パナソニックが3月から欧州市場向けに投入する冷凍冷蔵庫「NR-B30FX1」と、洗濯機「NA-16VX1」を直接見る機会を得た。日本では市販されることはない商品ではあるが、同社の独自機能と、欧州市場ならではの仕様が搭載されている。
欧州市場で発売される前に、新製品を写真で紹介しよう。
● 主流の2ドア、ワインラックなど、欧州が好むデザイン――冷蔵庫
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冷蔵庫「NR-B30FX1」。高さは1874mmと高いが、2mを超える冷蔵庫がある欧州では標準サイズ
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冷蔵庫は、中国向けに商品化したものがベースモデルとなる。しかし、幅60cmという欧州の標準的サイズを意識し、また高さはそれほど気にされないという点から、600×637×1,874mm(幅×奥行き×高さ)と、細く長いデザインとなっている。
欧州向けならではの工夫としては、欧州の冷蔵庫では標準となっている2ドアタイプとし、冷蔵室内にワインラックを標準で用意している。さらに、欧州の家庭で人気が高いステンレスカラーを上位モデルに採用し、下位モデルにもやはり人気があるアーティックホワイトを使用している。
冷凍庫内に目を向けると、欧州人が好む引き出し方式を採用。さらにこれを3つに分離して、収納しやすいようにしている。これもやはり欧州の生活様式を意識したものだと、同社では説明する。
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上部は冷蔵室となる。冷蔵室の容量は179L。下側に鮮度を保つ「ビタミンセーフ野菜室」がある
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ワインボトル専用のラックを冷蔵室に配置。これも欧州ならではの同社初の仕様
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空気循環システム(写真中央のプロペラ部)によって、庫内の温度を均一化
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ビタミンセーフ野菜室では、湿度を95%に保ち、食品を新鮮に保持
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ビタミンセーフ野菜室の容量は48L
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青と緑のLEDが食材の鮮度維持に貢献している
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下半分は冷凍室部分。引き出しが3つ用意されている。容量は合計で82L
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真空断熱材「U-Vacua」を利用することで、庫内スペースを広げることに成功。庫内の容量は309L
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操作パネルや液晶はドア中央に配置されている。ボタンは8つ
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ホワイト液晶で冷蔵室などの温度状況を表示する
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同社が得意とするインバータ技術をアピールするロゴ。ドア前面に描かれている
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ハンドルをつけずに、どの位置からも開けられるデザインとした
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ドアが開かない方向も同じシンメトリーとなるデザインを採用している
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背面もすっきりとしたデザインになっている
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● 10度だけ傾いた“ななめドラム”。乾燥機能はないが運転モードは豊富――洗濯機
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洗濯機「NA-16VX1」。容量は7kgで、カラーは白のみ
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一方、洗濯機でも、キッチンへのビルトインとしての利用が多いことを想定し、600×600×850mm(同)という、欧州の洗濯機の規格に準拠した形で商品化している。洗濯機は独立設置型の市場規模が小さいことから、日本やアジアで展開しているような、傾斜角が30度前後のななめドラム式洗濯機の商品化を、今回は見送っている。
外見は水平ドラム型洗濯機に見えるが、実は中身を10度傾けた“ななめドラム仕様”となっている。これにより、洗濯物の出し入れをしやすくしているのがパナソニックの特徴。言い換えれば、奥行き60cmというなかでは10度の傾斜角が限界であったともいえよう。
さらに、欧州では数多くのモードが欲しいという要求が多いことから、12個の運転モードを搭載。利用者の洗濯方法に合わせて選べるようにした。60分で仕上げる「Quick60」や、わずか15分で洗濯する「Rapid15」という短時間洗濯機能(同社のドラム式洗濯機では初)を設けているが、これは欧州で使用されている洗濯機では、お湯を沸かしてから洗濯するため2時間以上かかることが多く、それを解決してほしいという要求にあわせたものだという。もちろんRapid15では、汚れ落ちなどの結果に差が出るのは明らかだが、これも欧州向け商品ならではの特徴といえる。
なお今回は、洗濯機だけの単独商品として投入しており、日本におけるななめドラムの標準機能となっている乾燥機能は搭載していない。欧州市場では、乾燥機は別に用意している例が多く、一台で洗濯機と乾燥機を網羅する商品が市場に少ないことで、今回は見送った模様だ。また、欧州は乾燥した地域が多く、乾燥機そのものの需要が少ないという事情も影響している。だが、乾燥機能はパナソニックならではの付加価値機能になるともいえ、今後の商品ラインアップの拡大のなかで、乾燥機能を搭載した商品も登場してくることになるだろう。
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最上位モデルのVX1は、リング部分がチタニウムシルバーとなっている
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前面のガラス部にはやはりインバーターの文字が
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ワンタッチで開閉ができるようになっている
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前面左上部にPanasonicのロゴが入る
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外見は水平ドラム式洗濯機だが、中は10度のななめドラムとなっている
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上部中央に配置されたボタン。わかりやすいようアイコンが描かれている
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ホワイトバックライトの液晶部。選択しているモードや洗濯終了時間などを表示する
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欧州では多くのモードを搭載するのは必須条件。全12モードを用意した
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たった15分で仕上げる「Rapid15」は同社ドラム式洗濯機では初めて
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背面部分。キッチンにビルトインすることを前提としている
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横から見たところ。奥行き60cmという仕様は欧州での標準。そのためななめの角度も10度になった
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なお、欧州市場向けの冷蔵庫は中国・無錫で、洗濯機は中国・杭州でそれぞれ生産される。
グローバル戦略のなかで、部品の共通化やブラックボックス技術の流用などを進めながら、地域の特性にあわせた商品づくりを進めるというのがパナソニックの姿勢だ。
今年4月にドイツに開設する欧州HA生活研究センターでは、欧州市場にあわせた商品企画支援のための調査、分析活動が行われることになり、ここを起点とした欧州市場に根ざした商品の開発、ひいては、それぞれの国の状況にあわせた商品が作られることになるだろう。
現時点では、次の商品ラインアップについては明らかにしていないが、今回の冷蔵庫2機種、洗濯機3機種の投入を皮切りに、品揃えが拡大していくことになるのは間違いない。
今回の欧州市場向け新商品を見る限り、まずは奇をてらったものよりも、欧州市場の標準的な形で参入するという慎重さが伺える。そこにインバーターやセンサー、除菌といった、パナソニックが持つ白物家電の基幹となるブラックボックス技術を採用してみせたわけだ。
だが、パナソニックが持つ技術は、まだまだ多い。デザイン面でも、これまでの欧州市場にはないような商品の投入も可能だろう。むしろ、第2弾、第3弾となるこれからのラインアップ強化にこそ、パナソニックならではの技術やデザインが結集されると見てよさそうだ。
■URL
パナソニック
http://panasonic.co.jp/
冷蔵庫 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/refrige.htm
洗濯機 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/washer.htm
( 大河原 克行 )
2009/02/25 00:03
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