や充電器の価格は含まれていない

 このグラフは4本のセット価格を繰り返し利用回数で割った値。充電器の初期投資や充電にかかる電気代は含まれていないことに注意してほしい。

  いずれも4本100円で売っている100円ショップの乾電池より、断然安いが、充電回数が1,000 回と少ない日立マクセルの「エコフル」と、ソニーの「サイクルエナジー ゴールド」は、ほかに比べると割高になる。ただソニーは、ニッケル水素電池としては破格の値段なので利用回数は少ないものの、1回あたりのコストは充電回数 1,500〜1800回使えるものにかなり近い。

 日立マクセルの「エコフル」は、繰り返し利用回数が1,000回だが「エネループ」や「充電式エボルタ」とほぼ同価格なので、購入時のコストが高くつく。逆にソニーの「サイクルエナジー ゴールド」は1,080円とかなり安く入手できるので、容量2,000mAhでありながら、「エネループ」や「充電式エボルタ」に近いコストとなった。

 なお1,900mAhの「充電式エボルタ」、「エネループ」、東芝の「インパルス」は、1回あたりのコストがいずれも0.8円台で経済性はほぼ互角という結果になった。

乾電池の手軽さに近い「使いやすいニッケル水素電池」は?

おそらく大半のヒトが、使い終わった電池をその日のうちに満充電して、次回のために備えているはず。しかし電池によって残存率が違うので、自然に放電してしまう場合がある

 使いやすさを判断するもう1つの基準が「満充電しておいても放電しにくい」という点だ。一般的なニッケル水素電池の特徴として、他の充電式電池に比べて「放電しやすい」という特徴がある。

 大半のヒトは、電池を使い切るとすぐに充電器にセットして満充電にして、次回いつでも使える状態にしておくだろう。しかし次に使うのは数ヵ月後だったり1年後だったりすると、電池は自然に放電して徐々に電圧が下がってしまう。いわばニッケル水素電池は電気のエネルギーを溜めておく容器ではあるが、極々小さな穴が開いていて、時とともに満充電したエネルギーが流れ出しているというワケだ。

 そこで各社は、この穴をいかに小さくして「長期間放置しておいても、できるだけ満充電の状態を保つ」ように工夫している。それが先の基本スペックの項目にある「1年後残存率」だ。

 つまり残存率の高い「エネループ」や「充電式エボルタ」、「インパルス」は、満充電したまま、たとえ1年放置してあったとしても、電池に蓄えられているエネルギーの85〜90%が使えるということ。

 かたや、ソニーの「サイクルエナジー ゴールド」や日立マクセルの「エコフル」は、残存率が公表されていない。一般的なニッケル水素電池と同様に放電しやすいとすれば、使う直前に満充電した方がいいだろう。

 これらを総合評価して、より乾電池に近い電圧を出せて、深放電の耐久性も強く、以前満充電しておいたものをサッと持ち出せるという、乾電池の手軽さに一番近いのは「エネループ」と言える。

こんな機器にはベストバイ! どのメーカーのニッケル水素電池を使う?

 消費電力の違いによる利用時間の長短、そして経済性と耐久性、電池のような手軽さの面から、どんな機器にはどのメーカーがオススメかをまとめてみよう。

・消費電力が少ないラジオやLED式懐中電灯を長時間使うにはソニー「サイクルエナジー ゴールド」
 2,000mAhと他のニッケル水素電池に比べて100mAh容量が多いソニーの「サイクルエナジー ゴールド」は、消費電力が少ないものに最適だ。ただし1,900mAhのニッケル水素電池に比べると、400mAの機器でおよそ14分長持ち、割合にすると5%なので、少しでも機器を長く使いたいという需要にのみ応えられるだろう。

小電力の機器ではソニーのサイクルエナジー ゴールドがベストバイ。繰り返し利用回数は1,000回と少ないが、4本1,000円程度で買えるので、小電力機器なら利用回数の少なさは気にならないだろう。

 同じ容量の日立マクセルの「エコフル」は、2,000mAhなのにさほど利用時間が稼げず、コストも高くので選択肢から外したほうがいいだろう。加えて小電力機器は、深放電の状態になってもかなり長く使えてしまうので、耐久性の面にも不安が残る。

 容量1,900mAhタイプなら、耐久性も残存率も高い「エネループ」か東芝の「インパルス」がオススメだが、「インパルス」は電圧が低めなので、電灯やモーター系では乾電池に比べてパワーのなさが気になるだろう。

・電子辞書や子どものおもちゃなどは「充電式エボルタ」以外ならなんでも
 およそ700mA消費する機器では、「充電式エボルタ」以外の寿命はほとんど差はない。電圧の高さと耐久性、使い勝手でベストチョイスが決まるが、ソニーの「サイクルエナジー ゴールド」なら電池に一番近い電圧を出せるので、モーターや電球などでもパワー不足を一番感じない。

電池に近い高い電圧が欲しいモーター系なら「サイクルエナジー」がおすすめ 経済性を無視すれば日立マクセルの「エコフル」も候補に挙がるが、繰り返し利用回数の割に価格が高めなのがネック
スイッチを付けっ放しでつい深放電させてしまいがちな機器に使うなら、エネループかインパルスがオススメだ

 経済性を無視すれば日立マクセルの「エコフル」も候補に挙がるが、繰り返し利用回数が1,000回なのに1,500円と高めの価格なので、実際にオススメできるのはソニーの「サイクルエナジー ゴールド」と「エネループ」、そして東芝の「インパルス」だ。

 ただし「インパルス」は電圧が低めなので、機器を選んでしまう場合がある点に注意したい。「インパルス」は、パワー不足を感じるが、細く長く長持ちするので、電池残量計に惑わされない(残りわずかという表示になっても他に比べて長く使える)ようにするといいだろう。

 一方、ソニーの「サイクルエナジー」は残存率が公表されていないのが残念だが、高い電圧を出せるので、モーター系のおもちゃに向いていると言えるだろう。

 「エネループ」と日立マクセルの「エコフル」は、ともに平均点的な性能を見せるが、コストと耐久性、残存率を考慮すると「エネループ」が有利だ。

・デジカメやストロボなどは「充電式エボルタ」か「サイクルエナジー ゴールド」、または「エネループ」も

 大電力機器を連続利用で長時間使うには、前編で実験したとおり日立マクセルの「エコフル」かソニーの「サイクルエナジー」になるが、これらの機器はたいていスイッチのON・OFFが多い。それを考えると、間欠利用は「充電式エボルタ」と「サイクルエナジー ゴールド」が本命になる。

電池残量計があるデジカメなどの機器では、充電式エボルタがベストバイ 残量計がない機器なら、サイクルエナジーがオススメだ。ただ深放電に対する耐久性が若干低めで、残存率が公表されていないので注意

 長時間使える点では、日立マクセルの「エコフル」も候補に入るが、大電流時には電圧がかなり低くなるため、ストロボの充電時間などが気になるかもしれない。

 本命の「充電式エボルタ」は、残存率が高いので使い切ったら充電して、次回サッと持ち出せる便利さがあり、繰り返し利用回数も多くコスト的に安上がりだ。ただし、耐久性が低いので、電池残量計が付いているデジカメにおすすめしたい。ストロボなどに利用すると、残量計がない(しかも深放電状態になってもストロボのチャージができてしまう)ので深放電によるダメージを与えてしまうだろう。

 ソニーの「サイクルエナジー」は「充電式エボルタ」よりも長時間使えるものの、残存率が公表されていない、繰り返し利用回数が1,000回と少ないなどのデメリットもある。

 最後に「エネループ」もおすすめしたい。間欠利用すると利用時間は短いものの、ストロボなど大電力機器かつ電池残量計がないものに関しては、高い電圧を出し、耐久性もあり、繰り返し利用回数が1,800回と多いので、デメリットをカバーできるかも知れない。

電池残量計がないものでは、エネループという選択もある。耐久性に加え、残存率の高さから使い勝手がいいという点が、利用時間の短さをカバーしてしまうケースも考えられる

キング・オブ・ニッケル水素電池はどれだ!?

 以上、さまざまな実験を行なった結果、ソニーの「サイクルエナジー ゴールド」と「エネループ」が、機器を限定せず長持ちするニッケル水素電池の候補として残った。つまりキング・オブ・ニッケル水素電池の最終決戦だ。

 「サイクルエナジー ゴールド」は性能もいいぶん、コスト面ではやや不利ではある。そして残存率が公表されていない点も惜しまれるところ。もし「エネループ」並みの残存率なら、互角になっていたかも知れない。

 対する「エネループ」は、電圧も高く消費電力に依存されることも少ないオールマイティさ、そして深放電に対する耐久性の高さから、乾電池のように手軽に使えて長持ちするニッケル水素電池として最適だ。

 2回に渡ってレポートしてきたニッケル水素ガチンコ勝負だが、遂に終止符を打つときが来た。

 2012年3月1日現在でのキング・オブ・ニッケル水素電池の称号を次の電池に与えよう!

三洋のエネループ

イザと言うときにどこでも入手できるという付加価値が高く、オールマイティーで経済的、耐久性にも優れたエネループは、どんな機器でも誰にでもオススメできるニッケル水素電池だ

 大電力の機器を間欠利用した場合は若干電池の持ちが悪くなるものの、そのほかでは他の電池に比べ長持ち。深放電になりがちな小電力機器ではその耐久性にすぐれ、大電力の機器では繰り返し1,800回使えるため買い替えも少なく、1回の充電あたりの経済性にも優れている。

 さらに1年後残存率90%という点は、使い終わった電池をすぐに充電器にセットし満充電しておけば、次回使うときサッと持ち出せるという乾電池さながらの手軽さがある。加えて販売店の多さも心強い。イザというに「エネループにしておいてよかった!」と思えるニッケル水素電池だ。

※編集注※
なお、エネループは現在パナソニックが販売していますが、記事中ではわかりやすさを重視して、旧社名の三洋ブランドで表記しています。悪しからず、ご了承ください。





2012年3月2日 00:00