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パナソニック、イタリア「ミラノサローネ 2018」展示内容を公開~目に見えない体験価値への挑戦
2018年4月9日 15:52
パナソニックは、2018年4月17日~22日に、イタリア・ミラノで開催される世界最大規模のデザインイベント「ミラノサローネ 2018」に出展する。
開催に先立ち、4月6日、在日イタリア大使館主催の日伊文化交流イベントのために来日したブレラ絵画館代表団とともに、展示内容などについて説明した。パナソニックは、ブレラ絵画館を使用して展示を行なう。
ミラノサローネは、毎年4月に、イタリア・ミラノで開催される世界最大規模の家具見本市と、その期間中にミラノ市外各所で行なわれる展示会や展覧会の総称であり、今年で57回目を迎える。
世界最先端デザインの発信イベントとして影響力を持つほか、近年はデザインエキシビションの枠を超えたブランド発信の場としても注目を集めているという。
会場は、本会場となる「FIERA(フィエラ)」と、ミラノ市内の各所で開かれる「FUORI SALONE(フォーリ・サローネ)」で構成。
パナソニックは、2008年からミラノサローネの「FUORI SALONE」に出展しており、同社のデザインに関して継続的な発信を行なってきた。パナソニックは、2016年と2017年は、ミラノサローネにおいて最高賞にあたる「Milan Design Award」を2年連続で受賞。2016年は「ピープルズチョイス賞」を、2017年は「ベストストーリーテリング賞」を受賞している。
次の100周年に向けたパナソニックデザインの新たな取り組み
今年、創業100周年の節目を迎えたパナソニックは、次の100年に向け、「TRANSITIONS(遷移)」をテーマに、パナソニックデザインの新たな活動を開始。2018年4月には、京都に、パナソニックデザインの本社機能を置き、新体制で活動をスタートしたところだ。
テーマとした「TRANSITIONS」には、「歴史や伝統を尊重しつつ、未知なる未来を拓くために、さまざまな挑戦を仕掛けていく」という意図を込めたという。
今年のミラノサローネへの出展は、こうした節目において、同社のデザインに対する新たな姿勢を打ち出す機会となり、今回の展示テーマも、「TRANSITIONS」としている。
挨拶したパナソニックの小川 理子執行役員は、「今年、パナソニックは100周年を迎える。これは、国内外の多くのみなさんに商品、サービスを愛用してもらったことによるものだ。だが、欧州でのブランドに認知はまだまだ低く、十分にお役立ちができていないのではないかということも課題に感じている。ミラノサローネにおいては、インスタレーションを中心に、家電、住宅事業に裏打ちされた映像や音響、空間構築のノウハウを駆使し、考え方、思想、取り組みを通じて、可能性を感じてもらう意味で出展を続けてきた。昨年度は、ブレラ絵画館の横にあるブレラ美術アカデミーをお借りし、京都の伝統工芸や伝統的美意識と、パナソニックのエレクトロニクス技術が融合するElectronics Meets Craftsを展示し、広く評価をいただいた。今回のミラノサローネでは、ブレラ絵画館とともに新たな取り組みを打ち出すことができる」と語った。
ナノイーX搭載、水滴をモチーフとした直径20mのエアドームを設置
パナソニックが展示を行なうイタリア国立ブレラ絵画館では、空調、映像、音響、照明技術を掛け合わせた総合インスタレーション「Air Inventions」をメイン展示とする。このほか、今年の新たな取り組みとして、対話型コミュニケーションの重要性に着目したトークイベント「TRANSITIONS in Conversations」が開催される。
Air Inventions(空気の発明)では、「思わず深呼吸したくなるような空間をミラノの中心地に創る」としており、「目に見えない体験価値さえもデザインしていくという強い意志を込めた」という。
国立ブレラ絵画館の中庭に、水滴をモチーフとした直径20mのエアドームを設置。内部にはパナソニック独自の空気を浄化するデバイス技術「ナノイーX」と、高圧の圧縮空気を用いて水を微細化する「シルキーファインミスト」を備えており、「ミラノの街なかで、最も美しく澄んだ空間の創出」を目指したという。
ドーム内部には、27,000lmの超高輝度レーザー光源プロジェクター「PT-RQ32KJ」と、高性能高解像度魚眼レンズ「ET-D3LEF70」を配置し、4Kプロジェクションマッピングで臨場感あふれる演出を行なう。
1918年の創業以来、「モノ」をデザインし続けてきたパナソニックが、次の100年に向けて「TRANSITIONS」に挑戦する姿勢を表現。「目に見えないものや、手に触れられないもの」、「人の気持ちや体験までもデザインしよう」という姿勢を打ち出す考えだ。
パナソニックのデザイナーと有識者によるトークイベント
また、トークイベントの「TRANSITIONS in Conversations」では、国立ブレラ絵画館の「受難の間(Passion Room)」を会場として、「Living Space」、「Community」、「Culture」の3つのテーマで、これからの豊かな暮らしにおいて、デザインが果たす役割の変化について、有識者とパナソニックのデザイナーが語り合う。
小川執行役員は、「今年のインスタレーションは、パナソニックとブレラ絵画館が、また新たなことをしようと、お互いが共感しあうことで実現できたものである。ブレラ絵画館の中庭をお借りし、新たなインスタレーションをお見せすることができる。TRANSITIONSというテーマに設定したのは、パナソニックデザインが、世の中の変化に適応するという意思を込めたものである。そして、空気という目に見えないもののデザインにも挑戦することになる。また、受難の間では、絵画と音楽に、パナソニックの映像技術を加えた新たな演出を実現する」と説明。
「文化、芸術と、テクノロジーを融合することで、次のデザインの新たな気づきや発見、可能性につながると考えている。ブレラ絵画館およびブレラ国立図書館ジェネラル・ディレクターである、ジェームズ・M.ブラッドバーン氏には感謝を申し上げる」と述べた。
ブレラ絵画館は、絵画と音楽の融合に着目し、絵画を題材とした音楽コンサートを開催するなど、多様な活動を推進しているのが特徴だ。日伊両国の感性や技術を融合させ、新たな文化を創り出したいという両者の思いが一致して、今回の出展に至ったという。
在日イタリア大使館での発表では、世界的に著名なピアニストであるクライヴ・ブリトン氏によるピアノ演奏が行なわれたが、ここではブレラ絵画館が所蔵する絵画とコラボレーションをしながら2曲が演奏された。