日本ブランドのロシア家電市場攻略は「現状のままでは厳しい」――JEMAの調査


ロシアにおける、生活家電のカテゴリ別の市場動向
 JEMA(日本電機工業会)は、国内メーカーによるロシアの生活家電市場に対する戦略についてを調査、報告書にて“現状のままでは厳しい”との判断を下した。

 報告書によれば、ロシアは家電製品が十分に普及しておらず、旧式の製品の買い換え需要も見込めるため、潜在的な需要は高い一方、現状では、品質では欧州メーカーの製品、価格では韓国・中国のメーカーが支持されているとしている。カテゴリ別で見ると、世帯普及率が低い電子レンジとエアコンは日本ブランドの人気が高いものの、世帯普及率が高い冷蔵庫や洗濯機、掃除機のプレゼンスは低くなっている。

 国内メーカーが不調な理由として、報告書では日本のマーケティングが通用しない、ロシア独特の“住宅事情”を指摘。住宅は日本よりも狭い傾向にあるため大きな家電が置けず、加えて室内1カ所に設置された熱源から各部屋に熱を送る「セントラルヒーティング」が導入されているため、洗濯物を部屋に干し、エアコンは基本的に冷房を使用することが多いという。

 またロシアでは、生活家電を選ぶ際には「耐久性」に対する意識が強く、高付加価値商品よりも、基本性能のしっかりしたベーシックな製品を好む傾向にあるという。さらに、2008年の世界金融危機の影響により、品質や信頼性、価格などを合理的に判断する傾向が強く、日本ブランドの製品は「高品質」であるが「高価格」と、割高な印象を持たれているという。

 JEMAはロシア市場を“一筋縄ではいかない市場”とし、商品開発の仕組みや生産体制の抜本的な見直しが必要と指摘。ロシア向けの戦略製品の開発をはじめ、「耐久性」を保障するためのアフターサービス網の普及や、ロシアで市場の半数を占める家電量販店の3大チェーン店との関係強化、日本メーカーの生活家電に対する漠然とした印象を信頼や購入にシフトするようなコミュニケーション投資が必要としている。

 ロシアは、経済発展が著しい国「BRICs」の1つとなっている。BRICsとは、ブラジル・ロシア・インド・中国の4カ国を指す経済用語。

ロシアにおける生活家電のニーズ




(正藤 慶一)

2010年3月3日 18:12