富士通ゼネラル、パソコンで電気代が管理できるエアコン
富士通ゼネラルは、電波式リモコンを使って、電気代が管理できる“業界初”のエアコン「nocria(ノクリア) Zシリーズ・Sシリーズ」を、1月21日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は、Zシリーズが20万円から33万円前後、Sシリーズが15万~21万円前後。
同社の最高級モデル「nocria」の新モデル。「Zシリーズ」は室内機の横幅をコンパクト化した6~14畳向けと、リビングなど広い部屋に適した18~23畳向けが用意され、「Sシリーズ」は6~18畳向けで、“業界最小”を謳う室内機を採用している。
Zシリーズ。写真上が18~23畳向け、下が6~14畳向けモデル、 | Sシリーズは“業界最小”を謳うコンパクトな室内機が特徴 |
■業界初の“電波式リモコン”で誤操作を防止。パソコンのデータ管理機能も利用可
新しく採用した“電波式リモコン” |
新モデルでは、両シリーズとも“業界初”となる2.4GHz帯の電波式のリモコンを搭載した点が特徴。従来のリモコンでは赤外線通信により操作を行なっていたが、電波式にしたことで、室内機にリモコンを向けずに操作したり、隣の部屋からコントロールすることができるようになった。同社ではこれにより、エアコンの切り忘れなど誤操作が防げるとしている。
この電波通信により、パソコンによる電気代の管理もできるようになった。室内機が1日1回、電気代や運転時間といったデータをリモコンへ送信し、リモコンをUSB経由でパソコンに繋げることで、パソコン上で電気代や運転時間を表示する。ほかの部屋にある複数のノクリアの一括管理も可能。グラフで分かりやすく表示することで、従来では気付かなかった運転のムダを発見したり、目標となる電気代を決めて運転を管理するなど、ムダのない運転ができるという。
リモコンの向きを室内機に向けなくても操作できる |
リモコンには電気代の表示機能も付いている | モニターには高精細フルドット液晶を採用 | 電源は単四形電池4本 |
新しいリモコンの採用により、電気代の管理機能も追加された。まず、電気代や運転時間などのデータが、室内機からリモコンへ自動で送られる | リモコンとパソコンをUSBケーブルで繋ぐことで、データをパソコンに転送する | リモコンに付いているUSBコネクタ |
パソコンで表示される画面。閲覧には専用のユーティリティソフトを使用する。データは数字とグラフの2画面が用意される | 数字による電気代のデータ。カレンダーの中に運転時間と電気代が表示されており、左側には月累計の電気代のウインドウもある | グラフでの表示も可能 |
富士通ゼネラル 経営執行役常務 空調機開発担当 川島秀司取締役 |
富士通ゼネラルの経営執行役常務 空調機開発担当の川島秀司取締役は、この電気代管理機能を搭載した理由について、より省エネを推進するために、ユーザー側の使い方の省エネを勧めていく必要がある点を指摘した。
「エアコンはもはや1部屋に1台使う時代。保有台数は年々増えており、一世帯当たりの電気消費量は増えており、ますますエアコンに省エネ性が求められる。しかし、エアコンの機器自体が省エネできても、エアコンの運転の効率が良くても、温めすぎても冷やしすぎても、消費電力は増える。いくら燃費の良いハイブリッドカーでも、走行距離が長ければ燃料の消費量は増えるのと同じこと。エアコン自身の運転効率だけでなく、その使い方が重要になる」
川島氏はまた「最近は、室内機によく電気代や運転時間を表示するモニターがあるエアコンが多いが、『その数値が多いのか少ないのか分からない』など、具体的にどうしたらよいのか、行動に繋がらないのが実態。そこで新製品では、お客様の省エネ行動を促進するリモコンと電気代管理機能を搭載し、より大きな省エネ効果を生み出すことを可能にした」と、電気代管理機能による省エネに期待を見せた。
エアコンは「一家に1台」から「一部屋に1台」となり、ますます省エネ性が求められるようになった | 機器自体の性能を向上するとともに、利用者自らの省エネ行動を促す機能が必要という | 本体のモニターで電気代や運転時間を表示するエアコンもあるが、これは具体的な省エネ行動に結びつかないという |
なお、電波式リモコンの操作範囲は10~15m。壁に鉄が使用されている場合、電波が弱くなる可能性もあるが、隣の部屋なら問題ないという。データの保存は40日分まで。
ほかの部屋にあるノクリアのデータも、1つのパソコンにまとめられる | 複数のエアコンのデータを、グラフで表示したところ | ユーティリティソフトでは、エアコンの設定の確認やワンポイントアドバイス機能も用意されている |
■Zシリーズは5.6kWクラスで“省エネNo.1”。電源の切り忘れを防ぐ「不在OFF」も
Zシリーズでは、機器自体の省エネとして、熱交換器に「高密度マルチパス熱交換器」、インバーターには電流を流すタイミングを最適化した「高電圧ベクトルPAMモーター」、室内機内部には大きく吸い込んでスムーズに風を吹き出す「高効率送風機構」を採用。これらにより、出力5.6kWクラスの「AS-Z56A2」において、期間消費電力量1,935kWを達成。同社では“業界No.1”の省エネ性能としている。
また、従来モデルに引き続き、電源の切り忘れを防ぐ「不在ECO」オートオフ機能を搭載。人感センサーで人が居ないと判断した時には、不在から10分後に控えめ運転に切り替え、1~3時間後に自動で停止する。さらに、「温湿度センサー」も搭載しており、人の活動量と部屋の温湿度を検出し、最適な温度設定で運転を制御、ムダを抑えた運転ができるという。
このほか、フィルターの自動掃除機能、音声による運転状況のお知らせ機能、1日に4回設定できるタイマー機能も備える。
Zシリーズの内部構造 | 電源の消し忘れを防ぐ「不在OFF」機能も引き続き搭載 | フィルターの自動掃除機能も備える。なお、富士通ゼネラルはフィルター自動掃除機能を世界で初めて開発した |
Sシリーズの室内機は、幅が72.8cm、高さが25cmとコンパクトなため、窓上にも取り付けやすい |
Sシリーズは、袖壁や窓上などにも据え付けが可能なコンパクトタイプ。Zシリーズと同様、高電圧ベクトルPAMモーターやマルチパス熱交換器、高効率送風機能を搭載しており、高い省エネ性能を備えているという。また、不在ECO、フィルター自動掃除、マルチタイマーなどの機能も用意されている。
■2011年の出荷台数は“平均的”な720万台。広告には松下奈緒が登場
富士通ゼネラル 経営執行役常務 国内民生営業担当 小須田恒直 取締役 |
富士通ゼネラル 経営執行役常務 国内民生営業担当の小須田恒直 取締役は、2011年度の出荷予測について、過去10年間の平均となる720万台と予測。
「2010年度は猛暑とエコポイントにより、815万台と過去最高に及ぶ数字を記録した。2011年度は反動が厳しいとも言われるが、さまざまな新機能が搭載されたことで、買い換えのポテンシャル自体は大変高くなっている。(電波式リモコンや電気代管理機能などで)今年は進化する機能のリーダーシップを取っていきたい」
また、同社のエアコンのイメージキャラクターとして、NHKのドラマ「ゲゲゲの女房」の主役を務めた女優の松下奈緒さんが務めることも併せて発表された。
2010年は猛暑とエコポイントで、エアコンの出荷が大幅アップ。2011年は「過去10年の平均(小須田氏)」という720万台の予想 | イメージキャラクターには、前年までの元プロ野球選手・野茂英雄さんから、女優の松下奈緒さんが選ばれた | リモコンは同社の脱臭器「PLAZION(プラズィオン)」のON/OFFも操作できるという |
(正藤 慶一)
2011年1月20日 17:03