長期レビュー

タイガー魔法瓶「炊きたて tacook JAJ-A550」前編

~ご飯を炊きながらおかずも作れる炊飯器
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



タイガー魔法瓶「マイコン炊飯ジャー 炊きたて tacook JAJ-A550」

 最近、炊飯器で作ったホットケーキなど、ユニークなレシピを目にする機会が増えた。炊飯器といえば、当然のことながら「ご飯を炊く」という機能がメインなわけだが、最近では調理キーなるものが用意されたものも登場しており、工夫次第で、炊飯以外の料理にも活用できる、調理器具に進化しているのだ。

 タイガー魔法瓶の炊飯ジャー「炊きたて tacook JAJ-A550(以下、tacook)」も、調理機能を備えた炊飯器。炊飯中の蒸気を利用して、ご飯を炊きながらおかずも作れるというユニークな製品だ。今回は2回に分けてじっくり製品を紹介する。前編ではまず、仕様と基本的な炊飯機能を見ていこう。

 


メーカータイガー魔法瓶
製品名炊きたて tacook
JAJ-A550
購入場所Amazon.co.jp
購入価格10,500円

 

 tacookは、0.54Lの3合炊きのマイコン式炊飯器だ。加熱方式にはヒーターを利用するマイコン方式を採用している。本体サイズは219×273×191mm(幅×奥行き×高さ)と非常にコンパクトで、重量は3kg。本体、内ぶた、内なべで構成されており、しゃもじ、計量カップ、クッキングプレート、取扱説明書、専用のクックブックが付属する。

正面の様子側面の様子。向かって右側にはしゃもじ立てがついている背面の様子
上から見た様子ふたを開けた状態内ぶたは簡単に取り外して洗浄できる(パッキンは外れないので要注意)
パネルカバーを開けた状態パネルカバーを閉じると、3つのボタンと状態を示すそれぞれのランプ、表示部のみに

 本体前面には操作パネルを備える。操作パネルには、表示部のほか、メニューの切り替え用ボタン、保温・取消ボタン、炊飯ボタン、予約ボタンが用意されており、操作パネルを覆うカバーも付属している。

 このパネルカバーは、エアコンのリモコンカバーのように、使用頻度の高いボタンだけ残して、ほかの細かいボタンを覆う。実際にパネルカバーで操作パネルを覆うと、表示部と保温・取消ボタン、炊飯ボタン、予約ボタンだけが残り、シンプルで見やすくなる。

内なべを取り出したところ本体、内なべ、クッキングプレート、しゃもじ、計量カップ、電源コードパネルキーを開けると、メニューキーや時間設定キーが現れる。また調理時の目安時間も確認できる
小ぶりで、3合炊きの内なべにはピッタリサイズのしゃもじ取扱説明書と専用のクックブック「クックブック」で紹介されている料理は、簡単なのにおいしいのでお勧め!
内なべの目盛り。反対側には「リゾット」の代わりに、「チャーハン」の目盛りがある。なお、内なべは洗米も可能

 用意されている炊飯メニューは、一般的な炊飯モードである「白米」に加え、「白米」と比べて消費電力量が6~16%少なく、約30%の省スチームを実現するという「エコ炊き」、炊飯時間を最短で約半分程度に減らせる「早炊き」、「炊込み」「リゾット」「チャーハン」のほか、「煮込み」と「ケーキ」がある。「煮込み」は5~120分まで5分単位で、「ケーキ」は1~60分まで1分単位で加熱時間を設定できる。もちろん指定した時間に炊きあげる、予約機能も搭載している。

 一般的な炊飯器なら、今は「おかゆ」や「玄米」は定番かもしれないが、tacookは「リゾット」と「チャーハン」。そして調理メニューとして「煮込み」と「ケーキ」が用意されているあたり、一人暮らしの若者向きといえるだろう。

 tacookの最大の目玉は、付属の「クッキングプレート」だ。実はこの中に食材を入れて内なべの上にセットすると、炊飯と同時に加熱調理もできるのだ。tacookの場合、温めにとどまらず、おかずが“作れる”ところがミソなのである。

おかずを作る「クッキングプレート」内なべの上にセットして使う。内なべに水を入れれば、「クッキングプレート」だけの調理も可能いつもの台にセットした様子。スッキリしたたたずまい

パネルを開き、ボタンを押して設定を選択する

ご飯がツヤツヤ! おいしく炊ける

 まずは通常の炊飯からチェックしてみよう。炊飯できる量は、白米3合(エコ炊き、早炊き含む)、炊込み2合、リゾット1合、チャーハンは2合までとなっている。炊くときは、内なべにある目盛りに合わせて水加減したら、パネルカバーを開け、メニューキーで炊きたいメニューに矢印を合わせて炊飯キーを押すという流れ。

 まず白米を「白米」メニューで2合炊いてみたが、引き締まりながらも弾力のある炊きあがりだった。使用したお米はミルキークイーンなので、もともと粘りのあるタイプだが、tacookでは表面が引き締まりつつもっちり、という食感だった。お米の表面にツヤもあり、非常に満足だ。

「白米」で2合分炊いてみる。炊飯は、最大量よりも一歩手前や半分程度の量が、一番おいしく炊けると感じている炊きたて状態全体をさっくり混ぜ合わてからもうしばらく蒸らすと、お米もふんわりキラキラに

 1合だけ炊いてみたところ、気持ち固めな仕上がりになった。とはいっても、粒には透明感があり、十分おいしく食べられる。愛用の雑穀米をブレンドしてみたが、こちらもおいしくいただけた。取扱説明書には、雑穀を混ぜるときは、白米の上に乗せるよう書かれていたが、混ぜてしまっても問題はなかった。

 「白米」よりも消費電力量が抑えられるという「エコ炊き」と、炊飯時間を短縮できる「早炊き」だが、いずれも「白米」メニューよりは固めになる。お米の固さとしては、「白米」「エコ炊き」「早炊き」の順だ。「早炊き」は、通常40分ほどかかる炊飯が、23分で完了した。お米に芯はないものの、粘り気のあるミルキークイーンをもってしても、ぱらっととした仕上がりだった。カレーやチャーハンなど、あまりもっちりしていないほうがよいメニューには重宝しそうだ。

「エコ炊き」は内なべで専用の目盛りまで水を入れる「エコ炊き」で1合だけ炊いてみる「エコ炊き」は「白米」より気持ち固めになる。固めが好きな方にはちょうどよさそう
1合を「早炊き」で炊く「早炊き」の炊きたて状態「早炊き」の仕上がりは固め。固さの炊き分けに使える

 tacookには「玄米」メニューがない。発芽玄米だけの場合は数時間水に浸せば、通常の炊飯で炊ける。しかし、浸すのを忘れてしまうこともあるだろう。そんなときは、熱湯を使うと時間が短縮できる。時間は約30分で、「白米」メニューで炊飯する。玄米メニューのある炊飯器で炊く場合でも、炊飯時間が通常より30分以上延びるので、時間的にはさほど変わらないだろう。専用の「玄米」メニューがなくても発芽玄米ご飯は食べられるので、ご安心いただきたい。

雑穀米を混ぜ、3合分炊いてみた。3合になると混ぜるのが大変だ、炊きあがりは上々発芽玄米だけで1合炊いてみる。発芽玄米をいきなり炊くときは、洗米後「白米」1合分まで熱湯を注ぎ、30分ほど浸し時間をとってから「白米」メニューで炊飯する
炊きあがり直後の発芽玄米粒の中の白米が顔を覗かせる程度に炊ける。数時間吸水させなくてもOK!

 炊飯が終わると自動的に「保温」に切り替わり、保温経過時間が1時間単位で表示される。保温時間が12時間までが推奨されているため、12時間を超えると表示が点滅に変わる。白米を15時間保温してみたが、色も臭いも変化がなかった。ただし、内なべの底に触れていたご飯は湿気を帯びて塊になっていた。やはり早めに食べるほうがいいだろう。

 これらの基本的な炊飯機能のほかに、tacookでは「リゾット」をはじめ多彩な調理メニューが用意されている。

 クックブックに載っていた「ベーコンと玉ねぎのチーズリゾット」を作ってみた。ブロックベーコン、玉ねぎ、お米(1合)、すりおろしにんにく、顆粒のコンソメ、白ワイン、粉チーズ、塩、胡椒を用意する。内なべで洗米したお米に白ワインや調味料を合わせ、「リゾット」の目盛り1まで水を入れ、よく混ぜる。最後に具を乗せて、リゾットメニューで炊飯するだけだ。炊きあがったら粉チーズを振りかけて軽くまぜる。

 これがおいしいのだ。お米が適度なアルデンテで、しっかりリゾットになっている。ホームパーティなどで、最後に出すと喜ばれそうだ。なお、いくらアルデンテで仕上がっても、残りを保温しておくと水分をめいっぱい吸いこんだ雑炊のようになるので注意しよう。食べきりがおすすめだ。

「リゾット」の材料固形の具材以外を全部入れ、リゾットの目盛り1まで水を入れる具は最後にのせる
「メニュー」キーで「リゾット」を選択して、「炊飯」キーを押す粉チーズを混ぜて完成したリゾットパセリなどをトッピングすると、見栄えもアップ

 後編では、さらにクッキングプレートを使ったおかずの調理と、炊飯以外の料理について実例を交えてご紹介する。



前編 / 後編




2012年4月23日 00:00