東北電力、八戸火力5号機をコンバインドサイクル化で約40万kWに強化

~2014年8月に完成予定

 東北電力は、2012年7月に稼働する八戸火力発電所5号機を、コンバインドサイクル化して発電量と環境性能を向上させると発表した。6月中にも工事を開始し、2014年8月の営業運転を目指す。

八戸火力発電所5号機 完成予想図コンバインドサイクルの構造。ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンを回す

 コンバインドサイクルは、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたシステムで、ガスタービンから排出された高温のガスで蒸気を発生し、タービンを回す。2つのタービンにより出力が向上するとともに、排熱を利用することにより熱効率が向上する。

 八戸火力5号機は、ガスタービン発電設備で出力は27.4万kW。恒常的な発電設備ではなく、緊急設置電源として設計されている。現時点での出力は27.4万kW/熱効率約33%に留まっているが、コンバインドサイクル化することで39.4万kW/約48%へ向上する。また燃料を、現在使用している軽油からガスに切り替えることで、さらに約42万kW/約55%へ向上できるという。

 また、脱硝装置の追加による窒素酸化物の削減など、環境への配慮も行なう。

 東北電力では、東日本大震災で被災した発電所の出力を補うため、今年の夏の需要期に合わせて、緊急設置電源を4カ所に設置する。この設備をコンバインドサイクル化することで、長期的に有効活用することを目指す。

2012年4月の決算発表で公開された発電所の運転状況。緑色の枠が緊急設置電源。太平洋岸の火力発電所の復旧は進んでいるが、定期検査中の原発と、被害が大きかった原町火力の分をカバーする必要がある





(伊達 浩二)

2012年6月4日 14:29