家電製品ミニレビュー
富士通ゼネラル「PLAZION DAS-303W」
■住んでいると気付かなくなる家独特のニオイに
PLAZION(プラズィオン) DAS-303W |
友人の家に呼ばれた時など、その家独特のニオイがあることに気付く。特に不快なわけではないが、毎日生活しているとその家のニオイに慣れてしまって、住んでいる人はそのニオイに気付かなくなってしまいがちだ。特に室内でペットを飼っている人やおむつ離れができていない乳幼児がいる家庭では、室内のニオイに気を使うことは多いだろう。
今回紹介するのは、そんな人にお勧めの富士通ゼネラルの脱臭機「PLAZION(プラズィオン) DAS-303W」だ。
脱臭機という聞き慣れない単語に、何それ? と疑問を感じる人もいるかもしれない。最近の空気清浄機では脱臭機能も搭載しているものも多いので、ペット対策に空気清浄機を導入している人も多いかもしれないが、とにかくニオイが気になるというなら、迷わずにPLAZIONをお勧めしたい。
メーカー | 富士通ゼネラル |
製品名 | PLAZION(プラズィオン) DAS-303W |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 32,900円 |
■独自の脱臭技術でニオイだけでなく、菌まで除去
製品の詳細に移る前に、まずは空気清浄機との違いを簡単に説明しよう。一番の違いは脱臭の仕方にある。
一般的に空気清浄機は、プレフィルター、集じん用フィルターなど、本体に複数のフィルターを搭載し、その中の1つの脱臭フィルターでニオイを取り除くというものが多い。
本体には三段階の脱臭機構「TRIPLE DEODORANT」を搭載する |
一方、脱臭専用機のPLAZIONは、3段階の脱臭工程を用意する。
まず、空気中の酸素を使って脱臭を行なうという「金属酸化触媒ハニカムフィルター」でニオイ成分を無臭分子に分解。これは、金属酸化触媒にニオイの元となる成分を吸着させ、ニオイ成分の分子を酸化させることで、ニオイを無臭化するという。
次に、UVランプによって生成されたオゾン分子によって、分解しきれなかったニオイ分子をさらに酸化、分解する「UVデオドラントユニット」によって、さらに脱臭。これ以外に、本体から低濃度のオゾンを放出し、部屋に染み付いたニオイを脱臭するという機能も備える。
これにより、ソファやカーテンなどの布製品に染み付いたニオイを分解するという。同社によると、本体に空気を取り込んで脱臭するだけでなく、オゾンを放出しての脱臭を行なっているのは、PLAZIONだけだという。
ニオイを取るためのに、かなり科学的で高度な技術を使っているのがわかる。空気清浄機に搭載されている脱臭フィルターは、ニオイの元を集めることができるが、PLAZIONのように科学的に酸化・分解させるわけではないので、取れないニオイがたくさんあるという。その代表的なものがアンモニア臭だ。
鼻に付きやすく、室内で匂うとかなり気になるが、フィルターだけでは取り除くことができないという。PLAZIONでは、金属触媒でしっかり脱臭することができるのだ。脱臭機という業界でも珍しい製品ながら、PLAZIONが支持されているのはここにある。特に、室内でペットを飼っている人やおむつを使っている乳幼児がいる家庭などで、大きな支持を得てきた。
ちなみに、ニオイの元を突き詰めていくと、それは菌だという。富士通ゼネラルでは脱臭機能を追求していく過程で、除菌技術の開発もすすめてきた。この除菌方法も脱臭方法と同様、内部に取り込んで行なうものと、低濃度のオゾンを室内に放出することで行なう。特に、注目すべきは本体内部での除菌方法。UVランプの紫外線照射で除菌するという。ニオイを取り除くだけでなく、除菌までしっかりできる、それがPLAZIONなのだ。
■お手入れが楽な“気化式”加湿機能を新たに搭載
他社とは一線を画す独自の本格的な脱臭機能で、支持を得てきたPLAZIONだが、今シーズンからは加湿機能を新たに搭載した。脱臭専用というとちょっと敷居が高いようなイメージがあるが、加湿器としても使えるのであれば、使ってみたいという人も多いかもしれない。
しかも、この加湿機能もなかなかこだわった作りになっている。加湿方式は送風により、水を気化させて加湿を行なう「気化式」を採用。気化式の何が良いって、水を加熱した蒸気で加湿するスチーム式などに比べると、お手入れが格段に楽なこと。PLAZIONでは、フィルターが水に浸かり続けることがないように、水車で水をくみ上げて加湿フィルターに水を浸透させる「水車給水構造」を採用しているため、さらにお手入れが楽。また、内部を清潔に保つために、フィルターにオゾンを吹き付ける機能も採用している。
加湿方式は気化式。回転式のフィルターの「水車給水構造」を採用する | フィルターの回りのカバーが水車のような役割をする。水をくみ上げてフィルターに浸透させる |
■思ったよりも小さい!
と、前置きがかなり長くなってしまったが、ここからは本体について見ていこう。本体を手にした時、まず感じたのが「小さい!」ということ。イメージの中で勝手に空気清浄機くらいの大きさなんだろうなと思っていたこともあって、コンパクトさに驚いた。本体サイズは290×270×440mm(幅×奥行き×高さ)で、ちょっと大きめの加湿器といった感じ。このサイズなら、棚の上に設置することも可能だ。
本体正面 | 側面。移動のときに手をかけやすい構造になっている | 本体背面 |
背面パネルを外した状態 | 左から集じんフィルター、プレフィルター、パネル。金属酸化触媒ハニカムフィルターは本体に内蔵されている | 集じんフィルターは水洗い可能 |
自宅にあったナショナル(現パナソニック)の空気清浄機と比べたところ | ほぼ正方形の作りなので、奥行きがある |
本体操作は、全て上部の操作パネルで行なう。操作は比較的シンプルなもので、脱臭のみを行なう「脱臭+プラズマイオン」と、加湿運転を合わせて行なう「加湿 脱臭+プラズマイオン」が基本的な運転。あとは、パワー、加湿、プラズマイオンの運転パワーをそれぞれ調節できるようになっている。
本体には、ニオイセンサーと温湿度センサーが付いていて、自動で運転を制御してくれるので、基本的には自動運転にお任せしている。
加湿用タンクは、本体側面から取り出す仕組み。タンク容量は2.6Lで、やや大きめだが、持ちやすい形状になっているため、給水も楽に行なえる。
本体上部 | 吹き出し口が開いた状態 |
給水タンクは本体側面に内蔵されている | 取り出したところ。取っ手が付いて持ちやすい形状 | 加湿トレイやフィルターも簡単に取り出すことができる |
■ペットのニオイが気にならない
自宅のリビングに設置したところ |
使い始めて約2カ月ほど経つが、日常生活の中で一番違いを感じたのは、リビングの朝の空気が違うということ。以前なら前の日の夕食のニオイやら、流しに残っていた食材のニオイなどが鼻に付いたが、それが全くなくなった。
特に違いを感じたのが、魚のニオイ。グリルで魚を焼くと、台所だけでなくリビングにもニオイが付いてしまっていたが、それがなくなった。焼いた時に出る魚の脂のニオイはかなりしつこく、換気扇を付けたり、窓を開けたりというぐらいでは取れないが、PLAZIONを使い始めてからは、1時間も経つとニオイが気にならなくなる。
ニオイが気にならないので、室内干しも気軽にできるようになったほか、室内干しが原因となる独特のニオイの発生も気にならなくなった。加湿運転と併せて起動させておくことで、室内の空気を快適に保つことができる。
さらに、PLAZIONのすごさを感じたのは、妹の犬の「ペコ」が遊びに来た時。ペコが遊びに来ると、独特の犬のニオイに加えて、おしっこなどのニオイが室内中に広がり、とてもじゃないが、同じ部屋で食事する気分にはならない。ペコは、毛が短いパグという犬種で、一般的な犬に比べると体臭がキツめ。パグが座ったソファや、パグと遊んでいた時に来ていた服にもニオイが移ってしまうほどだ。
最初は何これと、PLAZIONに興味津々だった | でも、家にくるとおしっこシートとがが匂うんです―― | 本体の横に置いたトイレシートを置いたところ、すごい勢いでニオイを感知し始めた |
それが、PLAZIONを付けていると、ほとんど気にならなかった。違いを感じたのは、パグが来てから3~4時間ほど経ったころ。妹がふと、「あれ、なんかニオイがしなくない?」と言ってきたのだ。言われてみると確かに、いつもよりニオイが少ない。部屋の隅にはすでに、ペコが用を足したペットシートなども設置されているのに、そのニオイを感じることもない。
PLAZIONのすごさは、脱臭スピードの速さにある。ニオイが気になるなと感じる間もなく、すぐにニオイを除去してくれるのだ。これは、空気を取り込むだけでなく、オゾンを放出することによる脱臭機能が有効なのだろう。
アンモニアのような強烈なニオイの場合、一度鼻に付くと、ニオイがいつまでも残ってしまうような感覚があるが、PLAZIONを使っているときはそれがなかった。ペットオーナーに人気がある理由もわかる。
■お手入れがホントに楽!
次にお手入れについて見ていこう。と、いっても本当に手間がかからない。基本的な手入れは、本体背面のプレフィルターのホコリを掃除機で取り除くこと、加湿トレイと加湿フィルターを水洗いすることだけだ。それぞれ1カ月に1回程度行なう。
1カ月使い続けたプレフィルター。表面には細かいホコリが付着している | 本体から外すと、さらにホコリの状態が分かりやすい | 掃除機で吸うとあっと言う間にきれいになる |
1カ月使い続けた加湿トレイとフィルター。見た目にはほとんど汚れが目立たない | 近づいてみるとフィルターにホコリが | トレイにも少しホコリが付いていた |
フィルターは簡単に取り外しできる | 後は水洗いするだけ | トレイ部分も水洗いする |
実はPLASIONのすごさはメンテナンス面にもあるのだ。定期的なメンテナンスを極力少なくしているのはもちろん、PLASIONのキモの技術である「金属酸化触媒ハニカムフィルター」は約24時間に1回、本体内のヒーターユニットで加熱され、脱臭性能が自動的に再生する仕様になっている。これにより、フィルターの交換や掃除は10年間不要。脱臭性能は本来の90%以上を維持し続けることができるという。脱臭技術にこだわるからこその、仕様だといえるだろう。
■快適な毎日のために
PLASIONを使い始めてからというもの、以前よりニオイに敏感になった。リビングがいつも無臭で快適な状態にあるので、外から帰った時の自分の服やバッグに付いているニオイを敏感に感じるようになったのだ。
最近では、部屋のニオイを取るための道具としては除菌スプレーや芳香剤なども人気を集めているようだが、いずれもニオイを消すためにほかのニオイを放出するというものが多い。PLAZIONの脱臭機能は、それとはまったく異なるもので、無味無臭の空気がフレッシュに味わえるといったイメージ。これまでの脱臭機能に満足できなかった人にぜひ、試していただきたい本格的な1台だ。
2010年11月22日 00:00