シャープ、変換効率世界最高の太陽電池セル

世界最高変換効率35.8%を達成した化合物3接合型太陽電池

 シャープは、同社の太陽電池セルの変換効率が世界最高の35.8%を達成したと発表した。今回、変換効率35.8%の世界最高変換効率を達成したのは、同社が独自に研究・開発を進めてきた「化合物3接合型太陽電池」。

 化合物3接合型太陽電池とは、現在主流となっているシリコンを材料とした太陽電池セルとは異なり、インジウムやガリウムなどの化合物を材料とした化合物太陽電池の一種。化合物太陽電池は光吸収層を持つ変換効率の高い太陽電池で、これまでは主に人工衛星に使用されていたという。

 同社では、更なる変換効率向上のため光吸収層を3層に重ねた化合物3接続型太陽電池の研究・開発を進めてきた。研究過程で重視したのは、太陽光エネルギーを最大限利用できる材料構成。利用効率を高めるため、従来の製法とは異なる構造を新たに構築し、利用効率の高いInGaAs(インジウムガス)を3層の一番下となるボトム層に採用した。これにより、無駄となる電流を最小限に抑え、同社従来製品で31.5%だった変換効率を35.8%まで高めることができたという。

今回新たに採用された3層構造

 なお、今回の研究・開発は独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合研究所の「革新的太陽光発電技術研究開発」のテーマの一環として取り組んだものとなる。

 同社では、「今回の開発成果を生かして太陽電池の更なる高効率化を進める」としている。





(阿部 夏子)

2009年10月22日 14:37