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冷蔵庫はこうして作られる~シャープ八尾工場に行ってきた
(2014/10/29 13:48)
シャープ唯一、国内白物家電の生産拠点
大阪府八尾市のシャープ八尾工場は、白物家電を担当する健康・環境システム事業本部の中核拠点である。現在は、主に白物家電製品に関する開発や、商品企画の拠点としての位置づけが中心だが、同工場では唯一、日本市場向けを中心とした301L以上の冷蔵庫を生産している。
シャープが日本で白物家電を生産しているのは、この八尾工場だけだ。10月30日から出荷するメガフリーザー「SJ-GT50A/GT47A」も、この八尾工場で生産している。このほど、日本市場向けの大型冷蔵庫を生産しているシャープ八尾工場を訪れる機会を得た。その様子をレポートする。
シャープ八尾工場は、1959年に洗濯機の生産拠点として稼働。今年操業から55年目を迎えた。
当時、最先端の生産設備を導入して話題を集めて稼働した八尾工場は、エアコン、冷蔵庫、扇風機、暖房機などへと生産品目を拡大。東洋一といわれたメッキ工場やプラチック成形工場などを併設。ここで家電製品のすべてを作り上げる総合工場への進化は、電機業界におけるエポックメイキングな出来事とも位置づけられている。
八尾工場全体としては約13万2000平方mを誇り、現在、八尾工場では冷蔵庫だけを生産している。このほか、白物家電製品の開発機能を有しており、いわば健康・環境システム事業本部の中核拠点としての役割を果たしている。
八尾工場で冷蔵庫の生産を開始したのは1961年。今回公開した第3工場は、2001年から稼働しており、301L以上の冷蔵庫を生産。日本市場向けを中心に、東南アジアや中国にも一部出荷しているという。
冷蔵庫を生産する第3工場は5階建てとなっており、敷地面積は約11,000平方m、延床面積は約40,000平方m。大型製品の多くが平屋の工場棟で生産されることが多いなかで、多層階構造となっているのは珍しい。
「八尾市内という立地のため、地方都市の工場に比べると土地費用が高い。効率的な利用をするために多層階構造にしている」と野間事業部長は説明する。
1階から5階まで上に移動しながら冷蔵庫を生産。日産1,700台
冷蔵庫の生産工程は、1階から上に上がっていく構造だ。
1階フロアでは、外箱成形、ウレタン発泡、冷凍サイクルの組み立てが行なわれ、2階フロアでは内箱の組み立てが行なわれている。3階では総合組み立てのほか、真空引工程、性能検査工程がある。4階で扉が組み立てられ、5階では梱包および最終検査が行なわれ、最後に1階の出荷口へと運ばれる。
シャープは、現在、多くの生産を海外へと移管。いまでは八尾工場が、シャープの白物家電製品にとって唯一の国内生産拠点だ。
冷蔵庫は八尾工場以外に、タイ、インドネシア、中国でも生産しており、八尾工場は日本市場向け大型冷蔵庫の生産拠点という位置づけとなる。シャープブランドの300L以下の冷蔵庫は、中国生産の製品が日本で流通していることになる。
シャープ八尾工場における冷蔵庫の年間生産台数は43万台。現在は、10月30日から店頭で販売が開始されるメガフリーザー搭載冷蔵庫を中心に、日産1,700台というフル生産体制となっている。
メガフリーザー冷蔵庫で450L大型冷蔵庫のシェア13%を目指す
メガフリーザー冷蔵庫「SJ-GT50A/GT47A」は、大きな食材もそのまま保存できる173Lの大容量を持つ冷凍庫を搭載。独自の冷凍ケースを仕切ることができる「4切り(しきり)名人」を採用し、収納量を20%高めているほか、冷凍食品がマイナス18度を上回ると味が落ちることを防ぐために、冷凍室を開閉しても、庫内温度変化を少なくする工夫が凝らされている。そして、プラズマクラスターも搭載し、庫内を清潔に保つことができる特徴も持つ。
シャープ 冷蔵システム事業部・野間繁雄事業部長は、「メガフリーザーのように、高い冷凍機能や高い省エネ性を追求する製品の製造工程においては、高い製造技術が必要になる。一部の工程は手作業だが、この工程では、長年勤務した社員が作業を担当している。日本でしかできない生産である」とする。
シャープでは、メガフリーザー冷蔵庫によって、2014年度下期の新製品販売台数を前年同期比1.5倍にすること、450L以上の大型冷蔵庫ゾーンにおいて、現在10%のシェアを13%に引き上げることに加え、「メガフリーザーの品位を高め、すべての方に満足してもらえる商品にすることや、市場に出たときに傾向不良は起こさないことを目指し、社内表彰であるシャープ大賞の獲得を目指す」(野間事業部長)を掲げている。
顧客満足度工場や傾向不良を起こさないという点では、八尾工場が果たす役割は大きいといえるだろう。