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ダイソン、クエン酸で"ほったらかし掃除"ができる加湿空気清浄機「Pure Cool」、1年中使える1台に

 ダイソンは、加湿機能を備えた空気清浄機「Dyson Pure Humidify+Cool加湿空気清浄機」を発表した。価格はオープンプライス。直販価格は88,000円(税抜)。11月29日の発売で、同社オンライストアでは現在予約受付中。同社直営店・オンライストアのほか、各家電量販店で販売される。

「Dyson Pure Humidify+Cool加湿空気清浄機」

 世界で最初に日本で発表された、加湿機能を備える空気清浄機。従来の「Pure Cool」シリーズ同様に、1年を通して空気清浄機として、夏は扇風機として利用できることに加え、冬は加湿器としても利用できるようになった。同社では、2014年11月に「Dyson Hygienic Mist (ダイソン ハイジェニック ミスト) 加湿器 AM10」を発売しており、5年ぶりの加湿器の投入となる。

加湿水の「清潔」にこだわって開発

 加湿機能で従来機ともっとも異なる点は、加湿方式。従来機は超音波方式を採用していたが、本機では気化式を採用する。

 同社 グローバル カテゴリー ディレクター 空調家電製品カテゴリーのチャーリー・パーク氏によれば、「当社が目指しているのは、室内の空気質の向上です。従来からの空気清浄機による空気の浄化に加え、最適な湿度を届けることも空気質を向上させることになると考えています。加湿機能では、タンク内の水に含まれるミネラル分や、水の中でバクテリアが繁殖するといった問題がありますが、これらの物質を室内へ噴霧してしまっては意味がありません。本機では、空気に加えて水に関する問題も徹底的に研究し、きれいな水で室内を加湿することにこだわっています」と語った。

同社 グローバル カテゴリー ディレクター 空調家電製品カテゴリーのチャーリー・パーク氏

 加湿水は本体内を循環しており、タンクから吸い上げられると、UV-Cライトを通過する。その後、加湿フィルターへ吸い上げられて、風によって気化され、室内を加湿する。一方、加湿フィルターへ吸い上げられなかった水は、再びタンクに戻る。

 このとき加湿水にUV-Cライトを照射すると、瞬時に細菌が除去されるという。水が通るパイプの外側にはUV-Cライトがあるが、そこにはライトを何重にも反射するPTFEチューブがある。そのため水は1度のパイプ通過で、何重にもUV-Cライトを照射されることになり、結果として、瞬時に細菌を除去できるのだという。

水タンクを拡大。中央のポンプで水を循環させている
加湿水は、本体内を循環している。左下の紫色部分が、UV-Cライト
PTFEチューブを採用した、リフレクタ(反射装置)

 さらに、加湿用の3Dエアメッシュフィルターには、銀繊維が編み込まれており、UV-Cライトで除去しきれなかった細菌を除去したり、加湿フィルター自体に細菌が繁殖するのを抑えるとしている。

 水の浄化や細菌除去に関しては、同社 アドバンスド リサーチ サイエンティストのジェム・マクラキー氏が「本機を開発するにあたり、我々は世界各地の水道水を研究しました。硬水・軟水といったミネラル含有量、含まれるバクテリアの種類や数などです。

 清潔な水で加湿するためには、世界のどの地域の水も衛生的なものに変えられる技術を開発する必要がありました。結果的に、UV-Cライトによる除菌、PTFEチューブの開発、加湿フィルターに編み込む銀繊維により、清潔な水を作ることができたのです」とした。

同社 アドバンスド リサーチ サイエンティストのジェム・マクラキー氏

クエン酸で、ほったらかし掃除

 また本機の開発にあたっては、お手入れ面も重視したという。「本機は、加湿機能で気化式を採用したため、空気清浄フィルターとは別に加湿用フィルターも備えています。この加湿用のフィルターと水タンクを取り外しやすく、掃除がしやすいようにしたことも、開発で重視したポイントです。

 加湿フィルターは、センサーが検知した加湿量や水質などを元に、洗浄時期がユーザーへ通知されるようになっています。通知後は、クエン酸を入れた水タンクに加湿フィルターを浸し、本体で洗浄モードを選択するだけで、手軽にお手入れを行なえます。洗浄時もタンク内の水は本体を循環していますので、水の経路もすべて洗浄できるようになっているのです」(チャーリー・パーク氏)。

 水タンクの容量は5L。加湿フィルターの洗浄時は、5Lの水と150gのクエン酸をタンクに投入し、洗浄モードをONにするだけ、約1時間でほったらかし洗浄が完了するという。

加湿フィルターを取り出す。片手で簡単に引き出せる
取り出した加湿フィルター
お手入れ時は、水タンクにクエン酸を入れて、加湿フィルターをセット
水タンク上部には、洗浄方法の説明もある
本体で洗浄モードを選択すれば、ほったらかし掃除ができる

空気清浄機としての機能

 空気清浄機としては、従来どおり全長9mの「360°グラスHEPAフィルター」とその内側に「活性炭フィルター」を搭載。また微粒子を検知するレーザーセンサー、VOCセンサー、温度・湿度センサーを搭載しており、「PM2.5」「PM10」「VOC」など、PM 0.1レベルの汚染物質を、99.95%捕集するという。

空気清浄機能としては、「360°グラスHEPAフィルター」活性炭フィルター」を搭載
3つのセンサーで空気の汚れを検知する

 また送風モードにも変更があった。従来は前方への送風、後方のへの送風「ディフューズモード」の2パターンだったが、加えて「ブリーズモード」が追加。また前方への送風も、本体の首振りではなく、ほぼ従来サイズの吹き出し口内に配置された細いルーバーが動くことで、風向を変える仕組み「ジェットアクシスコントロール」に変更されている。

 「ブリーズモード」は、自然の風吹き出すモード。イギリス・マルムズベリー8地点で、自然の風を4,000万データ分計測した結果をアルゴリズム化したものを用いているという。「ブリーズモード」では、前方への送風と同じく、吹き出し口内のルーバーで送風向きを変えるが、通常の前方送風が左右吹き出し口のルーバーが一緒に稼働するのに対し、「ブリーズモード」では、左右のルーバーがそれぞれ独立して稼働することで、ランダムな自然の風を作り出すのだという。

前面の吹き出し口にルーバーが配置された
本体が首振りせず、吹き出し口内の細いルーバーが動いて、風向を変更する「ジェットアクシスコントロール」
吹き出し口内の細いルーバーが、左右別々に動いて自然な風を作り出す「ブリーズモード」
「ブリーズモード」の風は、前方の金属片もランダムに動く
「ブリーズモード」の表示
風の計測器。これで計測した4,000万もの風データをアルゴリズム化したという

 本体サイズは、312×923mm(直径×高さ)で、重量は約8.29kg。首振りオフ時の消費電力は、涼風モードが6/40W、加湿モードが10/43W(最小値/最大値)。空気清浄時の適用床面積は、12/36畳(30分/60分)。8畳の清浄目安時間は22分。加湿能力の適用床面積は、10/6畳(プレハブ洋室/木造和室)。空気清浄フィルターの交換目安は約1年。

本体拡大
本体のカットモデル
付属するリモコン
スマートフォンアプリでは、操作やタイマー設定のほか、室内空気質の履歴も閲覧可能