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見えないはずの電池の中を観察する技術、産総研

産総研の研究チームが、電池内部を目で観察できる新技術を開発した

産業技術総合研究所(産総研)は26日、動作中の電池内部を非破壊で目視観察できる手法の開発に成功したと発表した。可視光を通す極薄電極を用いて、これまで見ることができなかった電池内部の様子をリアルタイムで確認できる。金属リチウム電池などの次世代電池の劣化を抑制する技術への貢献を見込んでいる。

今回の研究は、電池技術研究部門の橘田晃宜 主任研究員、佐野光 上級主任研究員、前吉雄太 主任研究員が開発した手法によるもので、動作中の電池内部を非破壊で目視観察できる手法の開発に成功。試験用セルを用い、充放電中の内部の変化を観察した。

電池は、プラス極とマイナス極とセパレーターの3つで構成されるが、通常は完全に閉ざされているため内部を直接目で見ることはできない。そこで電極の一部を非常に薄くし、光を通すことで内部観察を可能にした。条件を工夫することで、電気伝導性と可視光透過性を両立する、最適な銅薄膜の厚みを突き止めたという。

その結果、充電中に電解液の還元分解によってガスが発生し、電池性能に影響を与える様子や、充放電中における金属リチウムの析出と溶解の様相を直接観察できたという。これらは電池の劣化や短絡(ショート)の原因となる。

産総研は、「本技術は電解液、セパレーター、金属リチウム箔、電極コート材料など、さまざまな電池構成部材の開発を進める上での、基礎評価プラットフォームとして利用できると考えられます」とコメント。金属リチウム二次電池などの次世代高エネルギー密度二次電池における、劣化抑制技術の開発を加速することに期待を寄せている。