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シャープ、老化原因となる「AGEs(エージーイー)」の体内蓄積レベルを手軽に測定できる機器

 シャープライフサイエンスは、老化の原因となる最終糖化産物「AGEs(エージーイー)」の体内蓄積レベルを、簡単に測定できる機器「AGEsセンサ RQ-1201J-SET」を発売した。医療機関やエステサロンなど店舗向けの製品で、測定器とタブレット、結果を印刷するプリンター、QRコードリーダーのセットとなり、価格はオープンプライス。店頭予想価格は80万円前後。

「AGEsセンサ RQ-1201J-SET」

 糖とタンパク質が結合することを「糖化」といい、過剰な糖の摂取によって糖化が進むと、老化物質のひとつである最終糖化産物「AGEs(Advanced Glycation Endproducts)」が生成される。糖化が進んだタンパク質は、肌や骨などの機能を維持するという本来の働きを発揮できなくなるという。

 近年、この「AGEs」が注目されており、AGEsの蓄積が健康面や美容面でも、体内の生理現象にさまざまな悪影響を与えることも明らかになっている。例えば、肌に含まれるコラーゲン(タンパク質)はバネのような柔かい結びつきによって弾力性が保たれているが、AGEsの蓄積が進むと、鎖のように固いAGEsがコラーゲン繊維を結んでしまい、弾力性が低下するという。

 体内のAGEsは、暴飲暴食や運動不足など不摂生な生活をしていると増加することが判明しており、AGEsの蓄積レベルは「生活習慣の成績表」とも言えるとしている。

糖とタンパク質が結合することを「糖化」という
AGEsがタンパク質の本来の機能を発揮できなくする

 今回発売する「AGEsセンサ」は、指先を挿入するだけで体内のAGEs蓄積レベルを簡単に測定できる点が特徴。血液の採取が不要で、30~60秒と短時間で測定できる。AGEsは光を当てると発光するという特性があり、AGEsセンサはその特性を利用。指先に近紫外光を照射し、体内のAGEsが発した光の量を測定・解析することで蓄積レベルを算出する。

 スコアはA~Eの5段階評価で表すほか、同世代と相対比較した順位(1~100位)を目安として表示。また、付属のプリンターで結果を印刷することもできる。期間を空けて測定することで前回値との比較も可能。印刷時に発行されたQRコードを、付属のQRコードリーダーで読み取ることで比較でき、AGEs量の変化を簡単に管理できる。

測定機器やプリンターがセットとなる
指先に近紫外光を照射し、体内のAGEsが発した光の量を測定する
スコアはA~Eの5段階評価で表す

手軽にAGEsを測定できるようにすることで健康意識を向上

シャープライフサイエンス マーケティング統括部 営業部 部長 早野 国利氏

 シャープライフサイエンスは、2016年9月1日に設立。シャープのヘルスケア・メディカル関連事業を分社化した形となる。AGEsセンサの開発は、約10年前から行なわれていたという。

 シャープライフサイエンス マーケティング統括部 営業部 部長 早野 国利氏は、製品について以下のように述べた。

 「体内の情報を知れる血液検査キットなどは、最近はドラッグストアでも販売していますが、指に針を刺して採血するなど、少しハードルが高いです。私たちは、体内の情報を知るための測定を気軽にできるようにすることが、健康維持に繋がると考えました。AGEsセンサは指先を挿入するだけなので、測定に対するハードルを下げられると思います」

実際にAGEsスコアを測定。不摂生な記者の判定は……?

 実際に記者もAGEs蓄積レベルを測定してみた。左手の中指を挿入して30秒待つだけで測定完了。結果はAGEsスコア0.61で、レベルは最低評価の「E」。普段まったく運動をせず、飲酒頻度も高いので不健康だとは思っていたが、可視化されることで危機感をおぼえ、改善しようと思えてくる。

 なお、AGEsスコアは約0~0.29だと評価「A」に、0.30~0.42が評価「B」、0.61~が評価「E」になる指標としている。

 体内の蓄積レベルを測定しているため、スコアは1日単位ではあまり変わらないという。お酒を控える、運動をするなど、健康的な生活を行なうことでAGEsの形成を予防できるとしている。生活習慣を変えることで、早い人では2~3週間で結果に変化が表れ、継続して測定することが重要だという。

 本体サイズは、196×285×67mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約775g。消費電力は2.2W。Bluetooth Ver.3.0を備える。

まず年齢を入力
左手の中指を挿入して30秒待つ
結果は「E」判定。同年代ランキングでも97位……

 測定機器の設置は、調剤薬局や美容サロン、コンビニエンスストアなどへ提案。既に調剤薬局やエステサロンでの導入が決まっているという。

 シャープでは、来店者が手軽に測定できる環境を拡げていくことで、食生活の見直しや運動習慣の改善など、健康への意識向上に貢献していくとしている。