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糖質カット炊飯器、実際はカット率が少ない? 4機種が景品表示法で問題のおそれ

「糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際」として国民生活センターがテスト結果を発表

独立行政法人 国民生活センターは15日、糖質カット炊飯器の糖質低減率についてテストした結果を発表。そのうち4機種が、広告などでうたわれている糖質の低減率を満たさないことが明らかになった。

同センターには糖質カット炊飯器について、2017年度以降の約6年間に250件の相談が寄せられ、「糖質カット炊飯器を使用しているが血糖値に変化がない」「説明書どおりに炊いたが、お粥だった」などの相談事例があるという。

テストでは糖質カットモードで炊飯したごはんの方が通常モードで炊飯したものより、同一重量当たりの糖質の量は少なかったものの、表示されていた最大の割合には大きく及ばなかったとする。

水分が増えて糖質が減ったように見える

糖質カット炊飯器とは、2種類の内釜を重ね、穴があいた上の釜から糖質を含んだ煮汁を下の釜に排出するなどして、通常のごはんよりも糖質を減らして炊飯できるというもの。炊飯構造はさまざまだが、今回テストしたすべての機種で、通常炊飯よりも水を多く(通常の約1.4~3.1倍)加えるようになっていた。

テスト対象の炊飯器は、AINX「糖質カット炊飯器 AX-RC3」(No.1)、アイリスオーヤマ「IHジャー炊飯器(ヘルシーサポート炊飯器) 5.5合 RC-IJH50」(No.2)、ウィナーズ「ヘルシーライスクッカー RHR-1」(No.3)、ソウイジャパン「糖質カット炊飯器 SY-138」(No.4)、forty-four「LOCABO JM-C20E」(No.5)、ベルソス「糖質カット炊飯器 VS-HI01BE」(No.6)の計6機種。このうちベルソスについてはWebサイトがないうえ、取扱説明書などにも具体的な糖質低減率に関する記載がなかったため、ほかの5機種を中心に紹介する。

テスト対象の6機種。左上からAINX、アイリスオーヤマ、ウィナーズ。左下からソウイジャパン、forty-four、ベルソス

糖質低減率について、各社はWebサイトで次のようにうたっている。AINX「糖質(デンプン)を最大で33%カット」、アイリスオーヤマ「糖質約20%抑制」、ウィナーズ「糖質を最大約1/3カット」、ソウイジャパン「糖質最大54%OFF」、forty-four「糖質最大45%カット」。このなかで、アイリスオーヤマ以外の4機種は、うたわれている糖質の低減率を満たさないと考えられ、景品表示法上の問題となるおそれがあると指摘している。

No.2のアイリスオーヤマ以外、うたわれている糖質低減率を満たしていない

また、すべての機種で「通常炊飯」より「糖質カット炊飯」のごはんの方が柔らかく感じられ、「糖質カット炊飯」のごはんの方が100gあたりの水分が約1~2割多かった。さらに、同量の米から炊いたごはんでは「通常炊飯」よりも「糖質カット炊飯」のごはんの方が、重量が約1~3割重かったものの、含まれる糖質(でん粉)の総量に大きな差は見られなかったという。

2021年の香港消費者委員会の調査結果においても「同じ量の米から炊いたごはん全量に含まれる糖質の総量に有意な差はなく、最も高い(糖質)低減率を示したごはんの水分量は通常炊飯のごはんの約32%増で、その結果100g当たりの糖質量が低減したようにみえるだけ」とされている。

通常炊飯時よりも水分が多く炊き上がる
米の量が同じ場合、糖質の総量はほとんど変わらない

国民生活センターはこのほか、5機種すべてのWebサイトに、「ダイエット」「糖質制限」などの健健康保持増進などに効果があると受け取れる記載がみられたことについて、消費者の誤認を招くおそれがあり、景品表示法上問題となる可能性があると指摘する。

同センターは、同量の米から炊いたごはんに含まれる糖質の総量は通常の炊飯の場合と大きな差が見られないことから、消費者が糖質カット炊飯器を使用する際は、食べるごはんの量に注意するようにアドバイスしている。また「糖質最大●●%カット」など、最大の低減率を記載している製品に関しては、そのように炊飯できる条件について事業者に確認するよう案内している。