長期レビュー

日立「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」

日立「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」 その1

~ホームベーカリーとオーブンレンジが1つになった!

「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、複数回にわたってお届けする記事です。(編集部)

ホームベーカリーが欲しいけど、なかなか手が出せない人に

日立「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」

 ここ最近、ホームベーカリーの人気が増しているが、“パンを焼くためだけ”の専用の製品を買うということに抵抗を覚える人もいるだろう。例えば、置き場所1つとっても、これ以上、キッチンにモノを置けないという人も多いだろうし、かといって、しまいこんでしまうと、使用頻度は一気に下がってしまう。日本はもともと、自宅でパンを作る習慣がないので、使いこなせるのか不安という声もよく聞く。

 そんな人にお勧めしたいのが、今回紹介する日立アプライアンスの「ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000」だ。この製品は、オーブンレンジの中にパンケースをセットして食パンを焼くことができるという製品だ。

メーカー日立アプライアンス
製品名ベーカリーレンジ ヘルシーシェフ MRO-BK1000
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格129,700円

 ベーカリーレンジの見た目は、一般的なオーブンレンジと全く一緒。庫内容量は33L、本体サイズは500×459×418mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約23.5kg。普通のオーブンレンジより特別大きいということもない。庫内を見ると、これまた普通のオーブンレンジと変わらない。2段調理可能で、スチーム機能まで付いている本格的な製品だ。

本体正面
扉を開いたところ
操作パネル下にはスチーム機能に使う給水タンクが設けられている

専用の収納ケース付きで豊富な付属品もしっかり管理できる

 では、一体どうやってパンを焼くのかというと、これがかなりユニーク。まず庫内の下のプレートを外す。すると、庫内右奥にパンケースをセットするための穴が開いている。ここにパンケースをセットしてパンを焼き上げるというのだ。

庫内のプレートは取り外し可能
プレートを外したところ
左奥にパンケースをセットするための穴が設けられている

 普通のオーブンレンジにプラスαでホームベーカリー機能を搭載したわけだから、当然、本体の付属品も多くなる。まずは、オーブンレンジで使うグリル皿1枚、オーブン皿2枚、さらにホームベーカリー機能で使うパンケース、さらに自動でドライイーストやナッツやレーズンを投入する「自動投入器」、パンケースを庫内に固定するプレート、計量カップ、スプーン、大きめのミトンが2つが付属する。これだけ付属品が多くなると、その管理も大変だが、ベーカリーレンジではホームベーカリー機能で使う付属品全てを収納できる専用の収納ケースが用意されている。

 パンを作る時以外はこの収納ケースに全てしまって置けるので、付属品をなくしてしまうこともなさそうだ。

ベーカリーレンジの付属品。オーブンレンジ機能の付属品とベーカリー機能の付属品があるので、かなりの数だ
日立独自の脚付きのグリル皿
オーブン皿は2枚付属する
ベーカリー機能の付属品。パンケース、具材投入器、ドライイースト投入器、パンケースセット用のプレートが付属する
ベーカリー機能の付属品を収納する専用ケース
上部にはベーカリーレンジのロゴが記されている

オーブンレンジ、ホームベーカリー、どちらの機能も大充実!

 感心したのが、オーブンレンジ機能もホームベーカリー機能も妥協していないということ。多機能製品でありがちな、「結局どっちも中途半端になってしまった」ということがないのだ。ホームベーカリー機能では、練り工程から焼き上げまで行なうオートメニューを12、成形が必要な「手作りベーカリーメニューを13搭載。普通の食パンはもちろん、残りご飯を使ったご飯パンやレーズンパン、ライ麦パン、天然酵母パンなど一般的なホームベーカリーと比べても全く遜色がない豊富なメニューを搭載している。

 一方のオーブンレンジ機能も充実している。過熱水蒸気/レンジ/オーブン/グリル/スチーム加熱に対応しており、日立ならではの「トリプル重量センサー」も搭載。トリプル重量センサーとは、食材の重さを3つのセンサーで検知し、火加減を自動で調整するというもの。また過熱水蒸気を使った、脱脂・減塩メニューにも対応する。ハンバーグや鶏の唐揚げ、ローストビーフなど全40のオートメニューと196のレシピが付属する。

 これだけ、それぞれの機能が充実していると、操作が複雑そうだと感じるかもしれないが、使用頻度の高いオーブンレンジ機能の操作パネルは右側、ホームベーカリー機能の操作パネルは左側にそれぞれまとめられている。オーブンレンジの操作をしているときに、ホームベーカリーのメニュー番号が出てくるということはないし、その逆もないように、工夫が施されているのだ。

オーブンレンジ機能の操作ボタンは本体右側に集約されている
ベーカリー機能の操作ボタンは左側に配置されている
豊富なメニューは本体扉に表記されている

食パンが約2時間で焼けた!

 レシピの数や機能を見るとまさに“フルスペック”の夢のような製品だが、実際の使い勝手はどうだろう。さっそく、食パンから作ってみることにした。まずは、付属のパンケースに材料を入れるところからスタート。材料は、強力粉、バター、砂糖、塩、水、ドライイーストとごく一般的なもの。ホームベーカリーの種類によっては粉状のスキムミルクを使う場合もあるが、ベーカリーレンジのレシピはごくシンプルで、材料も揃えやすい。

 また、ベーカリーレンジでは、ドライイーストを工程中に自動で投入するので、材料を入れる順番などを気にすることがないのも楽だ。ドライイーストをパンケースに一緒に投入するタイプのホームベーカリーの場合、ドライイーストが水に付かないように、強力粉を山状にして、その上に穴を開けてドライイーストを入れるなど、指示があるのだ。

 というわけで、ドライイースト以外の材料をパンケースに一気に投入したら、ドライイーストだけを自動投入器に入れて、パンケースの上に自動投入器をセットする。

付属のパンケース
強力粉、バター、砂糖、塩、水を入れる。ドライイーストは自動投入なので、材料を入れる順番などを気にする必要はない
イースト投入器にイーストをセットしたところ。食パンの場合3g入れる
パンケースの上にイースト投入器をセットする
上から見たところ

 次に庫内の準備だ。準備といっても、庫内のオーブンレンジ用プレートを外して、パンケース用プレートをセットするだけなので、手間はかからない。このプレートの上にパンケースを置いて、レバーで固定すれば準備は完了。後は食パンメニューを選択してスイッチを押すだけだ。

パンケースをセットするためのプレートを配置
庫内にパンケースをセット
パンケース下のレバーで固定する

 正直、最初は「普段オーブンレンジとして使っている製品にパンケースをセットするなんて、面倒くさそうだな」と思っていたのだが、実際の手順は驚くほど簡単で、拍子抜けしてしまったほど。これくらいの手間であれば、使用頻度も上がりそうだ。

 操作パネルも良くできている。大きくて見やすい液晶画面に、焼き上げ完了時刻がはっきりと表示され、工程中も残り時間が表示される。液晶画面上には、それぞれの工程を示すライトが備えられていて、その時何をしているか、一目で分かる。

食パンのメニュー番号は101。焼き色は強・中・弱の3段階から選べる
スタートボタンを押すと仕上がり予定時刻が表示される
工程中も残り時間が表示される。パネル上部の赤いランプは、そのときの工程を表示する

 驚いたのは、標準の食パンを2時間で焼き上げてしまうということ。一般的なホームベーカリーでは約3時間以上かかるのが当たり前なので、かなり短い。これは、独自の技術で発酵時間を短縮させたことによるものだという。従来はイースト菌を十分に発酵させるために、低い温度で長時間発酵させる必要があったが、焼き工程の温度の立ち上がり速度を遅くすることで、60℃以下の温度を長くとり、イースト菌を十分に活性化させて、発酵時間を短縮しているという。

 焼き上がったパンは、パンケースからはみ出るくらいふっくらとしていておいしそうだ。普通、ホームベーカリーでは上部にはヒーターが入っていないので、パンの上部の焼き色が甘いことがあるが、ベーカリーレンジで焼いた食パンは上までしっかり焼き色が付いている。庫内全体を熱風で包み込むように焼き上げるベーカリーレンジならではだろう。

 こと、ホームベーカリーに関しては練り工程から、焼き上げまで全て自動で行なうということもあって、使う機種によって味に差が出やすい。特定のメーカーの製品しか使わないという話しもよく聞くが、ベーカリーレンジの食パンは十分合格点。材料がシンプルだったこともあって、素朴で優しい味わい。皮がかなりしっかりしていて、歯ごたえがある。

焼き上がり
取り出したところ。パンの上部までしっかり焼き色が付いている
パンケースを2分ほど横に倒してから、取り出す
取り出したところ
切ったところ。素朴で優しい味わいのパンが焼けた
パン羽根は中に入り込んでしまっていたので、手で取りだした

うるさくないから予約機能が大活躍

 続いて試したのが、同じく食パンの予約機能。事前に焼き上げ時間をセットしておくと、希望の時間にパンが焼き上がるという機能だ。夜にセットしておけば、朝焼きたてのパンが食べられるというわけだ。

 実は、パンの予約機能に関してこれまで満足したことがなかった。眠りが浅いという自身の体質も影響してか、ホームベーカリーの動作音で必ず目が覚めてしまうのだ。それが、今回のベーカリーレンジでは全く目が覚めることがなかった。というのも、ベーカリーレンジでは一番動作音が大きい練り工程をセットした直後に行なうため、夜中にゴトゴトという音がしないのだ。

 また、ホームベーカリーの3倍以上もある大きな本体であるということも関係している。一般的なホームベーカリーでは本体自体が揺れてしまうため、床や壁とぶつかって大きな音が立つが、ベーカリーレンジは本体が大きいので本体が揺れるということは全くなかった。これまで、数々のホームベーカリーを使ってきたが、音に関してはダントツでベーカリーレンジがお薦め。

予約で焼いた食パン
標準コースで焼いた時と同じように仕上がった
パン羽根はケースに残っていた

 次回は、スチームを使ったベーグルやオーブンレンジで焼き上げる手作りパンなど、ベーカリーレンジならではのパン作りを紹介する予定だ。

阿部 夏子