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富士通、4シリーズで省エネ基準値をクリアしたコンパクトなエアコン「nocria」


 富士通ゼネラルは、エアコン「nocria(ノクリア)」Z/Sシリーズ、およびその下位機種となるR/Jシリーズの全4シリーズを2月1日より発売する。価格はすべてオープンプライス。

 いずれの製品も、省エネ達成率を100%以上クリアしている。各タイプの詳細は以下の通り。

【nocria(ノクリア)シリーズ】
シリーズ名品番電源冷房時
適応床面積
APF省エネ
達成率
基準年店頭予想価格室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
発売日
Z
シリーズ
AS-Z28V単相100V10畳6.6100%2010
年度
21~29万円前後
(AS-Z40V2は
23万前後)
890
×
286
×
250mm
3月1日
AS-Z40V2単相200V14畳6.2103%
AS-Z50V216畳5.7130%2007
年度
AS-Z63V220畳5.0120%
AS-Z71V223畳4.5100%
S
シリーズ
AS-S22V単相100V6畳6.0103%2010
年度
15~19万円前後
(AS-S40V2は
19万前後)
728
×
286
×
250mm
2月1日
AS-S25V8畳
AS-S28V10畳
AS-S40V2単相200V14畳5.2106%

シリーズ名品番電源冷房時
適応床面積
APF省エネ
達成率
基準年店頭予想価格室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
発売日
R
シリーズ
AS-R22V単相100V6畳5.8100%2010
年度
12~16万円728
×
293
×
250mm
2月21日
AS-R25V8畳
AS-R28V10畳
AS-R40V14畳4.9
J
シリーズ
AS-J22V6畳5.89~13万円790
×
198
×
280mm
3月1日
AS-J25V8畳
AS-J28V10畳
AS-J40V14畳4.9


人感/温湿度センサーで省エネ運転。不在時には自動オフも――Z/Sシリーズ

Sシリーズ(上)、Zシリーズ(下)
 ZシリーズとSシリーズは、同社の家庭用エアコン「nocria」シリーズの上位機種に当たる製品。両製品とも昨年モデルに引き続いて室内機のコンパクトさを特徴としており、Zシリーズは高さが250mmと、カーテンレール上部への取り付けに対応(幅は890mm)。Sシリーズでは250×728mm(高さ×幅)という「業界最小サイズ」とすることで、袖壁や窓の上にも取り付けられる仕様となっている。

 本体のコンパクトさを達成するために、熱交換器には小型で高効率の「高密度マルチパス熱交換器」を引き続き採用。さらに運転中は、前面のパネルを開けて室内の空気を機内に大きく吸い込み、広い吹き出し口でスムーズに送風する「高効率送風機能」を継承。インバーターには、コンプレッサー内のモーターを高回転でコントロールする「高電圧ベクトルPAM」を備える(Sシリーズでは「ベクトルPAMインバーター」を使用)。

 この結果、Zシリーズ「AS-Z40V2」では、期間消費電力量は1,293kWとなり、同社では「業界トップクラスの省エネ性」としている。さらに、外気温2℃時における暖房能力は「業界No.1」という8.3kWで、外気温がマイナス15℃の状態でも、6.1kWの高い暖房能力を発揮するという。また、Sシリーズについても「業界トップクラスの省エネ性と高い暖房能力」を備えているという。


Zシリーズは高さ250mmというスリムな室内機が特徴。カーテンレールの上にも据え付けられる Sシリーズは幅728mm、高さ250mmという「業界最小サイズ」の室内機を採用。袖壁にも取り付けられる

冷媒を通す管が細いため、熱交換面積が拡大、効率がアップした「高密度マルチパス熱交換器」を採用する Zシリーズでは、高効率のインバーター「高電圧ベクトルPAM」を採用 Zシリーズ「AS-Z40V2」の省エネ性能は“業界トップクラス”。外気温2℃時における暖房能力も「業界No.1」だという

 2009年モデルでは、新たに「インテリジェント・エコ」機能が搭載された。これは、人感センサーと温湿度センサーによって、人の活動量と部屋の湿度を見張り、それに応じて運転をコントロールするというもの。例えば暖房時の場合は、人の活動量が多い時、または湿度が高いときは体感温度が高いと判断し、自動的に設定温度を低く抑制する。また冷房時には、人の活動量が少ない、または湿度が低い場合は、体感温度が低いとして、省エネ運転を行なう。これにより、センサー未使用時よりも暖房時で最大約30%、冷房時で最大約20%の省エネができるという。

 さらに、この人感センサーを用いた、人の不在時に自動でセーブ運転する「不在ECOモード」モードを搭載した。「不在ECOモード」は、電話や来客の応対などで部屋から出た場合に、10分後に自動で運転を控えめにするというもの。部屋に戻ると、自動的に運転を再開する。同社の調べによると、センサーを使用しない場合と比較すると、暖房時の消費電力量を307Whから172Whに、冷房時は208Whから165Whに減らすことができたという。

 この「不在ECOモード」によるセーブ運転後、3時間経っても人が部屋に入ってこない場合には、自動で運転を停止する「不在ECOオートオフ」モードへと移行する。これにより、外出時の電源の切り忘れによる無駄な運転を抑える狙いがある。

 なお、この「インテリジェント・エコ」モードと「不在ECO」モードは、2つ同時での運転、または個々での運転も可能。リモコン操作で、状況に応じて組み合わせられる。


新たに人感センサーと温湿度センサーによる「インテリジェント・エコ」機能を搭載した 室内機全面にある出っ張りがセンサー部 「インテリジェント・エコ」機能は、人の運動量と温度・湿度を検知し、体感温度に合わせた運転を行なうことで省エネを図る

10分間部屋を空けた場合は自動でパワーセーブ運転に移行する「不在ECO」モードも採用。さらに3時間人の存在を検知しなかった場合は、自動で電源がオフになる 「インテリジェント・エコ」と「不在ECO」モードは併用、単独使用も可能。操作はリモコンで行なう

「不在ECO」モードのデモ。人を検知しなくなると、自動で運転を抑制、またはストップする。なお動画は数30秒で反応する特別仕様となっている(無音)

 また、新たな気流制御技術として、ルーバーに「ワイドルーバー」を搭載した。これは従来のルーバーとは異なり滑らかに曲がるため、気流の抵抗が少なく、左右方向への気流の風量低下が抑えられるようになった。これにより、本体から左右に吹き出す気流の角度が、最大で170度に拡大。部屋のコーナーに設置しても、室内の広い範囲に温風が吹き出せるという。

 気流技術としてはこのほか、暖房時に足元へ暖房を送る「ビッグフラップ」、冷房時に部屋の上方へ冷気を飛ばし、体に直接冷気を当てない「パワーディフューザー」を、従来機種より引き続き搭載する。

 自動フィルター掃除機能は、付着したほこりをダストボックスに回収する「ホコリ回収方式」を採用。常にキレイなブラシで掃除するため、ブラシはクリーニングの度に自動で掃除される。なお、フィルターユニットはワンタッチで着脱が可能となっている。フィルターの手動での掃除は5年間不要だという。


ルーバーはグニャッと曲がる「ワイドルーバー」を採用。本体から吹き出す気流の角度が、最大で170度の方向まで設定できる 送風口の「ビッグフラップ」と「パワーディフューザー」により、冷気は天井へ、暖気は足元へ送る気流をコントロールする 自動フィルター掃除機能も搭載。なお、富士通ゼネラルはエアコンのフィルター自動掃除機能を7年前から採用している

フィルター掃除は5年間不要。ワンタッチで着脱できる

 富士通ゼネラル 経営執行役 空調機システム技術部長の川島秀司氏は、他社の省エネ型エアコンについて「省エネ性能をより大きくするため、熱交換器などの部品の大型化が進んでいる。そのため、据え付けスペースがますます少なくなり、せっかくの省エネエアコンが設置できないケースが増えている」と指摘。その上でZ/Sシリーズを「省エネ性が高く、しかもコンパクト」と評価した。


富士通ゼネラル 経営執行役 空調機システム技術部長 川島秀司 省エネ型のエアコンはサイズが大きい傾向があり、そのため設置性に乏しかったという

“標準型”で省エネ性能100%を達成――R/Jシリーズ

 2009年度はこのZ、Sシリーズに次ぐ普及価格帯のラインナップとして、Rシリーズ、Jシリーズを追加する。いずれも「高密度マルチパス熱交換器」を採用しており、R、Jともに、全品番で省エネ達成率100%を達成する。

 Rシリーズは、Sシリーズと同じ業界最小サイズの室内機を採用。自動フィルター掃除機能も採用する。一方のJシリーズは、奥行きが198mmの薄型サイズが特徴となっている。

 川島氏は、普及価格帯のR/Jシリーズにおいて省エネ基準値をクリアした理由を「各部屋で使われているすべてのエアコンの省エネ化」が目的であることを明らかにした。続けて「エアコンの電力使用量が増加しており、家庭の商品電力の約1/4を占めている。しかし、現在販売されている商品のうち、省エネ達成率が100%を超えている機種は、業界全体で2007年は34%、2008年見込みでは32%と、逆に下がっている。省エネ化が進んでいるのは、ワイドリビングなど高機能タイプが中心で、小部屋タイプなどに設置する“標準型”の省エネ化が進んでいない。そこで、業界に先駆けて全4シリーズで省エネ達成率をクリアした商品を投入する」と、下位機種における省エネ性能の向上の重要性を説明した。


Jシリーズ(写真下)は奥行きが198mmの薄型サイズとなる 家庭で使われている電気代の1/4がエアコンだったという 省エネ化が進んでいるのは一部の高級機種のみで、全体を見るとあまり普及していないデータがある



 富士通ゼネラル 経営執行役 国内営業推進部長の小須田常直氏は、2008年のエアコン業界全体の出荷台数を760万台と予測したが、2009年は、2008年の猛暑の反動、反動や景気の低迷から、それを下回る720万台と予測。その一方で「富士通ゼネラルでは社会のニーズに応えるべく、環境と家計に優しいラインナップを組んでいる。ボリュームゾーンでも省エネを推進し、省エネ推進のリーダーシップを取りたい。きっとマーケットで選択される商品になると確信している」と、強気な姿勢を見せた


高価格タイプのみが省エネ性能が高く、それ以外は省エネ基準をクリアできない商品が多かった 富士通ゼネラルは、下位機種にも省エネ達成率をクリアする製品を投入する予定。2009年には全体の約75%の商品のうち、省エネ達成率100%を達成した機種をさらに導入する予定だ 富士通ゼネラル 経営執行役 国内営業推進部長 小須田常直氏




URL
  株式会社富士通ゼネラル
  http://www.fujitsu-general.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.fujitsu-general.com/jp/news/2009/01/08-N06-35/index.html
  エアコン関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm

関連記事
第8回:省エネ達成率とは(2008/07/02)
第7回:インバーターエアコンとは(2008/06/25)
富士通ゼネラル、高さ25cmの「業界最小」エアコン(2008/02/04)


( 本誌:正藤 慶一 )
2009/01/15 00:01

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