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アイリスオーヤマ決算、マスクや巣ごもり需要で過去最高の売上高。TV、電気圧力鍋など好調

アイリスオーヤマの大山晃弘社長(7日のオンライン会見より)

アイリスオーヤマは7日、同社を含むアイリスグループ29社の2020年度決算の速報値を発表した。グループ全体の売上高は前年比138%で過去最高の6,900億円。経常利益は前年比218%の621億円で、増収増益となった。

アイリスオーヤマ単体でも過去最高となる売上高2,185億円(前年比136%)、経常利益は270億円(同235%)。増収増益の要因として、新型コロナウイルス感染対策の需要によるマスクやサーキュレーター、巣ごもり需要による液晶テレビや電気圧力鍋などの売上増を挙げている。家電事業の売上高は前年比132%の1,250億円で、全体の57%を占める。

2020年決算速報
新型コロナ関連で売上を伸ばした製品など

アイリスオーヤマのマスク累計生産数は、2020年で約26億枚。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大や長期化に伴い、中国の大連工場と蘇州工場の2拠点に加え、宮城県角田工場へマスク生産設備を導入。日本国内で2億3千万枚/月を供給できる体制を構築した。

さらに、医療機関で不足している医療用N95マスクと、現在も品薄状態が続いているという除菌ウェットティッシュの生産設備も同工場内に導入し、今秋から稼働する予定。そのほか、アメリカ、フランス、韓国の各工場にもマスク生産設備を導入し、グローバルで約5億枚/月の供給体制を備えている。

国内では、マスクやサーキュレーターのほか、巣ごもり需要による液晶テレビや電気圧力鍋などの家電の売上が伸長。また、テレワーク需要によるデスクやチェア、ディスプレイモニターなども好調だった。

BtoB事業では、AIサーマルカメラ、デスクスクリーンなどを発売。新規参入した「IoTソリューション事業」ではAIカメラ、AI除菌清掃ロボット製品を展開している。

グループで'22年に売上高1兆円へ。震災10年の復興事業も

2021年度の目標は、グループ売上高8,500億円(前年比123%)、アイリスオーヤマ単体売上高は2,800億円(同128%)。

家電事業の売上高は、2021年に1,650億円、2022年に2,150億円を計画している。今後の主な取り組みとして、巣ごもり需要なども見込んでテレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫といった大型家電の新製品開発をさらに強化する。

大型家電を強化

また、製品販売だけでなく、ネット販売などの“施工支援”も掲げている。購入した製品を、玄関渡しではなく家の中に設置するまでのサービスを、施工会社と契約して提供する仕組みを構築する予定。

食品分野においては、富士小山工場での飲料水事業を2021年に本格稼働する。また、角田工場のパックごはん設備や、つくば工場第2倉庫の増設などに投資。2022年のグループ売上高1兆円に向けた供給体制の構築を図る。

東日本大震災から今年で10年となることに際し、工場などが被災した同社は、今も続く復興支援について紹介。地元の農業支援や、福島県の地元農業者と連携して収穫した米を「南相馬パックごはん」として販売していること、新たな工場で雇用を創出するといった取り組みを進める。

震災10年の復興支援も