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ダイソン初の水拭き掃除機、これまでと何が違う? 体験した

ダイソン初の水拭き掃除機「Dyson WashG1」

ダイソンから登場した初の水拭きクリーナー「Dyson WashG1(ダイソン ウォッシュ ジーワン)」。9月20日から公式サイトで販売開始され、10月7日から家電量販店などでも販売される。1台で水拭きと掃除機がけの両方ができるという製品だ。

水拭きできるスティック掃除機は日本でも2023年ごろから数多く登場している中、Dyson WashG1は集めたゴミを水分と固形物に分けて捨てられるのが特徴的で、掃除後の手入れのしやすさに配慮している。

ダイソンの水拭きできる掃除機といえば「Dyson V12s Detect Slim Submarine(サブマリン)」も2023年に登場したが、こちらは1台の掃除機のヘッドを付け替えることで、吸引する掃除機が水拭き掃除機に変身するという製品だ。このサブマリンは、先に掃除機がけでゴミを吸った後の“仕上げ拭き”に使うことを想定していたが、新しいWashG1はゴミを集めつつ水拭きも同時にできるのが大きな違い。

水拭きと掃除機がけを一度に
壁にたてかけなくても自立する

また、水拭きの水量も用途や汚れに応じて選べることから、よりしっかりした水拭きがラクに行なえる製品といえる。直販価格は84,700円で、吸引する掃除機を使わなくても、これ1台で日常の汚れであればカバーできるように設計したという。実際のかけ心地なども試してみた。

ゴミを分けて捨てられるメリット

前述した通り、水拭き掃除機としては後発となるWashG1が、従来製品と大きく異なるのがゴミの捨て方。

多くの従来モデルは、食べこぼしなどの固形物と汚れた水の両方をまとめて汚水タンクに収めるため、掃除はラクだがそれを捨てる場合に「どこへどう捨てるか?」がメーカーごとに意見が分かれていた。使う人にとっても、そのまま流しなどに捨てるわけにはいかないし、手持ちのフィルター(三角コーナーなど)を通して捨てるにも、それなりの手間がかかる。使っていくうちに、汚水タンクに残った小さな固形物を洗う手間も発生するだろう。

そこで、固形物と汚水の分別作業を人の手を介さず行なえるのがWashG1のポイント。集めたゴミのうち、固形物はヘッド部にあるトレイにたまり、アルミニウムプレートがローラーから汚水をかきとって、その汚水だけが上のタンクへたまっていく仕組みを採用した。その後は、汚水はキッチンなどの流しへ、固形物は生ゴミの箱へというように分けて捨てられる。

汚水と固形のゴミを分離
上の汚水タンクから、下の浄水タンクへ
固形ゴミがたまるトレイ
WashG1の捨て方の例。今回は同じゴミ箱を使っているが、違う場所に捨てられるのがメリット)

肝心の掃除機としての性能は?

順番が後になってしまったが、やはり掃除機で大事なのはどれだけキレイにできるかということ。今回は、エスプレッソコーヒーをこぼして一定時間乾かした後、スモークチップやネコ砂、おかきのくずをまいたフローリングをWashG1で掃除する。

WashG1は大きなローラーブラシが2本あり、それぞれ逆回転して中央側にゴミを集める。さらに2本の細いブラシバーが内側にあって、ローラーブラシに付いた大きなゴミや髪の毛などをかきとる。このブラシバーと、汚水をかきとるアルミ製プレートが回転のたびにローラーから汚れを取るため、常に浄水がローラーへ供給され、ヘッドを前後に動かしても汚水が外へ広がらずに効率よく集められる形状だ。

WashG1が汚れをとる仕組み
ヘッド内部のローラーの構成
ヘッドを横からみたところ

そうした構造の部分から、一般的なスティック掃除機に比べてヘッドが大きく、全体の重さも4.9kgとそれなりにある。片手で持ち上げるとなかなかの重量感だが、掃除機がけをしている間は、特に引っ掛かりがあるわけではないので気になる重さではなかった。

この重さは、実は掃除のしやすさにもつながっているという。電気を使わないフローリングワイパーを使う人も多いと思うが、湿った汚れなら軽く拭き取れるものの、少し乾いてしまったりこびりついた汚れは、押し付けるように力を入れて拭く必要が出てくる。

一方でWashG1はローラーが回転する力に加えて重みもあることから、今回のエスプレッソのような液体が乾いた後も特に押さえつけるような力を必要とせずスイスイと動かすうちに汚れが取れていた。

Dyson WashG1での掃除

なお、WashG1は乾ぶきには対応しないため、固形ゴミが多かったり、畳/カーペット/無垢材のような水拭きできない部屋がある家は、従来の吸引式掃除機と併用することになるかもしれない。

畳やカーペット、無垢材など水拭きできない場所には使用できない

もし1台で水拭きと吸引の両方をしたい場合は、ダイソンなら既存モデルDyson V12s Detect Slim Submarineを使えばヘッドの付け替えで対応が可能だ。一方でWashG1は、水拭きの水量を変えるなどより丁寧な拭き掃除を可能にするため、フローリング中心の家ではかなり役立つだろう。

なお、水拭き掃除の後は「セルフクリーニング」が必要。スタンドにのせてボタンを押すと、ローラーを浄水でキレイに洗うもので、これは基本的に掃除の後は毎回することになる。手を汚さずメンテナンスができるため、使いっぱなしの雑巾のようなイヤなニオイを出さないためにもこの作業はした方がよさそうだ。

水拭きのあとはセルフクリーニングを実施
WashG1と既存モデルV12s Detect Slim Submarineの違い
WashG1の主なターゲット層や解決する悩み

家庭によっては、掃除機をつかわなくてもフローリングワイパーだけで十分だったり、掃除機とワイパーを使い分けている人もいるだろう。今回のWashG1は、主にフローリングが多い家で、ゴミがそこまで多くないけれど、フローリングワイパーでは物足りない場合があった人などに、1台だけでもある程度の掃除をカバーできる製品といえそうだ。