長期レビュー
日立「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」
日立「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」 最終回
~ベーカリーもレンジもどっちも本格的で、まさに一台二役!
(2013/2/4 00:00)
日立アプライアンスの「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」の長期レビューをお届けしている。ベーカリーレンジは、本格的なオーブンレンジと、豊富なオートメニューを備えたホームベーカリーが1台になったユニークかつ便利な製品だ。
1回目、2回目は、パン作りの機能を中心にご紹介してきたが、最終回となる今回は、オーブンレンジの機能を中心にご紹介する。
レンジ機能ももちろん本格的
ベーカリー機能を搭載したオーブンレンジと聞くと、オーブンレンジの機能をちょっと省略しているかのように思われるかもしれないが、ベーカリーレンジはそんなことは一切ない。本体では、過熱水蒸気/レンジ/オーブン/グリル/スチーム加熱に対応しており、食品の重さを量って最適な加熱時間を自動的に計算する「トリプル重量センサー」も搭載する。
日立のオーブンレンジのフラッグシップに相当する「大火力焼き蒸し調理 ヘルシーシェフ MRO-LV300」に搭載している、野菜炒めや、小籠包が作れる「焼き蒸し調理機能」こそ搭載していないが、独自の脚付きグリル皿は付属。オーブン設定時の庫内温度が最大で250℃になる点も、フラッグシップモデルと同等だ。本体には、ハンバーグや鶏の唐揚げ、ローストビーフなど全40のオートメニューと196のレシピが付属するなど、フラッグシップに次ぐほどの高いスペックを搭載している。
使い勝手についても、満足している。ただでさえ多機能な最近のオーブンレンジに加えて、ベーカリー機能まで搭載しているベーカリーレンジは、自然と操作ボタンの数が増えてしまう。しかし、配置を左右に振り分けることで、この問題を解消。使用頻度の高いオーブンレンジ機能の操作パネルは右側、ベーカリー機能の操作パネルは右側にそれぞれまとめられているので、「ごはんを温めたいだけなのに、パン焼きが始まってしまった」なんてことがない。
最も使用頻度の高い、「あたため」の場合、庫内に食材を入れて「あたためスタート」ボタンを押すだけでOK。全部で40あるオートメニューの詳細は、全て扉の下半分に書かれているので、ハンバーグを作っていざ焼く時になって、メニュー番号がわからない。取扱説明書はどこだっけとあたふたすることもないのだ。
一昔前のレンジだと苦手だった、お肉の解凍も大得意。約4分という短時間で、カチカチだった挽肉が調理に使いやすい硬さまで解凍される。
下ごしらえに便利な「根菜」メニューや、「葉・果菜」メニューも使用頻度が高い。ジャガイモをラップに包んで、スタートボタンを押すだけでホクホクに仕上げてくれるので、ポテトサラダを作る頻度が高くなった。
グラタンなど、オーブンがあるからこそ、おいしく仕上げられる料理もこれ1台でしっかりカバーしてくれる。
ふっくら柔らかいハンバーグに感動!
ここからは、レシピブックで紹介されていたメニューを作ってみよう。まずチャレンジしたのが、家庭料理の定番ハンバーグだ。ベーカリーレンジのレシピでは、みじん切りしたタマネギをバターと一緒にチンするところからスタート。
タマネギの粗熱を取ったら、挽肉、パン粉、卵など一般的なハンバーグの材料とよく混ぜて成形して、グリルさらに載せたら後は焼くだけ。ハンバーグのオートメニュー番号「31」を選んでスタートする。加熱時間は約23分。フライパンで焼くのに比べると多少長めではあるが、火加減や焼き時間を自分で調節する必要がないのはやっぱり楽。この間に、サラダやスープなどもう一品を作れる。
できあがったハンバーグは、驚くほど、柔らかくてジューシー。オーブンレンジで加熱したハンバーグは、肉汁が出て、固くなってしまうイメージがあったが、今回は、ジューシーに仕上がった。
油で揚げずに作る鮭のムニエル
続いて作ったのは、油で揚げずに作る「鮭のムニエル」だ。レシピは鮭に塩・こしょうして小麦を振ったら、溶かしたバターを塗って、焼くだけ。ちょっと拍子抜けするくらい簡単だが、できあがりは完璧。本当に油で揚げたように、カリッと仕上がっていて、皮までおいしく食べられた。
個人的には、普通に油で揚げて作るよりもこちらの方がおいしいと感じたほどだ。バターがコクを出していて、お店でいただくようなリッチな味わいだった。
過熱水蒸気スチームで、干物がふっくらと
色々試したレシピの中で私が最も感動したのは、千葉の港で買ってきた、かなり大きな鯖の干物を焼いた時だ。自宅のガスグリルで、幅も厚みもある干物を上手に焼くのは至難の業だ。熱が回りにくいので、表面は焦げているのに、頭やしっぽの方は生焼けで、食べ始めてから改めてレンジ加熱した、という経験をお持ちの方も多いと思う。
ベーカリーレンジでは、過熱水蒸気を使って、魚をふっくらと仕上げる。事前に本体下の給水タンクを満タンにした状態で、スイッチをスタートする。約4分の予熱時間があるので、焼き上がりにかかる時間は約30分。ガスグリルで焼くのに比べると、ずいぶん時間がかかるように感じたが、仕上がりを見て納得してしまった。
黒く焦げた部分はどこにもなく、全体的に均一な焼き加減で、生焼けの場所はどこにもない。魚の脂がジュージューと言って、見るからにおいしそうな仕上がりだ。少なくとも我が家のガスグリルでここまでおいしそうに魚を焼くことは不可能。あまりにも感動して、この日から3日間は毎日干物を食べ続けてしまったほどだ。
一点だけ注意したいのは、予熱完了終了チャイムが鳴った時に、もう一度本体のスタートボタンを押さなければいけないということ。このチャイムを押し忘れて、いざ食べようとした時に、魚が全く焼けていなかったということが何度かあった。
取り外し可能のプレートで手入れが楽!
最後に気になるお手入れについても触れておこう。日常的に行なう手入れとしては、グリル皿や、パンケースなどの掃除がある。どちらも使用後すぐに洗うのがポイント。特にグリル皿は、表面に溝があり、油などが固まりやすい。使用後まだ熱いうちに、洗うと、汚れがさっと落ちて楽だ。
パンケースや、パンプレート、具材投入ケースなども、使用後は毎回洗う。これらの部品は食器洗い乾燥機に対応していないので、手洗いが基本だ。
また、スチーム使用後の庫内も拭き掃除が必須。残った水分をそのままにしておくと、白く固まってしまうので、これも使い終わったらすぐに掃除するように習慣づけると良いだろう。
お手入れしやすいなと感じたのは、オーブンレンジ機能を使う時に庫内に置くテーブルプレート。一般的なオーブンレンジでは、このプレートは取り外しできないが、ベーカリーレンジでは、取り外して丸洗いが可能。これは何もベーカリーレンジならではの機能ではなく、日立のオーブンレンジの多くはテーブルプレートが取り外せるようになっている。
一般的なオーブンレンジに比べて、付属品が多いため、その分手入れしなければならない箇所は増えているものの、水洗いなどのシンプルな手入れなので、特に大変とは感じなかった。ベーカリーレンジでは、このほか脱臭や清掃などのオートメニューも備えているので、ニオイや汚れが特に気になった時は、これらのメニューを利用するのも良いだろう。
まさに一台二役!
2つの機能を1つにした製品と聞いて、最初は疑いから入ったものの、実際にパンを焼いてみると、準備が簡単で、焼き上げまでの時間も短く、味もおいしかったので、大満足。なにより予約設定時の真夜中の運転音が気にならなかったということに関しては「やっと出会えた!」というくらいだ。
ホームベーカリーの場合、炊飯器などと違って、運転が終了したら直ぐに取り出すのが鉄則。焼き上がりの時間には必ず本体の側にいなければならない。そのため、予約機能がうるさくて使えないということになると、一気に使用頻度が下がってしまう。焼き上げまでに3時間以上かかるのが当たり前なので、平日の夜自宅に帰ってから焼きあげると、焼き上がりの時間が22時を過ぎてしまう。既に食事を終えて、寝る準備に入る時間帯なのに、焼きたてのパンのあのおいしそうな匂いが部屋中に広がるというのは、精神衛生上良くない(というか食べてしまう)。
そうすると自然とパンを焼くのは、何も予定がない週末に限られてしまい、そのうち「1カ月に1回使うか使わないかの製品をキッチンに出しっ放しにしておくのはどうか」ということになって、ついにはそのまましまいこんでしまうということもあった。
我が家では年間通して、様々な家電製品が出入りするが、やっぱり痛感するのは、目に付くところにおいて置かないと、使用頻度は下がってしまう。その点、ベーカリーレンジは多機能さと、独自の機構でその問題を解決している。
また、ただ単に多機能であるというわけでなく、それぞれの機能を追求しているという点も評価したい。たとえばベーカリー機能においても、ドライイーストや具材自動投入機能など、一般的なホームベーカリーでも上位機種のみが搭載している機能をしっかり押さえている。
ホームベーカリーとオーブンレンジが同時に欲しいと思えるタイミングというのは少ないかもしれないが、どちらかの購入を検討しているのなら、ぜひ一度チェックして欲しい製品。それぞれ買うことを考えたら、価格や設置面積、機能にもきっと満足できるだろう。