国民生活センター、通販で購入できる放射線測定器9製品を調査

~測定性能不足や不当表示が相次ぐ
テストされた9機種と参考品1機種

 独立行政法人 国民生活センターは8日、放射線測定器の性能レポートを公開した。東日本大震災から7月末までに「放射線測定器」に関連する相談が391件寄せられたことから、比較的安価な放射線測定器が放射性セシウムを正しく測定できるかについて試験した。

 問い合わせでは、「通信販売で放射能測定機を注文し2日前に届いた。どこを測っても示す値が0.06と0.13 の2種類しかない。返品したい」などの内容もあったという。

 テストした製品は、国内で販売されている1万円以上10万円未満で購入できる9銘柄と、校正済の参考品として選ばれた「日立アロカメディカル TCS-171」の合計10機種。製品の購入先は、楽天市場、Yahoo! ショッピング、Amazonマーケットプレイスなど。TCS-171はシンチレーションサーベイメータと呼ばれる高精度な測定器具で、希望小売価格は588,000円。

 テストの結果、すべての製品で「通常環境下の0.06μSv/h 以下の低線量を正確に測定する性能はなかった」としている。しかも、「自然放射能の測定値は参考品と比較して大きい値を示す傾向が見られた」という。

 また、食品などの測定については、「500Bq/kg の汚染がある食品を測定したとすると、およそ0.007μSv/h に該当するが、今回の結果では、通常環境下の0.06μSv/h が正確に測定できなかったので、食品・飲料水等の暫定規制値である200~500Bq/kg に該当する線量率を測定することはできず、食品・飲料水等の137Cs の汚染検査に用いることはできないことが分かった」としている。

 結論として、テストした9製品には、通常環境中の放射線量や食品・飲料水等の暫定規制値以下であるかどうかの判定に利用できる性能がなかったことになる。

自然放射能の測定結果。通常環境と鉛箱で遮蔽した場合の結果。基準となる参考品に比べ、過大でばらつきの多い測定値を表示する製品が多いセシウム由来のγ線測定試験。こんどは、正味値が小さめに表示される。やはり数値のばらつきは大きい上の図は0.115μSv/hとなる条件に限定したグラフ。傾向は変わらない。下の図は照射線量率との相関を見たグラフ。相関性はあるが、数値が不正確なものが多い

 国民生活センターでは、消費者へのアドバイスとして、次の2項目を警告している。


1)今回テストを実施した放射線測定器では、食品・飲料水等が暫定規制値以下かどうかの測定はできないので、こうした目的で購入・使用することは避ける。

2)環境中の放射線を測定する場合、公表されているデータ等を参考にし、測定器の示す値を直ちに信頼することは避ける。

 また、テストした製品については、PSEマークのないもの、日本語取り扱い説明書が付属しないものがあること、販売サイトにおいて物質の汚染検査に使用できるなど過剰な期待を抱かせる記載があることなどの問題点を指摘しており、消費者庁をはじめとする行政機関へ要望や情報提供を行なうとしている。






(伊達 浩二)

2011年9月8日 17:02