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パナと花王が開発した「汚れはがし」とは 予洗いナシの新提案

パナソニックと花王が「汚れはがしコース」を共同開発。専用剤も展開する

パナソニックが10月に発売する「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129D/NA-LX127D/NA-LX125D」は、花王と共同開発した「汚れはがしコース」を新搭載。専用剤「極ラク汚れはがし」を最初に投入することで、人の手による予洗いやつけ置き洗いなしでも、襟の皮脂汚れなどがラクに落とせるという。

パナソニックの調査では、半数以上の人が「エリ・袖などの皮脂汚れ」や「皮脂や加齢臭などの人からついたニオイ」のために予洗いをしていることが明らかに。新コースの搭載で、洗濯におけるストレスを解消することを目指した。

半数以上の人が洗濯時に予洗いしている

皮脂汚れや加齢臭も「引きはがす」

パナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129D」などは、液体洗剤と柔軟剤に加え、おしゃれ着洗剤や酸素系液体漂白剤も自動で投入される「トリプル自動投入」を採用している。新「汚れはがしコース」はこの3つめの自動投入タンクを活用する。

3つめのタンクに専用剤を入れる

汚れはがしコースでは液体洗剤を投入する前に、専用剤「極ラク汚れはがし」を投入。汚れを落としやすい状態へ変質させることで、後で投入する洗剤が汚れを引きはがしやすくする。専用剤のパフォーマンスを最大限に発揮するため、投入タイミングや機械の動かし方をカスタマイズし、皮脂汚れなどに対する洗浄力を飛躍的に向上させたという。

汚れはがしは、シャツの襟や袖に蓄積した皮脂汚れのほか、食べ物による汚れ、皮脂臭や加齢臭にも効果を発揮。なお、汚れはがしを行なわない「おまかせコース」などと比べて運転時間は30分ほど増加する。

シャツの襟などは、着た後で毎回洗濯していても、いつの間にか汚れがたまっていて、気づいたときには普通に洗っても落ちないシミになってしまうことがある。そうした“もう捨てるしかなさそう”な状態にも、汚れはがしで効果が期待できるのがメリット。

汚れはがしの仕組み。汚れを落としやすい状態へ変質させることで、洗剤が汚れを引きはがしやすくする
洗浄力が高まり、予洗いやつけ置き洗いが不要になるという

専用剤の極ラク汚れはがしに対応させるため、洗濯機部品の一部材料を変更していることから、パナソニックの一部機種のみ(NA-LX129D/NA-LX127D/NA-LX125D)に対応。そのほかの洗濯機や手洗いでは使用できない。専用剤の販売はパナソニック、花王それぞれで行ない、家電量販店などでも取り扱われる。また、対象機種には300mlのお試し用が付属。

専用剤の極ラク汚れはがし
5回着用・洗濯したシャツを中央で裁断し、右側を汚れはがしコースで洗濯。襟の黄ばみが軽減されている

開発期間は約3年半 「洗剤と洗濯機は互いに必要不可欠」

パナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 衣類ケアBU 商品企画の中込光輝さんは「衣類を洗浄するには、水の力、洗剤による科学の力、洗濯機による機械の力、この3つの力が必要になります。今回は洗濯用洗剤でナンバーワンの花王様とタッグを組み、つけ置き洗い、予洗いの悩みを解決する新たな価値を提案いたします」とコメント。

また、洗濯機は洗剤がないと成り立たず、洗剤もまた、基本的には洗濯機とともに使用することから、洗剤と洗濯機を「互いに必要不可欠な存在」とし、洗剤メーカーと洗濯機メーカーが共同開発することの重要性を語った。

パナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 衣類ケアBU 商品企画の中込光輝さん
洗剤メーカーと洗濯機メーカーがタッグを組んで、洗濯の悩みを解決

開発期間は3年半。コロナ禍には両社が集まって試験することが難しく、それぞれ単独で行なうことも多々あったという。そうしたなかでも試験条件は揃える必要があるため、使用する水を送ったり、衣類を送り合ったりしたことが大変だったそうだ。

花王 H&LC FC商品事業開発センターの村田大也さんは「洗剤の開発は、例えば洗剤を計量してもらう必要があることなど、さまざまな制約の中で行なわれます。それが、パナソニックさんのトリプル自動投入のお話を聞いて、計量などの制約がなくなることで可能性が広がると感じました」と開発当初を振り返りつつ、共同開発した極ラク汚れはがしを用いた汚れはがしコースは「洗濯の新しいスタンダードになるという風に思っています」とコメントしている。

花王 H&LC FC商品事業開発センターの村田大也さん

パナソニックによると、洗濯機全体の出荷台数は減少傾向にあるが、ドラム式洗濯機の需要は伸びており、2024年度は構成比25%、台数では100万台に到達する見込みだという。同社は衣類を清潔にする進化、新たな生活スタイルへの対応の2軸で洗濯機市場の活性化を目指すとしている。

ドラム式の需要は伸びている