長期レビュー

アイロボット「ルンバ 577」 最終回

~お掃除ロボットのお手入れ事情ってどうなっているの?
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



アイロボット「ルンバ 577」

 お掃除ロボット「ルンバ」の実機レビューの最終回をお届けする。今回は、まず気になるお手入れ方法についてじっくり見ていこう。さらにリモコンやお掃除ナビを使った活用法についても併せて紹介する。

ルンバの製品特徴を紹介している1回目は→こちらから
ルンバが合う人、合わない人について紹介している2回目は→こちらから


「ゴミ捨てはその都度」が理想的

 部屋の中を自動で検知して勝手に掃除してくれるというルンバ。ただし、お手入れは、自動ではないので、人間の手でする必要がある。日常的なお手入れとしては、毎掃除後のゴミ捨て。さらに一定期間使用したあとは、ブラシやセンサー部分も手入れする必要がある。

 まずは、日常的に行なうゴミ捨てについて。ルンバのダストボックスは本体上面のボタンを押して引き出す。正確な容量は不明だが、一般的な掃除機に比べると小さいのは確か。説明書でも、ゴミ捨ては毎掃除後にするようにとの指示がある。

ダストボックスは本体の表面から取り出す側面のボタンを押して引き出すようにして取り出すダストボックス

 ダストボックスは大きなゴミを取り除くフィルターを境に2つに分かれている構造で、本体裏から見て手前部分はホコリなどの小さなゴミ、奥に大きめのゴミがそれぞれ入っている。

 ゴミ捨ての手順は簡単。まずボックスを引き出して、そのままゴミ箱に開ければいいだけだ。ただ、厄介なのは、フィルターを手で引き出して、フィルター奥の細かいゴミも捨てなければいけないというところ。手順自体は簡単なものだが、ダストボックスを手で触ったりするするのには抵抗がある。

 説明書では、新聞紙などを広げてそのうえで作業を行なうようにと、指示があるが、実際使ってみた感じではそこまですることはないと感じた。ただ、ゴミが広がってしまうこともあるので、ビニール袋の上などで行なった方がいいだろう。

ルンバの裏面。写真はダストボックスにゴミが入った状態ゴミが入った状態のダストボックスフィルターを取り出して細かいゴミも捨てる


ブラシやフィルター、センサーのお手入れも

 次に、頻繁ではないが、定期的にやった方がいいお手入れについて。回転ブラシや、車輪部分、さらにセンサー部分などのお手入れがある。

 まずはブラシの掃除から見ていこう。ルンバには、本体裏に2種類の回転ブラシが設置されているが、一定期間使い続けると、ブラシに髪の毛やゴミなどが巻きついてしまうことがある。このゴミを取り除く作業だ。本体に付属するお手入れツールを使って手入れをすると、面白いように毛が取れた。

本体には2本の回転ブラシが搭載されている裏面のワイヤーガードからブラシを取り外した状態本体付属のブラシ用お手入れツールを使ってブラシに絡んだゴミや髪の毛を取り除く

 同じように、車輪部分も髪の毛やホコリなどを取り除く。また、ダストボックスのフィルター部分も4~5回に1回は掃除機でホコリを吸うなどの手入れが必要だ。ちなみに、ブラシや車輪部分の掃除をするときは、ホコリやゴミが飛ぶので、ルンバとは別の掃除機を用意しておいた方が良い。

ダストボックスのフィルターを取り外したところ掃除機などを使ってホコリを取り除く
前輪部分前輪は手で引き出すようにすると簡単に外れる車輪の中にはゴミやホコリが詰まっている場合があるのでこれを取り除く

 ブラシやフィルター、車輪についたゴミやホコリを取り除く作業は、一般的な掃除でも必要な手入れだが、ルンバならではの手入れがセンサー部分の手入れだ。

 ルンバには壁センサー、段差センサー、ゴミセンサーなど十数個のセンサーが搭載されているが、ユーザーが主に手入れしなければならないのは、まずブラシが収納部分の裏にあるゴミセンサー、前輪の裏にある車輪部センサー、本体裏側にある4つの段差センサーと、側面部の前面センサー、さらにホームベースのセンサーの手入れもするようにとある。

 手入れ自体は、センサーの表面を布あるいは綿棒などで優しく拭くだけと、それほど手間がかかるわけではないが、何しろ数が多いので面倒に感じた。センサーの位置もちょっと覚えずらい場所にあるので、購入時に確認した方がいいだろう。

前輪の車輪部の中には前輪部センサーが搭載されている。センサー表面を綿棒などで軽く拭きとるこちらは、回転ブラシが格納されているワイヤーガード。金色の部分がゴミセンサーになっているので表面のホコリをふき取る前輪の両サイドには段差センサーが設置されている

 ゴミ捨てからお手入れのことまでまとめて書くと、いかにも大変そうな印象を与えてしまうかもしれないが、実際にはそれほど大変ではない。というよりも、掃除機には手入れがつきものなので、ほかの掃除機と比べてそれほど大変だとは感じなかった。回転ブラシの毛やホコリをとるのも当たり前の作業だ。

 ただ、ダストボックスの構造については、やや不満が残る。フィルターを手で出し入れしなければならないのはやはり不衛生だ。また、最近の掃除機の高級機種ではフィルターを自動で掃除してくれる機能が当たり前についているので、そこも期待したいところだ。


メンテナンス費用がかかる

本体にはダストボックスのフィルター1枚が替え用として付属する(赤い円形のものはお掃除ツール)。ただし、1枚の寿命は3~4カ月なので、長く使い続けるためにはフィルターを別途購入する必要がある

 ここからは、私が考えるルンバの一番の弱点――メンテナンス費用について紹介しよう。

 実は、ルンバの部品には消耗品が多い。まず必ず交換しなければならないのは、バッテリーとダストボックスのフィルター。

 バッテリーは1年に1回の交換が必要で、価格は10,500円。フィルターは、4カ月に1回程度で、3枚セットの価格は3,150円。このほかに、回転ブラシや本体側面のクッションラバーなども消耗に応じて交換する必要がある。毎年メンテナンス費用で約14,000円もかかるというのは、ほかの掃除機ではちょっと考えられないことだ。

 特に気になるのはバッテリーの問題。携帯電話やノートパソコンなど充電池を使った機器は日常生活の中に溢れているが、1年で要交換というのはあまり聞かない。もうちょっとどうにかならないのかな――というのが正直な感想だ。


お掃除ナビでルンバの動きを制御

 ここからは、ルンバの活用法を紹介しよう。

 まずは、「お掃除ナビ」を使った活用法から。お掃除ナビとは、間単にいうと、赤外線でルンバの動きを制御するものだ。557には2台のお掃除ナビが付属する。お掃除ナビでは、ルンバがほかの部屋にいかないように制御する「バーチャルウォール」機能と、複数の部屋を連続して掃除するように指示を出す「ライトハウスモード」機能が搭載されている。

 バーチャルウォールモードは、ルンバの動きを制限する機能。ルンバを運転させる部屋の入り口部分にお掃除ナビを置いておくと、そこから先には入ってこない。ライトハウスモードは、それとは逆にルンバの動きを促すモードだと考えていい。用途しては、複数の部屋を掃除したいときに用いるもので、部屋と部屋の境目に置いておくと、順に掃除していってくれる。

本体に付属するお掃除ナビお掃除ナビから赤外線を出すことで、ルンバの侵入を禁止することができる動きバーチャルウォールモード複数の部屋の掃除を促すライトハウスモード

 ライトハウスモードの特徴は、複数の部屋を掃除することを第一の目的と考えることだ。そのため、1つ1つの部屋の掃除時間は通常より短くなる。確実に複数の部屋を掃除してほしい時に便利な機能だ。

 操作はごく簡単で、モード切り替えスイッチを操作するだけ。あとは、ルンバ本体が起動すると自動的に電源が入り、ルンバの電源が切れると自動で電源が切れる。仕組みとなっている。

 ユニークなのは、本体から出る赤外線の長さが選べるという点。1m未満から最大4mまで選べるようになっているので、たとえば部屋の入口が2つある場合でも1台でカバーできるという場合もある。

バーチャルウォールモードに設定して部屋の入口に置いておくと、そこから先は入ってこれないライトハウスモードでは部屋と部屋の境目部分に本体を置くのがポイントだ赤外線の発生範囲を広く設定することで、広い範囲までカバーできる。写真では左端にお掃除ナビを設置。そこからの電波が右端まで届いているのでルンバが侵入できない


スケジューラー機能でホントの手間いらず

 次に紹介するのは、ルンバの起動時間を予約できるスケジューラー機能だ。スケジューラー機能とは、曜日と時間を指定することで、その時に本体の起動ボタンを押さなくても自動で掃除してくれるという機能。

 まずルンバ本体で時間と曜日を合わせたら、本体の「SCHEDULE」ボタンを押して曜日と掃除時間を設定するだけだ。すると、設定した曜日の時刻になるとルンバが勝手に掃除してくれる。

【9月2日追記】初出時にスケジューラー機能の予約が週に1回しかできないと記載しましたが1日1回の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

 

まずはルンバ本体で時間を設定する。するとリモコンの時間もルンバと同じになる毎週月曜日の朝10時から掃除を設定したいときはMonのAM10:00を選択

 最後にリモコンを使ってルンバを操作できるということもお知らせしておこう。

 基本的にルンバは本体のセンサーを使って、自分で移動場所や掃除場所を決めて動くが、リモコンを使って掃除場所をコントロールすることもできる。リモコン中央部のコントロールボタンを使ってルンバを右回転、左回転させたり、直進させることができるのだ。何か細かいものをこぼしてしまった時や、一部分だけをとりあえず掃除したいときに便利な機能だ。


ルンバをリモコンで操作している様子

掃除機ではなく時間を買っている

 以上、お掃除ロボットルンバについて3回に渡って紹介してきた。普通の掃除機とはかなり違う性格だということがおわかりいただけただろう。特に、今回紹介したお手入れとメンテナンスについては、一般的な掃除機と比べるとやっぱり手間やお金がかかる。

 ただ、それでルンバを手放すか? と聞かれるとやっぱり便利さに惹かれて使い続けたいと思うのだ。

 1回目のレビューで、ルンバには食器洗い洗浄機を買った時のような革命的な便利さを感じていると述べたが、ルンバも食器洗い乾燥機も家事を補助するのではなくて、やってくれるという点が同じだ。

 普通の家電製品は家事の補助はしてくれるが、やるのは人間だ。ルンバや食器洗い乾燥機の場合、実際の作業をするのは製品で、人間は補助する側に当たる。補助をする必要はあるものの、実際の作業は製品がやってくれるので、その分の時間を有効に使える。

 掃除機という補助用製品を買うのではなく、掃除を代わりにしてくれる製品を買う、つまり製品ではなく時間を買っていると考えると、メンテナンス費用や高額な本体価格も機能に見合ったものだと感じる。

 ルンバを使い始めてからは、掃除のために割く時間が今までの1/3程度になって、休日の過ごし方が変わった。慣れというのは恐ろしいもので、ルンバがなくなって前と同じように、休日の朝に汗をかきながら掃除機をかけるのかと思うと怖いくらいだ。

 忙しくて時間がない人という人や、部屋を常にきれいな状態にしておきたいという人には、迷わずおすすめできる製品だ。



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2010年9月2日 00:00