富士通ゼネラル、廉価モデルでも省エネ性能を高めたエアコン

~上位3シリーズで“省エネトップクラス”

 富士通ゼネラルは、全モデルで2010年の省エネ基準をクリアしたエアコン5シリーズを、1月14日より順次発売する。ラインナップは以下の表の通り。

高級タイプ「nocria(ノクリア)」。上がSシリーズ、下がZシリーズ標準タイプのVシリーズ。今回からラインナップに加わったエントリーモデルのR/Jシリーズ

【高級モデル「nocria(ノクリア)」シリーズ】
シリーズ名型番冷房時
適用床
面積
APF※APF
(2010年
基準値)
室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
店頭
予想価格
発売日
「nocria」
Zシリーズ
AS-Z28W10畳6.76.6890
×
297
×
250mm
23万円前後
(AS-Z28W)
3月15日
AS-Z40W214畳6.26.0
AS-Z50W216畳5.75.5
AS-Z63W220畳5.25.0
AS-Z71W223畳4.84.5
「nocria」
Sシリーズ
AS-S22W6畳6.55.8728
×
297
×
250mm
AS-S22Wは
15万円前後
AS-S28Wは
17万円前後
2月15日
AS-S25W8畳
AS-S28W10畳
AS-S40W214畳5.84.9


【標準モデル】
シリーズ名型番冷房時
適用床
面積
APF※APF
(2010年
基準値)
室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
店頭
予想価格
発売日
VシリーズAS-V22W6畳6.55.8790
×
225
×
293mm
AS-V22Wは
11万円前後

AS-V28Wは
13万円前後
2月15日
AS-V25W8畳
AS-V28W10畳
AS-V40W14畳5.54.9
AS-V50W216畳5.5
RシリーズAS-R22W6畳5.85.8728
×
293
×
250mm
AS-R22Wは
11万円前後
AS-R28Wは
13万円前後
2月15日
AS-R25W8畳
AS-R28W10畳
AS-R40W14畳4.94.9
JシリーズAS-J22W6畳5.85.8790
×
203
×
280mm
AS-J22Wは
9万円前後
AS-J28Wは
11万円前後
1月14日
AS-J25W8畳
AS-J28W10畳
AS-J40W14畳4.94.9

※通年エネルギー消費効率。数値が高いほど省エネ効果が高い


各部屋にある全エアコンの省エネ化を狙う


 高級タイプの「nocria(ノクリア) Z/Sシリーズ」、今回からラインナップに加わった標準タイプの「Vシリーズ」の上位3シリーズにおいて、2010年の省エネ達成基準で“業界トップクラス”という、高い省エネ性能が特徴となる。また、標準タイプの「R/Jシリーズ」の2シリーズにおいても、2010年の省エネ基準をすべてクリアしている。

取締役 経営執行役常務 空調機開発担当の川島秀司氏
 最上位モデルだけでなく、上位3シリーズでトップクラスの省エネ性能を備えた理由について、取締役 経営執行役常務 空調機開発担当の川島秀司氏は、「リビングだけでなく、各部屋で使われるすべてのエアコンの省エネ化を狙った」としている。

 「核家族化による世帯数の増加や生活様式の変化により、エアコンは“一家に1台”から“1部屋に1台”へと、保有台数が増加していった。しかし、リビングでは高機能タイプを使っているのに、寝室では標準タイプを使うケースが多い。“最近のエアコンは省エネ化が進んでいる”といわれているが、実は家庭全体では省エネできていない。エアコンの消費電力量を減らすためには、各部屋にあるエアコンをすべて省エネ化しなければならない」(川島氏)

エアコンは一家に1台から、1部屋に1台へと発展してきた。その一方で、消費電力量も年々上がっている全ての部屋で、高級モデルのエアコンが使われているわけではない業界全体を見れば、省エネ基準達成率が100%を切る標準タイプの構成比が大きい


高性能の熱交換器やインバーターで高い省エネ性能――高級タイプ「nocria」

 高級タイプのZ/Sシリーズは、“業界トップクラス”という、高い省エネ性能が特徴となる。

 Z/Sシリーズでは熱交換器に、全体をムラなく熱交換できる「高密度マルチパス熱交換器」を採用。さらに、コンプレッサーに高電圧を加え、電流を流すタイミングを最適化した「高電圧ベクトルPAMインバーター」、大きく吸気しスムーズに吹き出す「高効率送風機構」も搭載している。これらのはたらきにより、Sシリーズでは2010年の省エネ基準を112%と、高い数値でクリアしている(10畳タイプ)。

熱交換器、インバーター、送風機構を改良。Sシリーズでは、省エネ基準達成率は112%高密度マルチパス熱交換器。冷媒が通る管を細くしている高電圧ベクトルPAMインバーターは室外機に搭載されている

 省エネ機能ではこのほか、人がいる/いないを検知して省エネ運転を行なう「インテリジェント・エコ」機能を、従来モデルに引き続いて搭載した。これは、人が10分間不在になったのを人感センサーが検知すると、約40%の制御運転に切り替わり、1~3時間後にも不在だった場合には、自動で停止するというもの。同社の調査によれば、暖房時で最大約40%、冷房時で最大約20%の省エネにつながるという。

 さらに、温度/湿度センサーと人感センサーを併用することで、人の活動量や現在の温度・湿度に併せて最適な温度で運転することもできる。同社では暖房時で最大約30%、冷房時で最大約20%の省エネになるとしている。

 このほか、付着したほこりをダストボックスに回収する自動フィルター掃除機能、冷房時は部屋天井に、暖房時は床へ気流をコントロールする「ビッグフラップ」と「パワーディフューザー」、コーナーに設置した場合でも風向角度が制御できる「ワイドルーバー」も、従来モデルに引き続いて採用する。

人の居る、居ないを感知し、動きも見張る「インテリジェント・エコ」機能を搭載人感センサー気流をコントロールするための機構も採用している
「インテリジェント・エコ」機能のデモ。人が居なくなると運転を抑え、不在時間が長いと自動でOFFにする。デモ機のため、同機能が早く作動している

新機能「電気代アドバイス」「ツイン除菌」を追加


 高級タイプのZ/Sシリーズでは、従来モデルからの新機能として「電気代アドバイス」「ツイン除菌」を搭載している。

 「電気代アドバイス」は、室内機正面に搭載したモニターで、省エネを促す機能。温度設定時には、1時間当たりの電気代の予想差額を表示したり、1日の積算電気代なども表示できる。また、昨日と今日の電気代の比較表示にも対応する。

 「ツイン除菌」は、本体に搭載した発生器からブラズマイオンを室内に放出するというもの。浮遊ウイルスや浮遊菌の活動を抑える効果があるという。また、本体内に搭載内にはUVランプが搭載されており、本体内に取り込んだ空気を照射、菌やウイルスの活動を抑制できるという。

 このUVランプは、同社の家庭用脱臭機「PLAZION(プラズィオン)」で採用されているものと同じだという。なお、プラズマイオンの発生器は他社製となる。

「電気代アドバイス」機構の表示パターン温度設定をすると、1時間当たりの電気代の差額を表示する。葉っぱは目安全部で4パターンが用意される

プラズマイオンの放出機能も搭載本体内のUVランプで空気を除菌することもできる
室内機内部に搭載される、UVランプとユニットプラズマイオン発生器

暖房に強いZシリーズ、“業界最小サイズ”で取り付けやすいSシリーズ

 上記の機能はZシリーズとSシリーズとも共通だが、室内機のサイズが異なる。Zシリーズは890×297×250mm(幅×奥行き×高さ)と、カーテンレール上の取り付けを考慮したサイズ。Sシリーズは728×297×250mm(同)と、カーテンポール脇の袖壁に取り付けられる「業界最小」タイプとなる。

 Zシリーズはまた、外気温2℃の状態で「業界No.1」という8.1kWの暖房能力を備えている。このほか除湿時に寒くならない再熱除湿、リモコンの操作を室内機が音声で知らせる「お知らせボイス」もある。

Sシリーズの室内機は“業界最小”。袖壁にも取り付けられるZシリーズはカーテンレールの上にも設置可Zシリーズでは、“業界No.1”の暖房能力を謳う

標準タイプでもトップクラスの省エネ性能

新しくラインナップに追加されたVシリーズ。標準タイプながら、業界トップクラスの省エネ性能が特徴

 標準タイプの「V/R/J」では、全シリーズに「高密度マルチパス熱交換器」を採用。Vシリーズの10畳向けのAPFは「業界トップクラスの省エネ性」という6.5となっている。Vシリーズにはプラズマイオンの放出機能も備えている。

【お詫びと訂正】初出時、Vシリーズのみに高密度マルチパス熱交換器を採用しているという記述がありましたが、これは誤りでした。訂正してお詫びさせていただきます。

 川島氏は、Vシリーズの省エネ性能について、「他社の標準タイプと比べても、奥行きサイズは同等ながら、大幅な省エネ化となっている。また、高機能タイプと比べても、同等の省エネ性を実現している」とした。

 Rシリーズは、業界最小の室内機サイズが特徴。自動フィルター掃除機能を採用する(Vシリーズ、Jシリーズには自動フィルター掃除機能はない)。

 最もエントリーモデルに当たるJシリーズは、奥行きが203mmと、ラインナップ中最も薄型タイプとなる。また、プラズマイオンの放出機能も備えている。

Vシリーズと、他社の標準モデルと比較した、APFのスペック表Vシリーズは他社の高級タイプと比べても、同等の省エネ性能を備えているという

必ず選択される商品、やり方次第で大きなチャンスも


取締役 経営執行役 上席常務の大内薫氏
 取締役 経営執行役 上席常務の大内薫氏は、2010年の市場動向について「市場に若干不況感は残るが、底打ちしたかなと思っている。2010年は700万台と考えているが、やり方次第で大きなチャンスになる」と指摘。続けて「富士通ゼネラルのエアコンの姿勢は、基本性能を最大限効率よく提供できる物作り。省エネで快適な生活を提供していきたい」と意気込みを語った。

 2009年のエアコン市場については、経営執行役常務 国内営業推進部長 小須田恒直氏は「大変苦戦した」としながらも、「10月から12月までは、前年比で3~4%増(台数ベース)。特に、寒さが厳しくなった12月では前年比で2ケタ伸長となっている」と、回復基調にあるという。その上で、「エアコンをはじめとするヒートポンプ暖房への切り替えも促進されている。“環境と家計にやさしい”シリーズということで、必ずマーケットで選択される商品と確信している」と、新製品への期待を語った。

 なお富士通ゼネラルでは、2009年にもシリーズ全製品で省エネ達成基準を発売している。これについて大内氏は「かなりのレベルで拡販できた」と評価した。

経営執行役常務 国内営業推進部長 小須田恒直氏2010年度の出荷は700万台の見込み。大内氏は「やり方次第で大きなチャンスになる」と期待を見せた



5シリーズの機能比較フィルター自動お掃除機能も搭載。業界では富士通ゼネラルが先駆けて投入したnocria Sシリーズのリモコン
宣伝キャラクターには、元大リーガーの野茂英雄さんを引き続いて起用発表会場にあったJリーグ・川崎フロンターレのユニフォーム。富士通ゼネラルは同チームのスポンサーも務めている



(正藤 慶一)

2010年1月22日 00:00