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公取委、ヤマダ電機によるベスト電器の子会社化を承認

~出店が重複する地域8店舗の売却が条件

 公正取引委員会は10日、ヤマダ電機によるベスト電器の子会社化に関する審査を終え、一定の条件を課すことで、排除措置命令を行なわないと通知した。これを受けて、ヤマダ電機はベスト電器の第三者割当に対する払い込みを13日に行なう予定で、ベスト電器の子会社化が決定した。

 公取委が公開した審査内容では、両社のような家電量販店の商圏は10kmと設定されており、同業である家電量販店を競争相手として注視している。ヤマダ電機の店舗213店舗のうち、ベスト電器を注視している地域は41地域あり、ベスト電器が子会社化されることで競争関係が解消されてしまう。

 とくに、41地域のうち10地域については、ベスト電器以外の競争店舗がなく、子会社化によって競争が解消されると、販売価格の上昇などで地域の住民が不利益をこうむる可能性がある。問題となったのは、甘木地域(福岡県)、唐津地域(佐賀県)、島原地域(長崎県)、諫早地域(長崎県)、大村地域(長崎県)、人吉地域(熊本県)、種子島地域(鹿児島県)、宿毛地域(高知県)、四万十地域(高知県)、秩父地域(埼玉県)の10地域。

 この指摘に対し、ヤマダ電機では、対象となる10地域について2013年6月30日までに、ヤマダ電機またはベスト電器のうち、いずれか1店舗を第三者に譲渡するという内容の問題解消措置を提案した。ただし、諫早と大村、宿毛と四万十については、隣接した地域のため、いずれかから1店舗のみとしており、最終的に8店舗を譲渡する。また、譲渡が終了するまで、店舗の維持を行ない、公取委に販売価格の報告を行なう。

 公取委では、この提案により、10地域において、新規の独立した競争者が創出されると判断し、排除措置命令を行なわない旨を通知した。

 ヤマダ電機によるベスト電器の子会社化は、7月に発表されていたが、公取委による審査が長引いており、予告されていた期間ぎりぎりでの決着となった。ヤマダ電機は、ベスト電器の新規株式約8,000万株を、1株151円で引受け、約121億円を投ずる。

伊達 浩二