ニュース
パナソニック、高輪ゲートウェイ駅にPLCによる調光調色が可能な照明を納入 ～JR東日本と共同開発
2020年3月4日 18:29
パナソニック ライフソリューションズ社は、PLC(電力線通信)で調光調色の制御が可能な照明器具を、3月14日開業予定の高輪ゲートウェイ駅に納入したと発表した。照明制御システムは東日本旅客鉄道と共同で研究開発したもの。納入した照明器具は合計594台。
PLCにて調光調色を行なえる照明制御システムが駅のホームに本格採用されるのは、国内初だという。PLCとは、電気機器に電力を供給する電力線へ高周波の通信用信号を乗せて伝送することで、電力線を通信線としても利用できる技術。
これまで駅ホームの照明器具を調光調色するには、電源線とは別の信号線を照明制御盤から各照明器具へ敷設する必要があった。しかし駅ホームで敷設工事ができる時間帯は終電～始発の間のみのため、導入は難しかったという。また無線方式で調光調色を行なうと信号線は不要となるが、駅構内の無線LANや列車無線などの各種無線が混信する恐れがあった。そこで両社はそれらの課題を克服可能なPLCに着目し、照明制御システムの共同研究開発を進めてきた。
PLCには、10～450kHzの「低速PLC」と2～30MHzの「高速PLC」があるが、共同研究開発では屋外仕様の法整備が進んでいる低速PLCのうち、電源環境ノイズの影響を受けにくいG3-PLC方式を採用。また駅で使用されるさまざまな電気機器、構内の無線、列車発停車に伴う電磁波などの影響を想定し、駅でノイズなどの電源環境を測定。回路設計にあたっては、実環境でも正常に動作するよう最適化を行なったという。さらに2017年7～12月には、PLC通信部を内蔵した照明器具の試作品を千葉駅ホームへ設置の上、フィールド試験も行なったとしている。
今回納品されたシステムでの照明制御は、PLC制御部が駅全体の中央監視設備からの指示を受け、調光調色信号をPLC信号に変換して電力線に重畳し伝送。その後、PLC通信部内蔵の駅ホーム用照明器具が、受信したPLC信号を調光調色信号に再変換し、指示した点灯状態(色温度、明るさ)を再現する仕組み。各照明器具にアドレスが割り当てられるため、信号線を付け替えなくても、照明器具個別に点灯状態を変更することも可能だとする。
今後は、同駅に設置された照明の調光調色が可能となるため、日中は自然光と調和する昼白色～白色の光、夕方からは電球色の温かみのある光というように、時間帯や天候に応じて調光調色が行なわれるという。
