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掃除を“快感”に変える工夫が満載! シャークEVOPOWER SYSTEMが特別な理由を使って実感

シャーク「EVOPOWER SYSTEM CS401J」(ロイヤルブルー)を自宅で使った

今年8月に発売された、シャークのコードレススティッククリーナー「EVOPOWER SYSTEM(エヴォパワーシステム)」が日本市場で人気を集め、話題となっている。いったい何がそこまで日本人の心をとらえたのか、シャークニンジャ日本法人の代表取締役・古屋和輝氏に開発の経緯を聞くとともに、実際に自宅で使ってその魅力を確かめた。

左からマルチフロア対応「CS401J」(ロイヤルブルー/メタリックグレイ)、フローリング専用「CS200J」(ルビーレッド/ノルディックブルー)。シャークニンジャのオフィス(東京・港区)には、他にも様々なプロトタイプがあり、常に開発や改良が続けられているのが分かる

米国生まれの掃除機ブランドながら「日本専用に開発した」というこのモデル。まず他の製品と違って目を引くのはとてもスリムな本体デザインだが、その見た目からは想像できないパワーや、細かな使いやすさへの配慮など、随所にこだわりと工夫がちりばめられている。

シャークニンジャの古屋氏は「掃除機に自分の掃除スタイルを合わせるのではなく、自分の掃除スタイルに合わせられるように掃除機を変えていった」と語る。この一言こそ、これからの掃除機のあり方に一石を投じる言葉ではないかと思う。

実際にEVOPOWER SYSTEMを家の様々な場所で使ってみると、古屋氏の言葉がどんなことを指していて、この掃除機は何が便利で使いやすいのか分かってきた。同社が開発で目指したポイントと、筆者が実感できた良さをお伝えしたい。

「潜在ニーズを掘り起こすことで、本当に必要とされる掃除機の形が見えてくると考えている」と話すシャークニンジャ日本法人の代表取締役・古屋和輝氏

「日本には潜在ニーズがある」気づきが開発のきっかけ

EVOPOWER SYSTEMには、今までにない画期的な機能が多く搭載されているが、最大の特徴はなんといっても「日本人のために作られた」ことだろう。日本に上陸する海外発の製品の多くは、海外仕様で作られた製品を日本向けに改良されたものであるのに対し、EVOPOWER SYSTEMは日本人のライフスタイルに合わせて一から開発された。

価格はオープンプライスで、直販価格は2021年1月5日まで、マルチフロア対応の「CS401シリーズ(CS401J)」が44,550円(税込)、フローリング専用の「CS200シリーズ(CS200J)」が29,700円(税込)。

開発のきっかけとなったのは、2018年9月に発売したハンディクリーナー「EVOPOWER(エヴォパワー)」の日本での爆発的ヒットだという。当時、日本のハンディクリーナー市場は縮小傾向であったにも関わらず、2万円を超える製品が飛ぶように売れ、わずか3カ月で市場で首位に躍り出たのだ。

大ヒットとなったハンディクリーナー・EVOPOWER。遊び心ある限定品も多数並んでいる

「この現象にアメリカ本国は驚きを隠せませんでした。ハンディクリーナーなど数千円で買えるものを、なぜ日本人は2万円も出して買うのだろうか、と。そこから日本には独特の潜在ニーズがあると考え、日本向けのコードレス掃除機を開発することになりました」(古屋氏)。

そこでヒアリングを行なった結果、分かってきたのは、日本でEVOPOWERが売れたのは「日本人が非常にきれい好きだから」ということ。だからゴミを見つけたら、すぐにでも掃除したい。けれど掃除機を取りに行くのも面倒で、つい見て見ぬふりをしてしまう……そこに罪悪感を抱いていたのでは、という点だった。

その点、EVOPOWERはデザイン性が高いため、目につくところに出しておけて、軽くてパワフルなので簡単に掃除が済ませられる。これにより、目の前のゴミをその都度掃除できて「ただ掃除がラクにできるだけでなく“日ごろ抱えている罪悪感の解放”にもつながったのでは」と分析。そこから日本市場で求められている掃除機とはどのようなものか、潜在ニーズを掘り起こし、開発されたのがEVOPOWER SYSTEMだというから、日本人の圧倒的支持を集めたというのもうなずける。

掃除機好きなエンジニアたちが執念を燃やして作り上げた

もちろん製品化までの道のりは容易ではなかった。「そもそも本国アメリカは住居スペースが数百m2あり、部屋の多くがカーペット敷き。掃除機も業務用のようなパワフルなもので、奥のゴミまでしっかり取り除けるものが求められます」。そのため当初は「コンパクトで小回りが効く」といった日本のニーズがエンジニアたちに理解されにくかったという。

日本上陸時に発売した"曲がる掃除機”エヴォフレックス。手前がアメリカ仕様で、奥が日本仕様と、同じ形でもこれだけ大きさが違う

そこでまずは彼らに来日してもらい、市場調査からスタート。実際に家庭を訪問し、聞き取りを行なうことで、潜在ニーズを丁寧に拾い上げていった。「彼らも最初は住環境の違いに驚いていましたが(笑)。日本とアメリカが掃除機に求めるものが違うことを理解してくれて、必要な機能は何か、一緒に探ることができました」。その後、本社の一角に日本の一般的な住まいを再現した“ジャパンルーム”をしつらえ、必要な機能や使いやすさを研究し続けたとのこと。

古屋氏が日本モデルで特に重視したのは、EVOPOWERの成功に見る“デザイン性”と“手に取りやすさ”だ。「確かに掃除機はコードレス化によって便利になりましたが、デザインが気に入らなければ、奥にしまい込んでしまうことになる。またサッと使えなければ、やはり掃除が面倒になってくる。掃除のストレスから真に解放することはできません」。

だから、EVOPOWERのようなスタイルの良さは維持したい。でもパワフルな吸引力も必須――。この相反する要求が最後まで、エンジニアを泣かせることになったという。「もちろんモーターを大きくすれば吸引力は上げられますが、そうするとこのスタイルは維持できません。でも彼らは厳しい制約の中で、最大限の吸引力を実現してくれました」。

どんな難しい要求も、「無理」と言わずに楽しんでチャレンジしてくれるエンジニアたちを古屋氏は、親しみと尊敬の思いを込めて「掃除機オタクなんです」と笑う。「このコンパクトな掃除機の中に、いかに最高のものを詰め込むか、ということに執念を燃やしていた。日本の掃除機づくりは楽しい、と言ってくれました」。

「このリチウムバッテリーも、軽量化を叶えながらパワーが維持できるものとして、エンジニアが見つけてきてくれました」といとおしそうに話す古屋氏

こうして一つ一つ、使いやすさを極めた機能を搭載していく中、製造ラインを稼働する3週間前に、新たに見つかった問題もあった。日本のモニター延べ300人に試用してもらっていたところ、「ゴミ捨て時、ダストカップが開いてもゴミが落ちない」という声が上がったのだ。

「円錐状のフィルターに絡まったゴミが、パッと落ちるはずでしたが、摩擦で絡みついたまま落ちないことがあることが分かったのです」。しかしこれらの問題にも、エンジニアたちが迅速に対応。空気の流れや網目を変えるなど改良したことで、フィルターからするっと滑り落ちるようになり、無事スケジュールに間に合ったという。

フィルター部を変更(右が製品版)し、ゴミがスムーズに滑り落ちるように

掃除は「面倒」から「快感」へ。家で使うほどに、快適さを実感!

こうして8月に日本で発売を開始したEVOPOWER SYSTEM。現在投票受付中の「家電大賞 2020」(投票締切:1月6日23時59分)にも、ノミネートされている。筆者は発売と同時に使い始めたが、まさに「こんな掃除機が欲しかった」と思わせる新感覚の掃除機だと実感している。何が今までと違うのか、ひとつずつ紹介しよう。

1.リビングに置いても違和感がなく、カッコいい!

わが家で使用したのは、フローリングやカーペットなど、様々な床に対応するマルチフロア対応モデル「CS401J」のロイヤルブルー

まず目を引くのは、他とは一線を画す美しい佇まいだ。多くのコードレス掃除機にありがちな凹凸がなく、装飾にも無駄がない。正面から見てもダストボックスの存在が感じられずスマートで、掃除機感、ひいては“家電感”を払拭している。

カラーは「日本の消費者の感性にマッチするよう、日本のデザイナーに依頼した」(古屋氏)というだけあって、表面をマットに仕上げたデザインは、どんなインテリアにも合いそうな落ち着いた雰囲気。シンプルな外観で、リビングに置いても違和感がない。

2.絶妙な重量バランスで使いやすい!

ハンドルの太さといい重量感といい、握りやすさといい、すべてのバランスがちょうどよくフィットする

吸引力については言うまでもなく、メインの掃除機として使うのに十分なパワーを備えている。ハンディ部の重量は1kgを切る0.9kgと軽量ながら、同等クラスの製品の中で、もっとも強い吸引力(ブーストモード時)を実現したという。

※コードレス掃除機用に設定されたIEC 62885-2cl 5.8に基づきブーストモードで測定(2020年9月現在)

さらに重量感も絶妙。手元が軽く、ヘッド側が少し重くなっているので、床をしっかり捉えられ、軽い力で安定して掃除できる。ハンドルがスティック形状なのは珍しいが、滑りにくい素材と指が引っかかる突起を採用しているので、自然に握れて疲れにくい。

3.片手で操作できるから、使用頻度がアップ!

多くの操作が基本的に片手で行なえるのもポイントだ。電源のオンオフはもちろん、一時的にパワーを上げたいときに使う「ブーストモード」ボタンが、ハンドルを握ったときの人差し指付近にあるため、直感的にサッと押せる。このボタンもモニターの声を通して改良した箇所だという。

「前もほぼ同じ位置にあったのですが、手探りで触った時に位置が分かりにくく、ボタンも硬かったので、押しづらいという声をいただき改良しました」(古屋氏)。

さらに便利に感じたのが、ハンディの切り替えやすさ。両サイドのレバーを引きながら上に引き上げればハンディ部分だけ引き抜けるので、そのまま掃除が始められる。戻すときも、充電台のスティックにそのまま戻すだけ。もはや、わざわざ着脱している感覚すらなく、ハンディとしての使用頻度が大幅にアップした。

人差し指と親指でレバーを引きながら持ち上げるだけで、ハンディだけ引き抜けるので、サッと使いやすい

4.ワンタッチのゴミ捨て、からまないブラシに快感!

さらに感動したのが、ゴミの捨てやすさだ。正直、ここまでワンタッチで快適にゴミ捨てができるコードレスあったかしら、と思うほど。これまた片手で操作でき、親指でレバーを引くとダストボックスのフタがパカッと開いて、ゴミが落ちる。改良のおかげもあってか、ゴミが引っかかって落ちないことは一度もなかった。

通常、ゴミ捨てというと、ダストケースを本体から取り外すものが多いが、これは装着したまま、片手でポンと捨てられる

ブラシに毛が絡まないのも画期的だ。掃除機は使い続けると、髪の毛やペットの毛がどんどん絡まり、手だけでは取れない状態になってしまうため、早めに取り除く必要があるが、現実的に絡まりに気づくのは、たいてい毛が絡みすぎてブラシが回転しなくなったとき。その時点では、もはや毛を取り除くのは至難の業となっていることが多い。

しかし筆者がこのEVOPOWER SYSTEMを使い始めて約2カ月。1度も毛を取り除いたことはないが、見ての通り、毛は一切絡まっていないのだ。

多少汚れてはいるものの、髪の毛は一切絡まっていない。今までにない経験だ

この毛が絡まないシステムは、同社の既存の掃除機にすでに導入されていた仕組みを改良したものだという。「髪の毛はブラシが回転すればするほど、強く巻きついてしまうため、毛をほぐすためのコームを搭載しました」(古屋氏)。さらにブラシが中央に寄りやすいよう角度をつけることで、絡まった毛がほぐされながら中央に集まり、最後に吸い込まれていく仕組みだという。

こちらは、アメリカ仕様の掃除機に搭載されたヘッド部分。EVOPOWER SYSTEMとは多少異なるものの、すでに髪の毛が絡まない機能が搭載されている

ほかにも、マルチフロア対応のCS401Jにはバッテリーが2本付属し、1本は本体で、もう1本は充電台で充電できるため、充電切れの心配がない安心感も大きい。フローリング専用のCS200Jも、別売のバッテリーを買い足せば、充電台での充電が可能だ。

自分に合った掃除機に変えて、今までよりも毎日が快適に

アタッチメントが使いやすいのも、手軽にハンディにできるからと言っていい。アタッチメントが豊富な掃除機はほかにもあるが、付け替えるのが面倒という理由で、なかなか使う気になれなかった。しかしEVOPOWER SYSTEMは、アタッチメントを充電台にセットしておくことができ、片手でハンディ部分を外した動作でそのままアタッチメントに差し込むことができる。

アタッチメントの装着もカンタン。しっかりハマったときに「カチ」と音がするのも、日本のユーザーの声から拾い上げたこだわりだという
ミニモーターヘッドを使ってソファを掃除してみたら、驚くほど白い粉がたくさん取れた。こんなところに座っていたとは……。ミニモーターヘッドは車の座席でも活躍する
布団ノズルは布が貼りつかないため、カーテンにも使える。意外とホコリがついているので、定期的に掃除をすると良さそうだ

このコロナ禍で、家の汚れが今までよりも気になったりして、掃除に力を入れるようになった人も多いという。奇しくもEVOPOWER SYSTEMのコンセプトが、今の状況にマッチして「まめに掃除ができるようになり、気持ちよく過ごせるようになった」という声が古屋氏のもとにも届いているようだ。

「一番厳しい日本のユーザーが満足してくれた製品なので、今後は海外に“逆輸出”していくことも視野に入れている」と古屋氏。今後もさらに新たな潜在ニーズを掘り起こしていくという。

今回登場したEVOPOWER SYSTEMを使っていくと分かるのは、掃除がどんどん楽しくなってくること。何しろ1台あれば、面倒な手間がほとんどなく、家じゅう掃除できるのだ。冒頭の古屋氏の「掃除機に自分の掃除スタイルを合わせるのではなく、自分の掃除スタイルに合わせて掃除機を変えていく」という言葉が意味することをまさに体感できた。

協力:シャークニンジャ株式会社