長期レビュー

アイロボット「ルンバ 577」 その1

~一度使ったら手放せない! お掃除ロボットを使ってみました
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



究極の家電? お掃除ロボット「ルンバ」

アイロボット「ルンバ 577」

 生活家電は、そもそも人の生活を便利にするというコンセプトから基成り立っている。本来は手洗いしていた衣類を全自動洗濯機で、ほうきでかき集めていたゴミを掃除機でなど、本来人の手で行なっていたことを、家電製品が代行してくれるのだ。

 今回、紹介するのは、ある意味でこの考え方を突き詰めた製品ともいえるお掃除ロボット、アイロボットの「ルンバ」だ。



メーカーiRobot(アイロボット)
製品名ルンバ 577
希望小売価格79,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入金額71,820円


 ルンバは人工知能を搭載したロボット掃除機。部屋の形状、広さ、汚れ具合などを判断し、人間が操作しなくても勝手に掃除してくれる。本体に内蔵された、壁センサー、段差センサー、ゴミセンサー、など数十に及ぶセンサーが部屋の状態を検知して効率よく掃除してくれるというものだ。

 ロボット掃除機という前触れで、ルンバが正式に日本に登場したのは6年前。もちろん、私もその存在は知っていた。「勝手にお掃除してくれる」というのは魅力的だったが、それが直接欲しいという気持ちには結びつかなかった。その一番の理由は本当に大丈夫なの? というもの。ロボットという言葉は、ニュースや映画では耳にするものの、生活に密着する家事に使うというのがピンとこなかったのだ。

 もう1つ、高価格なのもネックになった。発売当初の上位機種の価格は94,500円で、掃除機として購入するのにはあまりにも高価だった。

 それが今回、使ってみてもいいかなと思ったのは、まず評判の良さだ。当初はイロモノ家電として注目を浴びているだけなのかと思っていたが、ユーザーからの評判がとにかく良い。「特別な家電」というイメージから「使える家電」というように少しづつイメージが変わっていった。実際、ルンバの販売台数はこれまでに13台万以上で、売り上げは年々増加しているという。

 また、価格が下がったというのも背中を押した。今回紹介する577は、ハイエンドモデルに当たるが、機能はそのままで価格は従来より約2万円安い79,800円となっている。最近の掃除機はどんどん高級化が進んでいて、上位機種なら8万円以上というのもザラにある。これまでルンバは価格的に別格というイメージがあったが、約7万円なら、他メーカーの上位機種と同等の値段なので(もちろん安いとはいえないが)、掃除機を選ぶ時のラインナップに加えることができる。

 というわけで、実際にルンバを使ってみた。現時点で使い始めてから約2カ月経つが、結論から先に言ってしまうと「もう手放せない!」。食器洗い乾燥機を使い始めた時に感じたような感動がある。家電製品による生活環境の向上を久しぶりに感じた。

独自のクリーニングシステムと人工知能でゴミ除去率は99.1%

 製品の具体的な使い心地の前に、まずは本体のスペックから紹介しよう。本体はUFOのような円盤型で、サイズは340×92mm(直径×高さ)。ゴミの吸い込み口は本体の裏側に設けられている。

製品パッケージ本体上部。操作部などが備えられている本体裏面。ゴミの吸い込み口やブラシが備えられている
本体側面。高さは92mmCDケース(左)と大きさを比べたところ
ダストケースは本体上部から取り外すダストケースを取り外したところダストケース内部

一般的な掃除機では、ヘッド部分のブラシを回転させてゴミを吸い取るが、ルンバにも回転ブシは搭載されている。ルンバでは「エッジクリーニングブラシ」でまずゴミをかきだして、「デュアルパワーブラシ」でゴミをかきこむ。さらに、床に密着した「密着ワイパー型吸引口」で、2つのブラシで取りきれなかった小さなホコリを吸い取る「3段階クリーニングシステム」を搭載しているという。

 

ルンバでは3段階のクリーニングシステムを搭載している(写真は製品情報ページから抜粋)ゴミをかきだすエッジクリーニングブラシ2つのブラシが内蔵されているデュアルパワーブラシ


本体裏には2つのタイヤが設置されているデュアルパワーブラシのケースは取り外しできる2つの回転ブラシを取り外したところ

 中でも特徴的なのが、エッジクリーニングブラシ。3方向に分かれた細いブラシが、本体からはみ出すように設置されている。これが、回転して壁際や部屋の隅に溜まったゴミをかきだしてくれるという。

 この3段階クリーニングシステムに加え、人工知能「AWAREシステム」により、ルンバでは同じポイントを平均4回程度掃除するという。同社では、これにより、ゴミ除去率を99.1%としている。

 パッケージには、ルンバ本体のほか、充電用のホームベース、交換用フィルター、交換用メインブラシ、交換用フレキシブルブラシ、お手入れツール、クッションラバー、リモコン、さらにルンバの動きを制御する「お部屋ナビ」なるものが2台同梱されている。お部屋ナビについては次回以降詳しく紹介するが、部屋の隅などの置いておくことでルンバの間仕切りとして使えるほか、複数の部屋を掃除するときにも使うことができるというものだ。

充電用のホームベースホームベース接続用のアダプタ左からブラシのお手入れツールと交換用フィルター

 本体の電源は充電式のニッケル水素電池で、本体に内蔵されている。使い始める前にはあらかじめ、充電用のホームベースで約3時間充電する。本体上部の「CLEAN」ボタンの色がオレンジからグリーンに変わったら、充電完了の合図だ。

 このホームベースはルンバの「家」のようなものになる。ルンバは掃除を終えると、自動的にこのホームベースに戻ってきて充電する仕組みになっているのだ。説明書によると、ルンバは基本的に使用していないときでも常に充電するようにとある。運転していない場合でも電気を使っているので、充電をしない状態で置いておくと、バッテリー切れの状態になって、電池の寿命を縮める原因になるという。

 つまり、ホームベースがルンバの充電場所であり、収納場所でもあるのだ。そのため、ホームベースの設置場所には気を使う必要がある。説明書によると、ホームベースの前方約2m、幅1.5mが空きスペースになっている平らで段差のない場所とある。また、ルンバは赤外線によってホームベースに戻るので、その障壁となるような高い壁やプラズマテレビの近くなどに設置するのは良くないとある。我家ではリビングに設置した。

【8月19日追記】初出時にホームベースの位置確認を電波で行なうと記載しましたが赤外線の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

ホームベース側面。ここにルンバの一部を載せるようにしてセットするルンバをホームベースにセットした状態本体上部のCLEANボタンの色で充電中か満充電かを判断する。写真はオレンジ色なのでまだ充電中であることを示している
ホームベースの設置場所についての指示ホームベースの前には前方約2m、幅1.5mの空きスペースをとるようにする

縦横無尽なその動きに目が釘付け

離れた場所からでもルンバの操作ができる付属のリモコン

 準備が終わったら、さっそくスイッチを入れてみよう。操作は、本体上部の「CLEAN」スイッチを直接押すか、付属のリモコンで行なう。スイッチを押すとまずは「ピピロピー」という陽気なメロディが流れる。そのあと、今度は「ピーピーピー」という車がバックするときのあの音と共に、ルンバがホームベースから出てきて、室内を探索し始める。

 この一連の流れは、当然ながら一般的な掃除機にはないもので、その音と動きをついつい目で追ってしまう。人工知能搭載というだけあって、室内を探索する様子は、まるで意思をもっているかのようなのだ。独特なルンバの動きは、掃除機というよりやっぱりロボットだ。動物か何かのように動き回る姿に愛着が湧き、我家ではルンバではなく“ルンバくん”と呼ぶようになったほどだ。


リモコンでルンバを操作しているところ

 運転音は52.1dB(カーペット清掃時)で、決して小さいとはいえないが、それほど気にならなかった。というのも、共働きのわが家では、ルンバの一番の活躍時間は誰もいない出勤後の昼間なのだ。スイッチを入れて、そのまま仕事に出かけて、帰ってくると掃除は終わって、ルンバは自分で充電用のホームベースに戻って充電しているというわけ。

 ルンバを使い始めてからというもの、休日の朝の掃除時間が約1/3以下になった。大げさではなく、家事の負担がグンと減ったのだ。一度使い始めてしまうと、手放せなくなるほど便利!

 ただし、それは我家の家族構成や住宅事情も大きく影響していたようだ――次回では、そのへんの事情も含めて、ルンバの使い方を更に詳しくご紹介する予定だ。



その1  /  その2  /  その3


2010年8月18日 00:00