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欧州キッチン家電、トレンド最前線レポート~後編

~キューブ型IH、Bluetoothレンジなど

SF的近未来を夢想するIndesit

ミラノサローネ新見本市会場内のFTK会場
 雨まじりになったミラノサローネの2日目。それでも会場は多くの人で溢れていた。前日につづき、未来のキッチン家電が揃う「FTK(Technology for the Kitchen)」の残りのブースをレポートしよう。

 前編ではFTKの目玉として、ElectroluxとWhirlpoolを中心に紹介したが、これに加えもう2つの目玉となっているのがイタリアのIndesitとドイツのMieleだ。

 Indesitは、日本では馴染みが薄いが、Indesitブランドに加え、Hotpoint-Ariston、Scholtesという3つのブランドを展開。ヨーロッパではElectroluxに次いで2番目、世界市場では5番目に大きいホームアプライアンスメーカーで、日本への進出はまだだが、既に中国市場への進出は果たしている。


Openspaceはこれまでのオーブンでは容量58Lが標準的だったが、Openspaceは容量70Lと大型
 同社のブースで今回の目玉となった展示は2つある。1つはミラノサローネの展示場のそこかしこで宣伝されていた「Openspace」というオーブン。ヨーロッパのキッチンで標準的なサイズながら、中の容量は70Lと超大型だ。

 パーティー用に大きな食材を調理できるのはもちろんのことだが、それに加え、内部をしきりを使って2つに分け、それぞれ50℃から250℃の間の別の温度で調理をすることもできる(ただし温度差は100℃以内にする必要がある)。また、しきりを使ってオーブンの容量を小さくし、その分、高速に食材を暖める、といった使い方も可能だ(20Lに区切った場合、4分で200℃に達する)。

 製品デザインはミラノ在住の日本人デザイナー、蓮池槇郎氏が行なっている。

 製品としては、これ以外に「ON AIR」と呼ばれるレンジフードファン(調理場用の換気ファン)もなかなかおもしろい。ファンに携帯電話でおなじみの無線通信技術、Bluetoothのアイコンが刻印されている。よく聞くと、携帯電話とBluetooth接続して、ハンズフリー通話ができるのだという。ちなみにで電話がかかってくると、自動的にファンの回転を下げ、音を聴こえやすくするそうだ。

 このように最新のテクノロジーとデザインを意欲的に取り込んでいるIndesitだが、同社のブースでもっとも多くの人を集めていたのが“The Future Welcomes You(未来はあなたを歓迎する)”といわれる同社が考える未来のキッチン家電のコンセプトの展示だ(プロトタイプはいずれもSholtesブランドとなっていた)。

 ブース内に真っ黒の円柱型の特設ブースを用意し、製品コンセプトのプロトタイプを多数展示していた。

 入るとまず目に入ってくるのが「KUBIK」と呼ばれる4本の支柱で吊るされたIH調理台。支柱の左右には鍋を縦に2つ並べられるほどの大きさのIHヒーターが2つ、そして中央には鉄板焼き用の鉄板がある(イタリアでも鉄板焼きはポピュラーで、来場者は皆、「e questo Teppanyaki?(これって鉄板焼きなんですか)」と聞いて行く。

 おもしろいのは左右のIHヒーターは、くるっと回転させて違う形のヒーターに切り替えが可能なこと。さらに支柱の上の方には、巨大な白い箱があって、それを引き下ろして鉄板焼きの上にかぶせるとオーブンとして使うことができる。

 また、左右のIHヒーターもパタッパタッと鉄板焼きの上に折り畳むことが可能で、その上にオーブンユニットをかぶせれば、すべての調理器具をほぼ立方体の形にまとめて片付けることができる(だからKUBIK=CUBE)なのだ。

 調理器具をすべて片付けると4本の支柱が青色に光(他の色も選べるそうだ)、機器の上からアロマが漂い台所っぽい生活臭が漂うにおいまで消し去ることができるのだという。


調理中のKUBIK。左右がIHヒーター。真ん中が鉄板焼き
左右のIHヒーターを回転して、別の形状のヒーターにすることができる

上にあるオーブンユニットを降ろしたところ
左右のIHヒーターを折り畳んで片付けた中
上からオーブンユニットを降ろして来たところ

 KUBIKのすぐ横に展示されていたEFESTOというコンロのコンセプトもおもしろい。コンロが独立した板状のユニットになっていて取り外したり、壁に立てかけたり、積み重ねたりして片付けることができる。合体型のカセット型コンロと想像してもらうとわかりやすい。ただし、ガスはカセット式ではなく、各コンロを横連結するパイプを通って伝わってくるために、薄型化できている。


連結型カセットコンロのEFESTO(IH型ユニットもある)
連結部を軸にして壁に立てかけることもできる
使い終わったらトレイに収納するなどして「片付ける」こともできる

COLORBRICKSは白い縦長ユニットと、青い横長ユニットを組み合わせた冷蔵庫。 ドア型のユニット(上から2番目)と引き出し型ユニット(3番目)などを自由に組み合わせられる。各ユニットを取り外すこともできる(背後のコンセプトビデオ)
 COLORBRICKSと呼ばれる未来の冷蔵庫も展示されていた。右側が飲み物などを入れる縦長のユニットで、その左側には組み合わせて取り付けることができるブロック型のユニットをとりつけることができる。半透明の青いプラスチックが特徴のブロック型ユニットはドアのように開けるもの、引き出し型のものなど、さまざまな形のものがあり、使い勝手にあわせて入れ替え可能だ。

 右側の白い縦長ユニットも下の部分には取っ手と車輪がついており、そのまま台車として飲み物を別の部屋に運ぶことができるようになっている。

 同社はこのほかにもGRAVITYという頭上に設置し、床部をキッチン台に引き降ろして利用する製品(食洗機とオーブンとワインクーラー)、音声認識で操作するオーブン(英語とイタリア語に対応)などを展示していた。


個々のユニットを自由に入れ替えできることがCOLORBRICKSの特徴
GRAVITYは普段は頭上に隠しておき、使うときだけ底面をキッチン台に引き下ろす形のキッチン家電シリーズだ
音声操作に対応したSOPHIUSシリーズ。「150℃の温度で30分、8時半に仕上げるように調理して」といった命令を英語またはイタリア語で出せる。誤操作防止で、調理開始の「OK」ボタンだけは手で押さなければならない

半歩先の未来を考えるMiele

 Indesitが、夢溢れる未来のアプライアンスを展示する一方で、ドイツのMieleは堅実に既に出荷されている(あるいは出荷間近の)アプライアンスを展示していた。

 そんな中、同社が唯一、未来のコンセプトとして展示していたのが、「Con@ctivity」と呼ばれる台座に同社のコーポレートカラーの赤を配したIHヒーターとレンジフードファンのセットだ。実は両ユニットは、どの位置のヒーターが使われているかや、どの程度の火力が使われているかをワイヤレス通信し、ファンの回転速度を自動調整する(回転速度は手動補正することもできる)。

 ワイヤレスと言えば、オーブンのフラグシップ製品となる90cmオーブンにもワイヤレス技術が採用されている。同オーブンではドアの上の部分に肉の温度を計る長い針状のミートサーモが収納されているのだが、このミートサーモには温度を表示する計器がついていない。測った温度はそのままワイヤレス通信でオーブンユニットに転送され、調理データとして、自動調理に活用されるのだ。

 同社が業界最大と唱う90cm ワイドオーブンは容量85Lで、肉をやわらかくローストする65~80℃での低温加熱調理やMoisture Plusと呼ばれる加湿機能なども用意されている。


オーブンの扉に収納できるミートプローブはオーブン本体とワイヤレス通信をし温度を伝える
90cmという広さも、85Lという容量でも大きな注目を集める90cm オーブン

 このオーブンの横で展示され注目を集めていたのが、自動開閉式のレンジフードファンだ。両サイドに空きがあるキッチンアイランドの天井から吊るすタイプで、片面しか使えないキッチンでは使えないが、普段は邪魔にならないような薄型の箱のような形だが、スイッチを入れると、下の方が前後に開きファンが回り始める。

 同社がもっとも展示に力を入れていたのがGeneration 5000と呼ばれるビルトイン型のクッキングアプライアンスシリーズ。今回は同シリーズでMoisture Plus対応のオーブンやエスプレッソマシンを新たに発表していた。


使用していない間は、前後に開いた吸煙部が閉じる
「Generation 5000」

100年先を見越して

 年配の人は掃除機のブランドとして親しみがあるHooverもCandy Hooverグループとして出展していた。Hooverブランドは今年100周年を迎えるが、「100年の歴史を持つ企業として、これからの未来にも責任を負っている」と語る。

 ガスコンロでありながら、熱伝導率の高い素材を鍋底に接地させ効率的に暖めるガスコンロや、メタル素材が今日ほど自由に使えなくなる時代を見越したセメントでつくったオーブンなどのコンセプト製品も展示していたが、撮影は許可されなかった。

 CANDYの製品は、オーブン内の明かりとしてLED照明を積極的に採用していた。ただし、普通にLEDの照明を使うと、食べ物の色がきれいに見えないなどの理由から、光の周波数を調整するなど工夫を凝らしている、ということだ。

 ガスコンロ、IHヒーター+もう1種類のユニットという組み合わせの調理台の提案をいくつかしていたが、その中でもっともおもしろかったのは食べ物を保温しておくフードウォーマー(食品保温器)との組み合わせ。普段は右端のユニットが調理台として使えるのだが、調理が終わりスイッチを押すと、中からフードウォーマーがせり出してくる。


CANDY Hooverグループの新型オーブンでは、食べ物の色をおいしく見せる周波数を使ってLED照明に全面移行 中華鍋用のコンロを含むIHヒーターユニットとフードウォーマーをセットにした提案 右端のウォーマーはスイッチ1つで自動昇降する

デザインを競うレンジフードファン

FRANKEのレンジフードファン
 キッチン家電といえばオーブン、レンジ、コンロ(IHヒーター)や冷蔵庫が花形というイメージがあるが、今年のFTKで意外にも幅を利かせていたのが、レンジフードファン関連の展示だ。

 前編でも伝えたElicaの他、撮影不可だったBest、FRANKE、そしてFABERらはいずれもレンジフードファンの展示に力を入れていた。このうちBestとFABERは、レンジフードファン専業のメーカーだ。

 多くのキッチン家電がフラット化のシンプル路線を突き進む中、実はレンジフードファンはシンプルなものから、奇抜な色を使って台所のアクセントとなるものなど、色や形の多様化が進んでいる。

 IHヒーターの登場で、再び注目を集めるレンジフードファンは、これからの台所にもっとも大きな「変化」をもたらしくてれる存在であり、我々にとってもっとも身近なキッチンの未来なのかもしれない。

 以下では各社のレンジフードファンを写真で楽しんでもらおう。

 なお、FABERは6月に東京でフェアを行なうということだ。


FABERのレンジフードファン






URL
  ミラノサローネ公式ページ
  http://www.milanosalone.jp/
  ミラノサローネ2008 レポートリンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/event_salone.htm


( 林 信行、編集部 )
2008/04/21 12:57

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