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業界初、災害警報発令時に自動で湯を貯めるエコキュート。スマホ遠隔操作対応のパナソニック新機種

パナソニックのエコキュート新製品発表会

パナソニック ライフソリューションズ社は、家庭用ヒートポンプ給湯器エコキュートの新製品発表会を開催。10月10日に発売する全46機種を紹介した。

大型台風や集中豪雨など、頻発する自然災害により、ライフラインがストップする事態がたびたび発生している。そうした緊急事態への備えとして、大容量のタンクにお湯を保温して貯めておくことができ、必要なときに使用できるエコキュートが注目を集めている。パナソニックは、災害時に備える機能を強化するとともに、スマホとの連携機能などを強化したエコキュートの新ラインナップを発売する。

今回の46機種すべてに共通する特徴は3つ。

  1. 災害警報・注意報発令中に自動で全量を沸き上げる「エマージェンシー沸き上げ」
  2. 天気予報と連携し、太陽光発電システムの電力を活かして沸き上げる「おひさまソーラーチャージ」
  3. Wi-Fi機能を搭載し、簡単に専用スマートフォンアプリから各種遠隔操作が可能
パナソニックのエコキュート新製品の特徴は3つ

災害時に緊急沸き上げをする「エマージェンシー沸き上げ」

業界初の「エマージェンシー沸き上げ」

業界初であるという「エマージェンシー沸き上げ」は、スマートフォンアプリとの連携で実現するもので、あらかじめ選択しておいた大雨、暴風などの災害警報・注意報が発令されると、発令されている間、タンク内が常にお湯で満水になるよう、自動でお湯の沸き上げを続けるというもの。

エマージェンシー沸き上げを行なう警報・注意報をあらかじめ個別に設定

通常は、深夜11時以降の安い深夜電力の時間帯に沸き上げを行なうが、災害警報・注意報が発令されると、ほかの時間帯であっても沸き上げを行ない、いざというときに備える。その後、断水になってもタンクの湯水を生活用水として使うことができ、370Lタンク製品の場合で20Lポリタンク約18個分が使える計算。

警報・注意報が発令されれば、昼間でも沸き上げをする
エマージェンシー沸き上げ設定後のアプリホーム画面

またエマージェンシー沸き上げは開始したことをプッシュ通知で知らせるため、災害情報の認知にも役立つという。ちなみに、今回の新製品に限らず、従来製品も含め、パナソニックのエコキュートは貯湯ユニットの脚部を4本にすることなどで、震度7相当の揺れにも耐える耐震性能を実現しているという。

エマージェンシー沸き上げを開始するとプッシュ通知する
エマージェンシー沸き上げ時のアプリホーム画面

天気予報と連携する「おひさまソーラーチャージ」

おひさまソーラーチャージ

「おひさまソーラーチャージ」は、主に卒FIT(太陽光発電システムの固定価格買い取り制度期限が終了した)ユーザーを対象とした機能で、屋根に設置した太陽光発電による電力をエコキュート用に自家消費しようというもの。

パナソニックでは2017年に発売したエコキュートから、AI機能を用いて効率よく自家消費を行なう「AIソーラーチャージ」機能を搭載していたが、これを利用するためにはHEMS機器であるAiSEG2を設置している必要があった。しかし、この「おひさまソーラーチャージ」では、AiSEG2がない家庭でも自動で天気予報と連携した運転が行なえるようになる。

具体的には、専用スマホアプリで沸き上げを行ないたい時間帯および何時間行ないたいかを設定しておくと、天気予報の情報と組み合わせて日中の晴れている時間に沸き上げを行なう。この天気予報情報はウェザーニュースとの提携により同社の情報を利用する形になっている。

沸き上げを行ないたい時間帯などをアプリで設定する

壁付けリモコンにWi-Fi機能、専用スマートフォンアプリで遠隔操作が可能

壁付けリモコンにWi-Fi機能を搭載

壁付けリモコン(台所リモコン)にWi-Fi機能を搭載したことで、自宅にインターネット環境さえあれば、専用スマートフォンアプリからの遠隔操作が可能になる。

無線LAN設定により、スマホアプリでの遠隔操作ができる

たとえば、外出先からの帰宅時にお風呂の自動セットを行なうことや、家の中にいる場合でも入る前に追い炊きをする設定をスマホから行なうことなどが可能。また、旅行中に、もったいないからタンクの沸き上げを止めておきたい、といった場合でも旅先からアプリを使って沸き上げ休止を設定できるし、急遽帰宅が早まった……といった場合には沸き上げ設定をしなおすことも可能だ。

外出先からお風呂のセットをできる

エコキュート需要は再び高まりつつある

ライフソリューションズ社マーケティング本部の美馬秀夫氏

ライフソリューションズ社マーケティング本部の美馬秀夫氏は「エコキュートの需要は東日本大震災の前年2010年をピークに、オール電化を避ける傾向が強まり減少していましたが、2015年に底を打ち、拡大傾向が続いています。その背景には自家消費を求める卒FITユーザーが増えるとともに、ZEHが増えていることがあります。また最近では買い替え需要も増えてきており、今年6月末に業界で累計700万台を超えました」と話す。そこに頻発する自然災害への備え、蓄熱・省エネ機器としての認知度向上などが伴い、ニーズが増しているという。

エコキュートの需要は近年、右肩上がりという

全46機種をラインナップ

ラインナップは46機種に及ぶ

今回発売するのはフラグシップモデルのJPシリーズから普及タイプのNSシリーズまで全46機種。

JPシリーズには、お風呂の残り湯の熱をエコキュートのタンク内に伝搬させ節電を図る「ぬくもりチャージ」や、人の出入りを自動で検知し、省エネにお風呂の保温を行なう「エコナビ」、シャワーの自動リズム変動で節水・省エネを図る「リズムeシャワープラス」などさらなる省エネ機能を装備しており、タンク容量460L(4~7人仕様)で1,014,000円などとなっている。

「ぬくもりチャージ」などの機能も搭載