三菱電機、使用済エアコンのレアアース磁石回収を事業化

三菱電機では、リサイクルを担当する子会社2つ共にレアアース磁石を回収、国内の磁石メーカーと協力してリサイクル体制を構築するという

 三菱電機は、使用済みルームエアコンからレアアース磁石(ネオジム磁石)を回収する自動解体装置を独自に開発、子会社のグリーンサイクルシステムズ(以下、GCS社)に設置し、2012年4月より稼働することを発表した。

 レアアースとは、ネオジム・ディスプロシウムなど酸化物や塩化物などの総称で、省エネ性能を高める材料の1つとして、多くのルームエアコン用圧縮機に使用されている。近年では、その調達が難しくなっておきており、価格が高騰している。

 三菱電機では、貴重な資源であるレアアースを有効活用するため、使用済みのルームエアコンからレアアースを回収する技術を開発。三菱電機のリサイクル事業を担当するGCS社において、事業を開始し、リサイクル体制の構築を進めていくという。

 今回開発されたのは、使用済みルームエアコンの圧縮機のローターに含まれるレアアース磁石を単体分離できる状態まで、自動で解体する装置。GCS社では2012年4月からこの装置の稼働を開始する。既設の圧縮機分解ラインに連動して使用できるため、作業効率が良く、省スペース、省電力だという。

今回開発された自動解体装置。既設の圧縮機分解ラインに連動して使用できるため、作業効率が良く、省スペース、省電力だという

 具体的な事業内容としては、三菱電機の子会社ハイパーサイクルシステムズ(HCS社)で回収したルームエアコンの圧縮機をGCS社に供給、GCS社にて圧縮機を解体してレアアースを回収する。回収したレアアースは、国内の磁石メーカーに供給するという。

 同社では、レアアース磁石の確実なリサイクル環境を構築するため、自社ルームエアコンでの再利用も視野に入れているという。また今後の事業拡大のため、HCS社以外からの圧縮機受け入れや、使用済みハードディスクからのレアアース回収も検討しているという。






(阿部 夏子)

2012年2月8日 14:50