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シャープのプラズマクラスターを浴びた人は能力が向上? 脳への影響を検証
2023年5月30日 14:15
シャープは30日、作業中のヒトに対してプラズマクラスターイオンを照射することで、脳活性が起きる可能性があることを世界で初めて確認したと発表。この結果は九州産業大学人間科学部 萩原悟一准教授との共同研究によるもので、ヒトの作業能力が向上する効果のメカニズムを脳機能計測により検証したという。
同社は従来から、脳波測定を用いた研究により、認知機能テストの回答時間短縮、運動トレーニング量やeスポーツスコアの向上など、ヒトの作業能力向上に関係していることを実証してきた。一例として、認知機能テストでは数字や文字を結ぶ「TMT認知テスト」において、プラズマクラスターイオンを照射すると、照射しない場合と比べて回答時間が約5秒短縮されたという。今回の検証は、これまで実証された効果に対するメカニズムに迫るものとなる。
検証では従来の結果から、プラズマクラスター技術が脳波だけでなく集中や認知と深く関係する脳の前頭前野の血流量(脳血流量)にも影響を与えているとの考えに基づき、脳血流の変化を測定する装置を用い、作業中のヒトに対して、プラズマクラスターイオンを照射しない場合(送風のみ)とプラズマクラスターイオンを照射した場合で脳血流の変化量を比較。
その結果、プラズマクラスターイオンを照射した場合、脳活性が起きる際に見られる脳血流の変化が確認されたことから、ヒトの作業能力向上効果メカニズムにプラズマクラスター技術による脳活性が関係している可能性が示唆されたという。
この結果について九州産業大学 萩原悟一准教授は「これまで正イオンあるいは負イオン単独での研究は行なわれてきたが、同時に放出された際の研究は進んでいなかった。脳活性によりヒトの思考力・行動力が上がり、スポーツや学習、日常業務などさまざまな作業能力が向上する可能性が考えられるため、今後もさらなるプラズマクラスター技術の応用に期待したい」とコメントしている。
プラズマクラスターイオンが脳血流に与える影響検証の試験概要は以下の通り。
試験空間は九州産業大学の実験室で、広さは7.8×3.4×2.9m(幅×奥行き×高さ)。被験者は19~22歳の男女24名。
試験方法は、被験者にNIRS脳計測装置を装着し、「a.プラズマクラスターイオンなし(送風のみ)」と「b.プラズマクラスターイオンあり(正と負のイオンの同時照射)」の各条件下で塗り絵を実施し、所定の時間経過後に試験装置の運転を停止。各条件における脳血流の変化を確認、比較した。なお、プラズマクラスターイオン濃度は被験者位置で約100,000個/cm3。
試験の結果、脳活性が起きる際に見られるとされる、脳に酸素を渡す酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)が増加し、かつ酸素を渡した後の脱酸素化ヘモグロビン(Deoxy-Hb)が減少する脳血流の変化を、プラズマクラスターイオンありの条件において確認。脳活性が起きている可能性が示唆されたと結論づけている。