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空気だけで発電する電池!? 注目の最新防災グッズたち ~危機管理産業展より

 10月10日から12日まで、東京ビッグサイトで「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2018」が開催された。年々、自然災害はその脅威を増しているが、今年の日本は地震や台風など、自然災害による甚大な被害を受けた。自宅の防災グッズを見直したり追加した方も少なくないだろう。ここでは、会場で注目した最新の防災グッズをいくつかご紹介しよう。

空気で発電!! 画期的な災害・非常用発電池

 会場でひと際注目を集めていたのが、災害・非常用発電池「エイターナス」。空気の力だけで電力を発生させる画期的な日本初の一次電池。太陽光も水も不要で、保存袋を開封して空気に触れれば約3分でDC12Vを発生させて、インバータを通じてAC100Vの電源供給が可能となる。

空気の力だけで発電するエイターナス
保存袋を開封して、左右の空気穴から空気中の酸素を取り込み発電する
空気で発電するしくみ(Webサイトより)

 本体サイズは175×185×85mm(幅×長さ×高さ)、本体重量は約2.5kg。バッテリー容量は40Ah/540Wh、DC12V。別売りの新商品マルチポートUSB充電器「マルチサークル」を組み合わせれば、最大18台のスマートフォンの同時充電が可能。また、USBポートの出力も2.4Aなので高速充電も可能で、1個の電池で最大50~60台のスマホを満充電可能だという。さらに、保存袋に入れて空気との反応を遮断すれば発電は自動的にストップ。長期保存はできないが、電気容量がある限り繰り返して利用できるので、限られた電力を有効に使えるというから驚く。

マルチサークルを組み合わせれば最大18台のスマートフォンの充電が可能
付属インバータ使用時はエイターナスの並列接続もできる
保存袋に入れてしまえば繰り返しの利用も可能

 付属インバータを使用する際には、エイターナスを3台並列に接続できるので、最大1,500Wh超えの大電力を得ることも可能だ。災害時の電源確保に非常に役に立つため、北海道地震の被災地でもエイターナスが活躍したという。そのため、現在は在庫がなくなってしまったそうだが、増産して間もなく出荷できるようになるとのこと。気になる価格だが、組み合わせに応じて個別の見積もりとなっている。

エイターナスの紹介動画

1.7kgのコンパクトサイズな非常用電源装置

 次世代型太陽光蓄電システムなどを開発するジェドスタイルが展示していたのが、非常用電源装置「E.P.S mobile MINI」。本体サイズは200×75×150mm(幅×奥行き×高さ)、本体重量は約1.7kgと自宅に置いても邪魔にならないコンパクトなサイズが特徴。

E.P.S mobile MINI

 バッテリー容量は66Wh、DC13.2V。USBポート×2、シガーソケット、残量デジタル表示、LEDライトを搭載する。本体の充電時間は約40分で、スマートフォンならば10回以上の充電、インバータを使用すればAC100V出力が可能でノートPCの充電も可能としている。専用充電器と120Wのインバータがセットで、価格は150,000円(税抜)。

LEDライト
左がLEDライト、右がUSBのOMスイッチ
付属のインバータを使用すればAC100Vが使用可能

機能もサイズも家庭向けな非常用ポリタンク型浄水器

 家庭向けの非常用ポリタンク型浄水器として、一家に一台置いて置きたいのが「コッくん飲めるゾウ ミニ」。原水が水道水であれば、期限切れペットボトル水や風呂水(入浴剤入り不可)、貯水槽やプールの水などを飲料水として浄水してくれる。

非常用ポリタンク型浄水器「コッくん飲めるゾウ ミニ」
コック部分がフィルターと一体化している
簡単スピード浄水を可能にするトリプルフィルター構造(Webサイトより)

 使い方もシンプルで、ポンプをタンクより取り外して原水を20リットル入れて、ポンプを戻して平らなスペースで4~5回加圧しコックを開く。吐出量が少なくなったと感じたら加圧を繰り返すだけ。総浄水量は汚れの程度により差があるが、ペットボトル水などが約3,000L、風呂水が約200~300L、河川・プールの水・貯水槽の水などが約2,000Lの目安となっている。

ポンプを4~5回押すだけで浄水
「防災製品大賞2018」防災製品部門で銀賞を受賞

 コック部分が、ゴミ取りプレフィルター/活性炭フィルター/大型MF中空糸膜フィルターと一体型になっており、交換も可能だという。本体サイズは220×330×500mm(幅×奥行き×高さ)、容量は18L、フィルター寿命は未使用時で5年。価格は29,800円(税抜)。「防災製品大賞2018」防災製品部門で銀賞を受賞している。

コッくん飲めるゾウ ミニの紹介動画

スマホも充電できる塩水LEDランタン

 スマートフォンやオーディオの周辺機器を扱うステイヤーが、11月下旬に発売するのが「マグネ充電器」。水と塩のみでスマートフォン約10回分のフル充電、LEDランタンとLED懐中電灯として使用できる1台3役の防災グッズ。IPX6の防水仕様なので場所や天候に左右されずに使用できる。

マグネ充電器
90ルーメンのLEDランタン
130ルーメンのLED懐中電灯

 本体のフタを外して、塩、水、マグネシウム棒の順に入れてフタを閉めれば、塩水とマグネシウムの化学反応を利用して約30秒で発電が可能。

塩と水を入れた後にマグネシウム棒をセットする
充電用のUEBポート。フタの上部にはライトのスイッチ、塩の計量用くぼみがある

 本体には、マグネシウム棒3本と塩2袋(10g×2)が同梱されている。たとえば、LEDランタンとLED懐中電灯はマグネシウム棒1本で約24時間の連続使用が可能で、災害時の72時間の壁に備えたセットとなっている。塩袋を使い切ってしまっても、フタ上面に計量用のくぼみが付いているので、家庭の塩で対応できるのも魅力。もし水が確保できない場合には、発電力は劣るが海水などでも代用できるとのこと。

マグネシウム棒3本と塩2袋を同梱
左が使用したマグネシウム棒。すべて溶けきるまで発電する

本体サイズは86×206.5mm(直径×高さ)、重量は480g。11月下旬に発売予定。価格は9,800円(税抜)。

マグネ充電器の紹介動画

手押しで2~3分で膨らませられる災害対策用エアーマット

 ビニール製ビーチグッズのメーカー・イガラシが展示していたのが「ポンプインエアーマット」。使用時サイズは182×50×8cm(長さ×奥行き×高さ)、収納時サイズは40×19×10cm(長さ×奥行き×高さ)、重量は約670g。

ポンプインエアーマット
エアーマットポンプを内蔵
フタを開けてイラストの手に合わせて押すだけで簡単に膨らますことが可能

 エアーマットポンプを内蔵しており、そのフタを開けて全体を覆うように両手で押すと約2~3分で膨らむ。使い終わったら背面の排気栓で空気を抜いて畳んで収納し、繰り返し使用することができる。生地は外側がポリエステル、内側が熱可塑性ポリウレタンの2重構造となっており、サラサラして心地よく、耐久性にも優れている。価格は12,000円(税抜)。

保育士の声から生まれた避難用抱っこひも

 2011年の東日本大震災以降、被災地の保育園からの強い要望で誕生したのが、避難用抱っこひも「避難くん」。保育士1人で同時に3人の赤ちゃんを抱っこが可能となっている(1人あたり:首がすわってから約10kgまで)。保育園専用販売となっているが、近日中に一般家庭向けに避難用1人抱きのウエストベルトキャリーが発売を予定しているとのこと。

避難用3人抱きキャリー
緊急時にすぐに取り出せるように壁掛けできる仕様となっている

 このウエストベルトキャリーは日常用としても使えるが、緊急時のためにリフレクターと救護要請用のホイッスルが付属。生地には防寒機能素材のフィールサーモを採用し、表地には防炎加工が施されている。赤ちゃんの月齢は首がすわってから15kgまで。壁掛けできる収納袋付きで、価格は12,000円(税抜)。ほかにも子ども用の避難用ポンチョなどもラインナップされる予定なので、小さな子どもがいるなら、こちらのWebサイトをチェックしてみるといいだろう。

一般家庭向けに発売される、避難用1人抱きウエストベルトキャリー