タニタ、マット型睡眠計「スリープスキャン」を改良

~調整不要で使いやすく。業務用にWiFi版も登場
睡眠計「スリープスキャン」3製品を発売する、谷田千里 タニタ代表取締役社長(右)と、法政大学 デザイン工学部 小林尚登教授(左)

 タニタは、快眠へのアドバイスを表示するマット型睡眠計「スリープスキャン SL-503/504」を8月10日より発売する。家電量販店ルートで販売される「SL-503」の価格はオープンプライス。市場想定価格は30,000円前後。医療器ルートで販売される「SL-504」の希望小売価格は31,500円。

 寝具の下に敷いて使うマット型の睡眠計「スリープスキャン」シリーズの最新モデル。マット内部に水が入っており、その上に人が横たわると、内圧をセンサーで感知して、脈拍数、呼吸数、体動を計測する。これにより、睡眠の深さや状態が把握できるという。

寝具の下に敷いて使う。本体は細長いマット型で、中に水が入っており、柔らかい触感寝具の厚さは30cm程度まで対応する身体の上下方向に垂直に、睡眠計の上辺が肩の位置にくるように寝る

 測定したデータは、本体内のSDカードに保存される。これをパソコンに差し込むと、専用アプリケーションが睡眠の深さやリズムを解析し、グラフで表示する。パソコンにはあらかじめ、付属のCDからアプリケーションをインストールしておく必要がある。

 新モデルのSL-503/504では、睡眠状態を解析するソフトウェアの機能を強化させた点が特徴。深い睡眠の割合や寝付き時間、途中で目覚めた回数などを解析し、睡眠状態をタニタ独自の指標「睡眠点数」で判定。グラフで表示することに加え、新たに快眠へのアドバイスを表示する機能が追加された。

会場に展示されていたスリープスキャン SL-503/504操作は電源のON/OFFボタンだけで、とてもシンプルな外観だ
向かって左側に、SDカードの差込口を搭載。記録用の2GBのSDカードが同梱される。SDカードには約400回分のデータが登録できる睡眠の深浅、日々の睡眠時刻と時間、タニタ独自の指標「睡眠点数」、および睡眠点数別アドバイスが表示される

 また従来モデルでは寝具に合った感度調節が必要だったが、新製品ではこの調節作業を自動化。これにより、操作方法は就寝時にスリープスキャンの電源をON/OFFするだけとシンプルになり、使い勝手を向上させた。

 さらにSL-503では、多人数で利用できる「多人数管理機能」を搭載した。SDカードごとにデータを管理でき、3人が1台のスリープスキャンを利用するなどの使い方も可能となる。

 なお、新製品の発売に先立ち、同社では新製品を試せるトライアルキャンペーンを実施する。希望者は3,500円払うことで、10日間ほど自宅で使用でき、睡眠状態の解析結果が郵便で届く。募集はタニタのホームページ上で、7月25日より開始する。

 SL-503の本体サイズは863×314×26mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約1.3kg。計測可能なマット厚は約30cmまで。計測時間は最大で約24時間、最小で1時間。ACアダプターが同梱される。

タニタ スリープ&ウェルネス事業部 佐藤富男部長

 タニタ スリープ&ウェルネス事業部 佐藤富男部長は、同社が睡眠計に力を入れている理由として、睡眠と肥満の関連性を指摘する。

 「睡眠時間が短いと、食欲が増して食べ過ぎを招き、BMIが増加し、結果的に肥満を招くという調査結果がある。肥満は糖尿病や生活習慣病、高血圧、無呼吸症候群などのリスクが高い。弊社では人々の健康づくりをサポートするため、活動量計や体組成計、温湿度計など、さまざまな健康機器を販売している。さらに睡眠計を使うことで、24時間健康管理ができる」

睡眠不足は肥満を招くという指摘がある日本では成人の4~5人に1人が自分の睡眠に不満を抱いている。30歳以上になるとさらに割合が増えるという自分の睡眠を知ることで、病気のスクリーニングや、生活習慣の見直しなどの効果がある

事業者向けのクラウドサービスに対応するモデルも

スリープスキャン SL-511

 タニタでは、事業者向けの製品として、クラウドに計測データを転送して管理する睡眠計「スリープスキャン SL-511」も発売する。

 Wi-Fi方式による無線通信方式を採用した点が特徴で、脈拍数、呼吸数、体動といった計測結果をインターネット上の専用クラウドサーバーにリアルタイムで送信する。測定者および管理者は、サーバーにアクセスして解析結果を確認することができ、管理者が複数名のデータを一括管理することも可能。これらの機能により、例えば運輸業界でドライバーの居眠り運転を未然に防いだり、介護施設や医療分野で入居者や患者の見守り機能を果たすことが期待されるという。

 9月をめどに藤田観光と共同で、都内のホテルにてテストマーケティングを開始するという。

計測結果をリアルタイムで専用クラウドサービスに送信するWEBで睡眠状態を解析。独自指標である「睡眠点数」を示し、アドバイスを表示する例えば介護施設では、管理者が入居者の睡眠状態を一覧で確認できる
複数名の体動、呼吸、脈拍といったバイタルデータを、30秒ごとにクラウドに送信見守りサービスと連携して、独居老人を見守るモニターとしても使える藤田観光と連携し、ホテル向け「安眠ルーム」を開発する予定。ストレスを軽減する効果があるというアロマオイルと、ヒーリング音楽も活用し、SL-511を用いてアドバイスする
法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 小林尚登教授

 発表会には、介護住宅においてSL-511を用いた実証実験を行なっている法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 小林尚登教授が登壇した。同氏はスリープスキャンについて、「施設入居者の脈拍数、呼吸数、体動をパソコンの画面で一括管理できるため、介護の労力を減らせる。介護される立場の人も、“見られている”という意識をせずに過ごせることもメリットだ。超高齢化社会へ向かう中、ハイテク技術をうまく活用して行くべきだ」とコメントした。







(小林 樹)

2012年7月19日 00:00