パナソニック、節水・省エネの縦型洗濯機を中国、アジアに展開

 

中国向けのインバーター縦型洗濯乾燥機(右)と、アジア向けインバーターたて型洗濯機
 パナソニックは、新節水技術「エコウォッシュシステム」を搭載した洗濯機を、新たに海外展開することを発表した。今年夏から中国・アジア地域に向けて発売する。

 今回、海外展開するのは、中国市場向けに展開するインバーター縦型選択乾燥機と、アジア市場向けに展開するインバーターたて型洗濯機。それぞれ中国・杭州のパナソニックHA洗濯機杭州、タイのパナソニックHAタイから供給する。

パナソニック ホームアプライアンス社ランドリービジネスユニット・菊池一郎ビジネスユニット長

 「日本の洗練されたデザインとともに、節水という環境コア技術を搭載した製品を新たに海外展開することで、中国、アジアにおける存在感を高めていく」(パナソニック ホームアプライアンス社ランドリービジネスユニット・菊池一郎ビジネスユニット長)としている。

 国内市場向けには、すでに4月10日から「エコウォッシュシステム」を搭載した、縦型洗濯乾燥機「NA-FR80S2」、「NA-FR70S2」を発売することを明らかにしている。今回海外展開するのは、同製品をベースにしたモデルとなる。

 また、同社では、ななめドラム洗濯機3機種を、欧州市場でも販売を開始すると発表。3月からはベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、スペイン、英国の7か国で発売。4月には、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの3か国で発売するなど、白物家電事業の海外展開を本格化させている。

 世界市場は、ドラム式を主体とする欧州、ロシア市場、たて型を主体とする日本、中国、アジア市場、ドラム式と縦型の混在地域となる中近東というように大きく分類される。

 パナソニックでは、それぞれの地域に向けて需要に合わせた製品展開を進める一方、ドラム式洗濯機ではななめドラム、インバーター制御を、縦型洗濯機では循環ジェットシャワー、ダンシングかくはん水流、インバーター制御などを独自の環境技術として搭載し、他社製品との差別化を図っていく考えだ。

 

洗濯機のタイプ別市場は地域によって大きく分かれる
パナソニックでは、それぞれの地域の需要に合わせた製品展開を進める更に地域のニーズを反映することで他製品との差別化を図る

 「縦型洗濯機では、節水性に対する不満がドラム式に比べて多い傾向がある。一方で、縦型洗濯機が主流となる地域においても、水不足や電力不足が問題となったり、節水規制や省エネ政策が行なわれるという状況にある。縦型洗濯機にも、節水技術、省エネ技術といった当社独自の環境コア技術を生かすことで強みを発揮する」(パナソニック ホームアプライアンス社ランドリービジネスユニット・菊池一郎ビジネスユニット長)とした。

 中国向けのインバーター縦型洗濯乾燥機では、洗濯8kg、乾燥4.5kgの容量とし、縦型洗濯機では取得が難しいといわれる中国国家省エネレベル1等級の取得を目指すほか、高温多湿の梅雨時に便利なヒーター乾燥機能の搭載、共働きが多い中国の環境に合わせて夜でも洗濯ができるように、DMMインバーターによる低騒音性の実現、上質おうちクリーニングによる節約を可能にしている。

 「中国で使われている洗剤は泡立ちがいいため、泡を減らす消泡シーケンスを搭載しているのも特徴。一般的な洗濯機が2,000元(約29,280円)約以下で販売されているが、当社の製品は、市場想定価格で5,000元(約73,200円)程度になる。中国の富裕層を狙った中・高機能製品となる」としている。

 

中国向けのインバーター縦型洗濯乾燥機中国向けのインバーター縦型洗濯乾燥機のパネルは中国語で表記

 

  また、アジア向けのインバーター縦型洗濯機では、洗濯8kgおよび9kgの2タイプを用意。エコウォッシュシステムを搭載することで、高洗浄力を維持しながら、従来機種に比べて、4割を超える大幅な節水・省エネを実現するとともに、中国向け同様に、DMMインバーターによる低騒音化を実現し、上質おうちクリーニングによる節約ができるという。

 

アジア向けインバーター縦型洗濯機中国向けのインバーター縦型洗濯乾燥機

 

 「アジア市場では大容量化が進展しており、今年秋をめどに、12kgおよび14kgの大容量モデルを投入していく。これまでは、本質性能である洗浄力と、環境性能である省エネ・節水は、二律背反するものであったが、パナソニックは、それを両立することに成功した。洗浄力では少ない水で、きめ細かく動かすことで、衣類をもみ洗いでき、省エネにつなげることができる。また、すすぎ性能では、循環水で衣類をすすぐことで節水が可能になる」という。

 同社では、グローバルにおける洗濯機事業の成長率を、「前年比2桁増を目指す。海外での成長を軸に、少なくとも前年比5%以上の成長を達成する」とした。

 なお、国内向けのエコウォッシュ搭載洗濯機が、4月10日の発売を前に、受注状況が好調であるとして、縦型洗濯機は、4月7日時点で、前年比223%と好調に推移していることを明らかにした。

 

エコウォッシュシステム洗濯槽国内向けの縦型洗濯機の受注状況は好評だという

 

 日本の市場においては、依然として約83%が縦型洗濯機となっており、パナソニックはドラム式では先行するものの、縦型製品では製品強化が求められていた。明日発売の新製品によって、この分野での巻き返しを図る考えだ。

 全自動洗濯機の日本国内の総需要は2008年度で約420万台となっており、インバーターを搭載した省エネタイプの洗濯機および洗濯乾燥機は約5割を占めている。

 





(本誌:大河原 克行)

2009年4月9日 16:38