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エアコンに代わる冷房を量販店で探そう。最近注目のスポットクーラーは期待できる!

ビックカメラ池袋本店にはスポットクーラー売り場が登場!

6月中に梅雨明けしたことで、各社のエアコン販売は好調なスタートを切りました。とはいえ、エアコンは業者による設置工事が必要で、購入してから使い始められるまで時間が掛かります。機種の在庫や業者の空き具合にもよりますが、早くて1週間、遅ければ2カ月待ちもあるほど。

今夜から涼しくしたい! 熱中症が怖い! そんな人にオススメのエアコンに代わるアイテムを探して、ビックカメラ池袋本店を訪ねました。

工事不要で導入できるスポットクーラーが人気!

4階の季節家電コーナーには、エアコンや扇風機を始め、季節家電が所狭しと並んでいます。秋になれば冬向けに商品をガラリと入れ替える、店内でも変化の激しい売り場です。ここで、エアコンを取り扱う季節家電コーナー主任の山下祐里さんに、エアコンが取り付けられない、もしくはエアコンの設置までにかなり時間を要する場面で、注目したい家電を教えてもらいました。

ビックカメラ池袋本店 季節家電コーナー 山下祐里主任

スポットクーラーは冷風ですぐに体感温度を下げられる

季節家電でこの夏もっとも注目されているのが「スポットクーラー」です。スポットクーラーは部屋の一部など狭いスペースに冷風を送り込む、エアコンと扇風機の間のようなアイテムです。本体の高さが50~70cm程度と、空気清浄機くらいのサイズ感。リビングのソファの前だけとか、個室のデスクの足元だけ、あるいはキッチンの調理スペースの前だけといった、部分的な冷房に向いています。

スポットクーラーと、扇風機やサーキュレーターとの違いは、売り場で冷風の吹き出し口に手を当てるだけですぐに体感できます。扇風機やサーキュレーターは、その場の空気をかき混ぜて風を起こして体感温度を下げるものなので、熱がこもらないようにはできるものの、風そのものは冷たくなく、室温も下げられません。一方で、スポットクーラーは冷風が出るため室温も下がり、冷風に当たれば体感温度を素早く下げられます。

ただし、エアコンほどのパワーはありません。排熱も出るので窓などにパネルを取り付けて、ダクトから熱を逃がす必要があります。このため、基本的には窓の近くに設置して使うことになります。

多くはリモコンが付属し、本体での操作だけでなく、エアコンと同じように離れたところから操作できます。

アイリスオーヤマやハイセンス、山善などがスポットクーラーを販売

山下さんがオススメするスポットクーラーは以下の3製品。いずれも工事不要で導入できます。

ビックカメラ山下さんおすすめのスポットクーラー
  • アイリスオーヤマ「IPA-2203G」
  • ハイセンス「HPAC-22E」
  • 山善「YEC-LD03C」
スポットクーラー。ヤマゼンの「YEC-LD03C」(左)、アイリスオーヤマの「IPA-2203G」(中)、ハイセンスの「HPAC-22E」(右)

アイリスオーヤマのIPA-2203Gは、4.5~7畳向けに利用できる、個室なら十分にエアコンとして使える製品。冷房、除湿、送風に対応し、風量は冷房が強、中、弱、自動の4種類、除湿と送風が強、中、弱の3種類に対応。本体サイズは286×320×700mm(幅×奥行き×高さ)です。

ハイセンスのHPAC-22Eは、環境に配慮した冷媒「R32」を採用し、ノンドレン方式で水捨て不要な製品。本体サイズは300×330×670mm(幅×奥行き×高さ)となっています。

山善のYEC-LD03Cは、熱交換方式で-7℃のひんやりした冷風を出せ、机の下などに置きやすいコンパクトタイプ。本体サイズは250×209×482mm(幅×奥行き×高さ)です。

ダクトは自分で窓に取り付けられる

取り付けは自分でやる人が8~9割ではないかとのこと。ビックカメラでは、高齢者などの自分での設置が難しい家庭には、別途料金が必要ですが取り付けサービスも提供しており、時折、依頼するお客もいるそうです。

自分で取り付ける場合、窓枠にはめるパネルを用意することになります。出窓スタイルであれば、付属のもので大丈夫。ベランダに出るような足元まである掃出し窓で使う場合は、別売のパネルが必要になります。あとはパネルを窓に着けず、使っていない別の部屋や廊下へダクトを伸ばして排熱する人もいるそうです。

山下さんは、設置にかかる時間は人や建物によりけりと前置きしつつも、「取り付けなどの工作作業が得意な人ならば、説明書を読んで10分~20分ほどで取り付けられるのではないかと思います」と話しています。

取り付けに必要な道具はネジ留め用のドライバーのみで、ネジも付属の部品類の中にちゃんと入っており、枠にパネルをはめ込んでネジで留め、ダクトを本体とつないで完了なので難しいところはなさそうです。

窓にダクトを設置したときの様子が分かる展示

ここで紹介したスポットクーラーは、3製品とも底面にキャスターが付いていて、転がして移動できます。本体はIPA-2203Gが約22kg、HPAC-22Eが約21.5kg、YEC-LD03Cが約10kgと決して軽くないので、動かすときはキャスターを利用し、無理して持ち上げて怪我などしないように注意しましょう。

ダクトも蛇腹状で伸びるとはいえ、長さに制限があります。窓のそばに設置して通り道をダクトが横切るような配置は、避けたほうが良いです。ダクトを破損した場合は、メーカーに在庫があれば取り寄せ可能なので、その都度店舗で対応してもらえるそうです。

スポットクーラーの売れ行きは昨年の2倍の勢い

山下氏によると、スポットクーラーの販売台数は、2021年比2倍の勢いで伸びているそうです。今年は梅雨明けが早くて、暑さも早く来たとはいえ、これほどの勢いで売れていくのは、それだけ「涼しくなりたい」というニーズを満たせる良い製品だと期待されるからでしょう。

「さまざまなお客様の理由があると思いますが、本体価格がエアコンに比べて導入しやすいことや、工事会社を通さずにお客様自身で手軽に設置できること、扇風機よりも体感温度が下げられること、大きくこの3つが伸びている理由だと思います」と山下さん。

購入者の傾向を聞いたところ、老若男女に関係なく求められているとのこと。ただし、省スペースとはいえ、一人暮らしのワンルームにはやや大きく、ファミリー層のほうが需要は大きいはずだと言います。

エアコンと扇風機やサーキュレーターを組み合わせて、室内の空気を循環させる使い方が広く知られるようになってきましたが、エアコンとスポットクーラーの併用はまれではないかと言います。両方使ってしまうと電気代もかかるし、ユーザー自身による室温の調整が難しくなってしまいます。もし冷風をもっと遠くまで届かせたいという場合は、サーキュレーター等と組み合わせるのが良さそうです。

取り扱い商品の中でもっともコンパクトな、シロカのポータブルクーラー「SY-D151」。除湿機能も備えています

扇風機はやわらかな風が特徴のDCモーターが主流へ

扇風機とサーキュレーターはどうでしょうか。

扇風機は大きく分けて2種類あります。1つは従来型のシンプルで安価なモデルです。風の強さが強中弱の3段階程度、首振りやタイマーを搭載するものも多く、1万円以下で購入できる製品が各社からたくさん出ています。

もう1つは10年ほど前に登場したDCモーター搭載のDC扇風機です。DCモーターは回転数を細かく制御でき、風の強さをほぼ無段階で調整できます。最初は高額でしたが、徐々に価格もこなれてきて、現在は1万円台の製品も見かけるようになりました。

グレーなどのインテリアに合わせた色合いも選べる機種が増えています

インテリアになじむデザインのDC扇風機も登場

DC扇風機は節電性も高く、音も静かです。羽根の枚数が多くて優しい包み込むような風を作ります。扇風機の断続的な風の当たり方が苦手な人や、就寝時に扇風機を付けている人には特にオススメです。

ビックカメラ山下さんおすすめのDC扇風機
  • 山善「BLX-HED303」
  • バルミューダ「The GreenFan」
山善のDC扇風機「BLX-HED303」
バルミューダのDC扇風機「The GreenFan」のファンは、根本と羽先で羽根が分かれているのが特徴。これにより、柔らかな風を作り出しています

DC扇風機はインテリアになるデザイン性に優れた製品も多いですね。デザイン重視の場合の山下さんのオススメは、以下の3製品です。

ビックカメラ山下さんおすすめのデザイン扇風機
  • シャープ「PJ-P2DBG」
  • ドウシシャ「FKLW-231B」
  • cado「STREAM 1800F」

PJ-P2DBGは、バッテリーを搭載しているのでコードレスで利用できます。高温・高湿みはり、おやすみモード、衣類消臭モード、チャイルドロックなども搭載。

FKLW-231Bは、ファンはカモメの羽根ににヒントを得た形状。風の到達距離は最大17メートルで、遠くまでまっすぐ届きます。

STREAM 1800Fは、ファン中央にオゾンユニットを備えるユニークな除菌サーキュレーター扇風機です。

シャープのDC扇風機「PJ-P2DBG」(左)。ドウシシャのDCリビング扇風機「FKLW-231B」(中)。cadoの除菌サーキュレーター扇風機「STREAM 1800F」(右)

サーキュレーターはエアコンとの併用や部屋干しに

一方、サーキュレーターは扇風機のようにユーザーに直接風を当てるのではなく、室内の空気の循環が主な用途になります。このため、扇風機よりも遠くまで直線的に風を送り出すようになっています。

エアコンと組み合わせるのが理想的な使い方で、夏は冷風、冬は温風を室内に効率よく行き届かせます。エアコンの風が直接当たると不快に感じるという人は、エアコンとの間にサーキュレーターを置き、エアコンに向けて風を送り出せば、冷風が身体に直接当たりにくくなります。

省スペースタイプのサーキュレーターがズラリと並んでいます

サーキュレーターは、室内干しした衣類の乾燥時にも役立ちます。斜めから風を当てても良いですが、首を上に向けられるタイプなら、洗濯物の真下から風を送れるし、上下で首振りする機種を使えば、洗濯物を波打たせてより速く乾燥させられます。

扇風機もサーキュレーターも、近年はカバーを簡単に外せてお手入れしやすいものや、左右だけでなく上下にも首を振る立体首振りのもの、見た目がコンパクトなものなども人気だそうです。本体カラーは、ただの白ではなく、光沢感のないマット色がよく売れるとのことです。

省スペースなところが人気なアイリスオーヤマのサーキュレーター「KCF-SDC151T」(中央)
ビックカメラのPB(プライベートブランド)商品もあります。シンプルでお値打ち価格が魅力の「CCM101BK」

持ち運びやすいネックファンや「身に着けるエアコン」も

扇風機といえば、ここ数年、ハンディファンを手に持って歩く人を街中で見かけるようになりました。エアコンの代替で使用する人は流石にいないと思いますが、すっかり市民権を得たように感じます。とはいえ流行っていたのは2~3年前で、すでに需要は落ち着いてきています。毎年買い替えるものでもないので、販売は今後もいまくらいの水準で推移する可能性が高そうです。

代わって伸びてきているのはネックファンです。ハンディファンと違って両手を空けられるのがメリットで、お化粧をしている人が汗をなるべく蒸発させるという使い方もできます。ただ、まだ利用者はそれほど多くなく、人前では目立ってしまいますし、髪の毛が長いと絡まる恐れもあり、外で使用している人はあまり見掛けません。

アピロスのネッククーラー「NF02-01」。冷やすだけでなく、温めることも可能です

今年注目されている家電の1つに、ソニーの“着るエアコン”「REON POCKET 3」があります。首の後ろの金属プレートで首元を冷やすことで体全体の体感温度を下げられます。ただ、こちらもエアコンの代替として使えるかと言うと、ちょっと方向性が違う印象。それでも、寒がりの多いオフィスで、暑がりな自分だけのためにエアコンの設定温度を下げづらいといった場合にはとても重宝しそう。なお、本体が大きめで重たいので、肩が凝るという人も少なくないようです。

「REON POCKET 3を購入するのは、この商品が目的で来店されるいわゆる『指名買い』のお客様がほとんどです。店頭で初めて知って衝動買いとか、他の商品と比較検討して選択といった買い方はあまり見られません」と山下さん。

ソニーのウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET 3」。本体サイズは54×116×20mm(幅×奥行き×高さ)。専用ネックバンドを使用して首の後ろに装着します

近所の店舗でスポットクーラーを体験してほしい

エアコンの代わりに注目したい家電を駆け足で見てきました。店頭で実物を見ると、やはり、スポットクーラーの冷たい風に惹かれます。

夏場はどうしても工事予約が混み合います。山下さんも「エアコン導入を考えている人は、早めに販売店で相談してください」と話していました。

しかし、リビングのエアコンが急に故障したという場合は早めに相談という訳にもいきませんし、引っ越しの予定がある場合もエアコンの導入はためらいますよね。スポットクーラーはこんな場合の応急処置にも使えると感じました。広いリビングでは力不足かもしれませんが、少なくともないよりはマシ。エアコンの修理が完了したら、個室やキッチンに移して使うなどすれば無駄にもならないはずです。

エアコンは高額なので導入に踏ん切りがつかないという人も、一度近所の家電量販店を訪れて、スポットクーラーの風を体験してみてはいかがでしょうか。

取材に協力してもらった、ビックカメラ池袋本店
諸山 泰三